44 / 203
帰省編
稲荷
しおりを挟む
―――次の日。目が覚めると、狗神が丁度お堂を出ようとしているところだった。
「ありゃ、起こしてしまったかの」
そう言って狗神が僕を見る。
「いえ、普通に目が覚めただけです。・・・おはようございます」
「おう、おはよう」
立ち上がり、着替えようと服が置いてある場所まで行くと、狗神が言った。
「・・・山霧の。折角じゃし、お主も一緒に行くか?」
「・・・はい?」
突然何を言い出すんだと狗神を見ると、狗神はニコニコと笑っていた。
「何処に行くんですか?」
「稲荷の狐のとこじゃ。空の散歩ついでにどうかの?」
「いやまあ、別に良いですけど・・・」
「じゃあ決まりじゃな!待っててやるから、早く着替えて外に出て来い」
狗神はそう言って静かにお堂を出る。僕は急いで着替えると、ぐっすり寝ている
他の皆を起こさないようにそっとお堂を出た。
―――本来の大きな犬の姿に戻った狗神の背に跨り、空を駆ける。早朝ということも
あり、外の空気はとても澄んでいた。
丁度昇り始めた朝日に照らされて、狗神の銀色の毛がキラキラと光る。
「・・・狗神の毛って、見た目よりフワフワしてますよね」
狗神の背中を撫でながら言うと、狗神は自慢げに鼻を鳴らして言った。
「毎日良いモン食ってるからの。早起きしたお主の特権じゃ、存分に堪能すると
良い!」
「言いましたね?・・・では遠慮なく」
狗神の背中に抱き付き、存分にモフモフする。流石の狗神もそこまで想定して
いなかったのか、驚いた声を上げていた。
「や、山霧の!」
「何ですか、やめませんよ?・・・いつかこんな事してみたかったんですよね、
森には大きな動物はいませんでしたから」
「これでも神じゃぞ、ワシ・・・」
「堪能しろって言ったのはそっちじゃないですか」
モフモフする手を止めずにそう言うと、狗神は諦めたように深く溜息を吐いた。
「お主のそういう所は、父親譲りじゃの・・・」
狗神が皮肉交じりに呟くが、僕は気にせずフワフワを堪能するのだった。
―――ひたすら狗神をモフモフすること10分。狗神が突然空中で静止して言った。
「そろそろやめい、あ奴らの領域に入るぞ。ちゃんと座っておらんと振り落とす
からな」
「あ、はい」
僕はそう言ってモフモフする手を止め、きちんと座り直す。
「速度を上げるから、ちゃんと掴まっておくんじゃぞ」
何故速度を上げるんだろう?そう思っていると、狗神は察したのか説明して
くれた。
「ここから先は稲荷の狐の領域・・・つまり、縄張りなんじゃ。強い力を持つ妖や
神にはそれぞれ縄張りがあっての。その領域内に入った他の神や妖は何をされるか
分からん。だからさっさと辿り着きたいんじゃ」
「でも狗神は天狗さんの所に普通に居ましたよね?」
「あ奴は古くからの友だから良いんじゃ。今更何かすることもなかろう」
「稲荷の狐さんは違う、と?」
「あ奴らも古くからの知り合いではあるから、他の者よりは甘いがの・・・。
なんせ、ワシは迷惑客という扱いだからのう」
「え、何で・・・」
「昨日言ったじゃろ?ワシは今から、稲荷んとこのに油揚げをたかりに行くんじゃ」
「ああー・・・」
確かにそれは迷惑客だ。
古くからということは、狗神は稲荷の狐さんにちょくちょく油揚げをたかりに
行っているのかもしれない。
・・・あれ、狗神は稲荷の狐さんをあ奴らって言ってたよな。
「・・・あ奴らって言ってましたけど、稲荷の狐さんって複数居るんですか?」
僕がそう聞くと、狗神はちらりと僕を見て言った。
「稲荷の狐は、基本どの地域でも二対で一柱じゃ。勿論今から行く神社の奴らも
二体居る」
「そうなんですね」
狗神に言われて思い出したが、確かに稲荷神社は沢山ある。全部同じ神様を祀って
いるものだと思っていたが、それぞれに神様がいるのか。
