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帰省編
早朝
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―――僕も風呂に入り、明日に備えて早く寝る。久々の我が家。森と山に囲まれた
この家は、この時期の夜はとても寒い。
「やべえ、寒くて寝れる気がしねえ」
「和くん、そっち行って良い?くっついて寝れば暖かいって、お祖父ちゃんの
知り合いの化け犬が言ってた」
「野生の知恵ってやつですね。僕もそっちに行って良いですか?」
そう言って僕と誠は和正の寝ている布団に近寄る。そしてギュウギュウと押し合い
ながら、布団の中に潜り込んだ。
「いや暖かいけどさ・・・狭くね?」
「まあ、寒いよりはマシですし・・・」
「こんな寝方初めてで、何だかワクワクするね!」
「いやまあ、お前らが良いなら良いんだけどさあ・・・」
そんなことを言いながら、僕達は目を瞑る。暖かくなりやっとやって来た眠気に
身を任せながら、僕は眠りについた。
―――家の外から声がして、目が覚める。僕が身体を起こしたことで目を覚ました
のか、和正が眠そうな目で僕を見た。
「あ、おはようございます」
「・・・おはよう」
そう言って和正は大きなあくびをする。そうして部屋の時計を見て、早くね?と
呟いた。
僕も時計を見ると、6時前。外はまだ薄暗かった。
「すみません、起こしてしまって。・・・外から、声がしたので」
「声?」
僕と和正は誠を起こさないようにそっと立ち上がり、窓を開けて外を見る。
そこには赤芽と天春、そして小妖怪達が居た。
「・・・何、してるんです?」
「お、天春久しぶり」
和正がひらひらと手を振ると、天春もニコニコしながら手を振り返す。
「昨日静也が帰って来たって天春に電話したら、寝起きドッキリしようって言われた
のよ」
呆れ顔で赤芽が言うと、天春はえへへと頭を搔いた。
「失敗しちゃったけどね~」
「静也ニドッキリ仕掛ケタラ怒ラレルヨ?ッテ、ボクタチ止メタモン」
「物ハ試シッテ、天春ガ・・・」
「・・・へえ?」
どういうつもりだと天春を見ると、彼は慌てた顔をして小妖怪達の口を塞いで
いた。
「まあまあ、お互い様ってことで良いんじゃねえの?」
和正がそう言って笑うと、赤芽が首を傾げて聞く。
「お互い様って?」
「