「まあ、実際に会った方が早いじゃろ。行くぞ」
そう言って狗神は先程とは比べ物にならないスピードで空を駆ける。風圧で飛ば
されないよう狗神にしがみつき、前屈みになって風を凌ぐ。
着いたぞと言われ周りを見ると、そこは神社の境内だった。
「今日は居るの分かっとるんじゃぞー、出て来ーい!」
狗神が大きな声で叫ぶ。
すると、煩いぞ犬っころ!!という声と共に賽銭箱の前に二匹の狐が現れた。
「別に良いじゃろ、聞こえる人間なんて殆ど居ないんじゃし」
狗神がそう言いながら狐に近付く。
「ウチの者には聞こえとるんじゃ!折角久々に娘巫女が帰ってきたという
のに・・・」
「今日こそは油揚げはやらんからな!」
二匹の狐はそう言って狗神を睨みつけるが、狗神は気にする様子もなく言う。
「そう言いつつも毎度毎度くれるじゃろうが」
「隙を突いて奪っていくだけじゃろうが!」
狐はそう言って隣の狐と目配せをする。すると狐達は煙に包まれ、中から小学生
くらいの背丈の少年と少女が現れた。彼らは白衣と袴を着ており、その姿を見て
神様なのに巫女装束なのかと思った。
「帰ってもらうぞ狗神!御魂、捕まえるぞ!!」
少年がそう言うと、御魂と呼ばれた少女は頷き狗神に飛び掛かった。
「ワシが捕まると思うのか?」
狗神は御魂を躱すため、後ろに飛び退く。だがそれを読んでいたのか、少年が
後ろに回り込み、狗神の尻尾を掴んだ。
「宇迦、でかしたぞ!」
御魂がそう言って、宇迦と呼ばれた少年に近付く。宇迦が御魂に視線を移した時、
狗神がニヤリと笑って言った。
「甘いの」
その瞬間、狗神が煙に包まれる。その中から銀髪の犬耳を生やした男性が現れ、
宇迦の顔に手を向けた。
「あっ・・・」
宇迦がしまったという顔をした瞬間、狗神の手から緑色の小さな葉が宇迦の顔
目掛けて放たれた。
その葉はたちまち宇迦の顔を覆い尽くし、慌てて手を離した宇迦に狗神は言った。
「油断大敵じゃぞお?狐ぇ」
なかなか取れない葉に苦戦している宇迦を御魂が手伝う。その様子をニヤニヤ笑い
ながら狗神が見ていた。
「やり過ぎじゃないですか・・・?」
僕がそう言うと、御魂がうんうんと頷いて言った。
「そうじゃそうじゃ、もっと言ってやれ人間!!」
「・・・ちょっと待て。人間、我らが見えておるのか?」
宇迦が葉を取り終わり、僕を見る。はいと頷くと、宇迦と御魂は僕と狗神を交互に
見た。
「どういうことじゃ、狗神」
「そういえばお主、この人間を背に乗せておったな」
「どうも何も、こ奴は目が良い人間じゃよ。ワシの孫の友人じゃ」
「あ、えっと・・・はじめまして。山霧 静也といいます」
「静也・・・?のう御魂、この名前どこかで聞かなかったかの」
「・・・あ、一昨日娘巫女が言っておった名じゃ」
御魂の言葉にもしやと思う。その時、拝殿の裏からパタパタと音が聞こえた。
「宇迦様?御魂様?何かありましたー?」
そう言いながらやって来た少女を見て、やはりかと思う。
「・・・え?え、何で静也がここにいるの?!!」
驚いた顔で僕に駆け寄ってきたのは、彩音だった。
「えっと・・・狗神に付いて来たら、ここに」
「何じゃお主、ここの小娘と知り合いじゃったんか」
狗神が意外そうに言って僕と彩音を見た。
「彩音は僕の友人です。誠の友達でもありますよ」
「そうじゃったんか」
「え、何で誠の名前も出てくるのよ」
不思議そうな顔で聞く彩音に、僕は狗神を指さして言った。
「このあやか・・・神様、誠のお祖父さんですよ」
「はあああああ?!」
彩音の声が朝の境内に響き渡る。
狗神はケラケラと笑い、宇迦と御魂は世間は狭いの・・・などと話していた。
「ありゃ、起こしてしまったかの」
そう言って狗神が僕を見る。
「いえ、普通に目が覚めただけです。・・・おはようございます」
「おう、おはよう」
立ち上がり、着替えようと服が置いてある場所まで行くと、狗神が言った。
「・・・山霧の。折角じゃし、お主も一緒に行くか?」
「・・・はい?」
突然何を言い出すんだと狗神を見ると、狗神はニコニコと笑っていた。
「何処に行くんですか?」
「稲荷の狐のとこじゃ。空の散歩ついでにどうかの?」
「いやまあ、別に良いですけど・・・」
「じゃあ決まりじゃな!待っててやるから、早く着替えて外に出て来い」
狗神はそう言って静かにお堂を出る。僕は急いで着替えると、ぐっすり寝ている
他の皆を起こさないようにそっとお堂を出た。
―――本来の大きな犬の姿に戻った狗神の背に跨り、空を駆ける。早朝ということも
あり、外の空気はとても澄んでいた。
丁度昇り始めた朝日に照らされて、狗神の銀色の毛がキラキラと光る。
「・・・狗神の毛って、見た目よりフワフワしてますよね」
狗神の背中を撫でながら言うと、狗神は自慢げに鼻を鳴らして言った。
「毎日良いモン食ってるからの。早起きしたお主の特権じゃ、存分に堪能すると
良い!」
「言いましたね?・・・では遠慮なく」
狗神の背中に抱き付き、存分にモフモフする。流石の狗神もそこまで想定して
いなかったのか、驚いた声を上げていた。
「や、山霧の!」
「何ですか、やめませんよ?・・・いつかこんな事してみたかったんですよね、
森には大きな動物はいませんでしたから」
「これでも神じゃぞ、ワシ・・・」
「堪能しろって言ったのはそっちじゃないですか」
モフモフする手を止めずにそう言うと、狗神は諦めたように深く溜息を吐いた。
「お主のそういう所は、父親譲りじゃの・・・」
狗神が皮肉交じりに呟くが、僕は気にせずフワフワを堪能するのだった。
―――ひたすら狗神をモフモフすること10分。狗神が突然空中で静止して言った。
「そろそろやめい、あ奴らの領域に入るぞ。ちゃんと座っておらんと振り落とす
からな」
「あ、はい」
僕はそう言ってモフモフする手を止め、きちんと座り直す。
「速度を上げるから、ちゃんと掴まっておくんじゃぞ」
何故速度を上げるんだろう?そう思っていると、狗神は察したのか説明して
くれた。
「ここから先は稲荷の狐の領域・・・つまり、縄張りなんじゃ。強い力を持つ妖や
神にはそれぞれ縄張りがあっての。その領域内に入った他の神や妖は何をされるか
分からん。だからさっさと辿り着きたいんじゃ」
「でも狗神は天狗さんの所に普通に居ましたよね?」
「あ奴は古くからの友だから良いんじゃ。今更何かすることもなかろう」
「稲荷の狐さんは違う、と?」
「あ奴らも古くからの知り合いではあるから、他の者よりは甘いがの・・・。
なんせ、ワシは迷惑客という扱いだからのう」
「え、何で・・・」
「昨日言ったじゃろ?ワシは今から、稲荷んとこのに油揚げをたかりに行くんじゃ」
「ああー・・・」
確かにそれは迷惑客だ。
古くからということは、狗神は稲荷の狐さんにちょくちょく油揚げをたかりに
行っているのかもしれない。
・・・あれ、狗神は稲荷の狐さんをあ奴らって言ってたよな。
「・・・あ奴らって言ってましたけど、稲荷の狐さんって複数居るんですか?」
僕がそう聞くと、狗神はちらりと僕を見て言った。
「稲荷の狐は、基本どの地域でも二対で一柱じゃ。勿論今から行く神社の奴らも
二体居る」
「そうなんですね」
狗神に言われて思い出したが、確かに稲荷神社は沢山ある。全部同じ神様を祀って
いるものだと思っていたが、それぞれに神様がいるのか。
「まあ、実際に会った方が早いじゃろ。行くぞ」
そう言って狗神は先程とは比べ物にならないスピードで空を駆ける。風圧で飛ば
されないよう狗神にしがみつき、前屈みになって風を凌ぐ。
着いたぞと言われ周りを見ると、そこは神社の境内だった。
「今日は居るの分かっとるんじゃぞー、出て来ーい!」
狗神が大きな声で叫ぶ。
すると、煩いぞ犬っころ!!という声と共に賽銭箱の前に二匹の狐が現れた。
「別に良いじゃろ、聞こえる人間なんて殆ど居ないんじゃし」
狗神がそう言いながら狐に近付く。
「ウチの者には聞こえとるんじゃ!折角久々に娘巫女が帰ってきたという
のに・・・」
「今日こそは油揚げはやらんからな!」
二匹の狐はそう言って狗神を睨みつけるが、狗神は気にする様子もなく言う。
「そう言いつつも毎度毎度くれるじゃろうが」
「隙を突いて奪っていくだけじゃろうが!」
狐はそう言って隣の狐と目配せをする。すると狐達は煙に包まれ、中から小学生
くらいの背丈の少年と少女が現れた。彼らは白衣と袴を着ており、その姿を見て
神様なのに巫女装束なのかと思った。
「帰ってもらうぞ狗神!御魂、捕まえるぞ!!」
少年がそう言うと、御魂と呼ばれた少女は頷き狗神に飛び掛かった。
「ワシが捕まると思うのか?」
狗神は御魂を躱すため、後ろに飛び退く。だがそれを読んでいたのか、少年が
後ろに回り込み、狗神の尻尾を掴んだ。
「宇迦、でかしたぞ!」
御魂がそう言って、宇迦と呼ばれた少年に近付く。宇迦が御魂に視線を移した時、
狗神がニヤリと笑って言った。
「甘いの」
その瞬間、狗神が煙に包まれる。その中から銀髪の犬耳を生やした男性が現れ、
宇迦の顔に手を向けた。
「あっ・・・」
宇迦がしまったという顔をした瞬間、狗神の手から緑色の小さな葉が宇迦の顔
目掛けて放たれた。
その葉はたちまち宇迦の顔を覆い尽くし、慌てて手を離した宇迦に狗神は言った。
「油断大敵じゃぞお?狐ぇ」
なかなか取れない葉に苦戦している宇迦を御魂が手伝う。その様子をニヤニヤ笑い
ながら狗神が見ていた。
「やり過ぎじゃないですか・・・?」
僕がそう言うと、御魂がうんうんと頷いて言った。
「そうじゃそうじゃ、もっと言ってやれ人間!!」
「・・・ちょっと待て。人間、我らが見えておるのか?」
宇迦が葉を取り終わり、僕を見る。はいと頷くと、宇迦と御魂は僕と狗神を交互に
見た。
「どういうことじゃ、狗神」
「そういえばお主、この人間を背に乗せておったな」
「どうも何も、こ奴は目が良い人間じゃよ。ワシの孫の友人じゃ」
「あ、えっと・・・はじめまして。山霧 静也といいます」
「静也・・・?のう御魂、この名前どこかで聞かなかったかの」
「・・・あ、一昨日娘巫女が言っておった名じゃ」
御魂の言葉にもしやと思う。その時、拝殿の裏からパタパタと音が聞こえた。
「宇迦様?御魂様?何かありましたー?」
そう言いながらやって来た少女を見て、やはりかと思う。
「・・・え?え、何で静也がここにいるの?!!」
驚いた顔で僕に駆け寄ってきたのは、彩音だった。
「えっと・・・狗神に付いて来たら、ここに」
「何じゃお主、ここの小娘と知り合いじゃったんか」
狗神が意外そうに言って僕と彩音を見た。
「彩音は僕の友人です。誠の友達でもありますよ」
「そうじゃったんか」
「え、何で誠の名前も出てくるのよ」
不思議そうな顔で聞く彩音に、僕は狗神を指さして言った。
「このあやか・・・神様、誠のお祖父さんですよ」
「はあああああ?!」
彩音の声が朝の境内に響き渡る。
狗神はケラケラと笑い、宇迦と御魂は世間は狭いの・・・などと話していた。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。
精霊が俺の事を気に入ってくれているらしく過剰に尽くしてくれる!が、周囲には精霊が見えず俺の評価はよろしくない
よっしぃ
ファンタジー
俺には僅かながら魔力がある。この世界で魔力を持った人は少ないからそれだけで貴重な存在のはずなんだが、俺の場合そうじゃないらしい。
魔力があっても普通の魔法が使えない俺。
そんな俺が唯一使える魔法・・・・そんなのねーよ!
因みに俺の周囲には何故か精霊が頻繁にやってくる。
任意の精霊を召還するのは実はスキルなんだが、召喚した精霊をその場に留め使役するには魔力が必要だが、俺にスキルはないぞ。
極稀にスキルを所持している冒険者がいるが、引く手あまたでウラヤマ!
そうそう俺の総魔力量は少なく、精霊が俺の周囲で顕現化しても何かをさせる程の魔力がないから直ぐに姿が消えてしまう。
そんなある日転機が訪れる。
いつもの如く精霊が俺の魔力をねだって頂いちゃう訳だが、大抵俺はその場で気を失う。
昔ひょんな事から助けた精霊が俺の所に現れたんだが、この時俺はたまたまうつ伏せで倒れた。因みに顔面ダイブで鼻血が出たのは内緒だ。
そして当然ながら意識を失ったが、ふと目を覚ますと俺の周囲にはものすごい数の魔石やら素材があって驚いた。
精霊曰く御礼だってさ。
どうやら俺の魔力は非常に良いらしい。美味しいのか効果が高いのかは知らんが、精霊の好みらしい。
何故この日に限って精霊がずっと顕現化しているんだ?
どうやら俺がうつ伏せで地面に倒れたのが良かったらしい。
俺と地脈と繋がって、魔力が無限増殖状態だったようだ。
そしてこれが俺が冒険者として活動する時のスタイルになっていくんだが、理解しがたい体勢での活動に周囲の理解は得られなかった。
そんなある日、1人の女性が俺とパーティーを組みたいとやってきた。
ついでに精霊に彼女が呪われているのが分かったので解呪しておいた。
そんなある日、俺は所属しているパーティーから追放されてしまった。
そりゃあ戦闘中だろうがお構いなしに地面に寝そべってしまうんだから、あいつは一体何をしているんだ!となってしまうのは仕方がないが、これでも貢献していたんだぜ?
何せそうしている間は精霊達が勝手に魔物を仕留め、素材を集めてくれるし、俺の身をしっかり守ってくれているんだが、精霊が視えないメンバーには俺がただ寝ているだけにしか見えないらしい。
因みにダンジョンのボス部屋に1人放り込まれたんだが、俺と先にパーティーを組んでいたエレンは俺を助けにボス部屋へ突入してくれた。
流石にダンジョン中層でも深層のボス部屋、2人ではなあ。
俺はダンジョンの真っただ中に追放された訳だが、くしくも追放直後に俺の何かが変化した。
因みに寝そべっていなくてはいけない理由は顔面と心臓、そして掌を地面にくっつける事で地脈と繋がるらしい。地脈って何だ?
Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~
百々 五十六
ファンタジー
極振りしてみたり、弱いとされている職やスキルを使ったり、あえてわき道にそれるプレイをするなど、一見、非効率的なプレイをして、ゲーム内で最強になるような作品が流行りすぎてしまったため、ゲームでみんな変なプレイ、ロマンプレイをするようになってしまった。
この世界初のフルダイブVRMMORPGである『Alliance Possibility On-line』でも皆ロマンを追いたがる。
憧れの、個性あふれるプレイ、一見非効率なプレイ、変なプレイを皆がしだした。
そんな中、実直に地道に普通なプレイをする少年のプレイヤーがいた。
名前は、早乙女 久。
プレイヤー名は オクツ。
運営が想定しているような、正しい順路で少しずつ強くなる彼は、非効率的なプレイをしていくプレイヤーたちを置き去っていく。
何か特別な力も、特別な出会いもないまま進む彼は、回り道なんかよりもよっぽど効率良く先頭をひた走る。
初討伐特典や、先行特典という、優位性を崩さず実直にプレイする彼は、ちゃんと強くなるし、ちゃんと話題になっていく。
ロマンばかり追い求めたプレイヤーの中で”普通”な彼が、目立っていく、新感覚VRMMO物語。
悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―
もいもいさん
ファンタジー
人気乙女ゲー『月と共に煌めいて~キラキラ魔法学園、ラブ注入200%~』略称『とにキラ』の世界。
エステリア・ハーブスト公爵令嬢はゲーム内の最大ライバルである悪役令嬢でどのルートでも悲惨な運命を辿る。ある日、前世の記憶を持って転生した事を知ったエステリア(5歳)は悲惨な運命を回避する為に動き出す!
風切山キャンプ場は本日も開拓中 〜妖怪達と作るキャンプ場開業奮闘記〜
古道 庵
キャラ文芸
弱り目に祟り目。
この数ヶ月散々な出来事に見舞われ続けていた"土井 涼介(どい りょうすけ)"二十八歳。
最後のダメ押しに育ての親である祖母を亡くし、田舎の実家と離れた土地を相続する事に。
都内での生活に限界を感じていたこともあり、良いキッカケだと仕事を辞め、思春期まで過ごした"風切村(かざきりむら)"に引っ越す事を決める。
手元にあるのは相続した実家と裏山の土地、そして趣味のキャンプ道具ぐらいなものだった。
どうせ自分の土地ならと、自分専用のキャンプ場にしようと画策しながら向かった裏山の敷地。
そこで出会ったのは祖父や祖母から昔話で聞かされていた、個性豊かな妖怪達だった。
彼らと交流する内、山と妖怪達が直面している窮状を聞かされ、自分に出来ることは無いかと考える。
「……ここをキャンプ場として開いたら、色々な問題が丸く収まるんじゃないか?」
ちょっとした思いつきから端を発した開業の話。
甘い見通しと希望的観測から生まれる、中身がスカスカのキャンプ場経営計画。
浮世離れした妖怪達と、田舎で再起を図るアラサー男。
そしてそんな彼らに呆れながらも手を貸してくれる、心優しい友人達。
少女姿の天狗に化け狸、古杣(ふるそま)やら山爺やら鎌鼬(かまいたち)やら、果ては伝説の大妖怪・九尾の狐に水神まで。
名も無き山に住まう妖怪と人間が織りなすキャンプ場開業&経営の物語。
風切山キャンプ場は、本日も開拓中です!
--------
本作は第6回キャラ文芸大賞にて、奨励賞を受賞しました!
稀代の大賢者は0歳児から暗躍する〜公爵家のご令息は運命に抵抗する〜
撫羽
ファンタジー
ある邸で秘密の会議が開かれていた。
そこに出席している3歳児、王弟殿下の一人息子。実は前世を覚えていた。しかもやり直しの生だった!?
どうしてちびっ子が秘密の会議に出席するような事になっているのか? 何があったのか?
それは生後半年の頃に遡る。
『ばぶぁッ!』と元気な声で目覚めた赤ん坊。
おかしいぞ。確かに俺は刺されて死んだ筈だ。
なのに、目が覚めたら見覚えのある部屋だった。両親が心配そうに見ている。
しかも若い。え? どうなってんだ?
体を起こすと、嫌でも目に入る自分のポヨンとした赤ちゃん体型。マジかよ!?
神がいるなら、0歳児スタートはやめてほしかった。
何故だか分からないけど、人生をやり直す事になった。実は将来、大賢者に選ばれ魔族討伐に出る筈だ。だが、それは避けないといけない。
何故ならそこで、俺は殺されたからだ。
ならば、大賢者に選ばれなければいいじゃん!と、小さな使い魔と一緒に奮闘する。
でも、それなら魔族の問題はどうするんだ?
それも解決してやろうではないか!
小さな胸を張って、根拠もないのに自信満々だ。
今回は初めての0歳児スタートです。
小さな賢者が自分の家族と、大好きな婚約者を守る為に奮闘します。
今度こそ、殺されずに生き残れるのか!?
とは言うものの、全然ハードな内容ではありません。
今回も癒しをお届けできればと思います。
【ダンジョン・ニート・ダンジョン】 ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、松井秀喜は現在ニート。
もちろんあの有名なアスリートではない。ただの同姓同名の二十六歳の男だ。
ある日の晩、愛犬ポチとアニメ鑑賞をしていたら庭の物置が爆発しその代わりにダンジョンが出来ていた!
これはニートが有り余る時間でダンジョンに潜ったり潜らなかったりするお話。
オリジン・オブ・クラウン
フルハヤタ ツル
ファンタジー
「俺の名前は……わかりません」
異世界で目を覚ました少年は、記憶も常識もない。魔法も使えない。
ーーー挙句の果てには美少女に無視される。
そんなどん底で、命を脅かされた末に手に入れたのは、全ての物質を作り出す、忌まわしき『異能』だった。
あらゆる物質を作り出す異能『オリジン』。少年は辛うじてチートと呼べる能力を手に、迫り来る魔獣や魔人の脅威、そして待ち受ける己の運命に立ち向かう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる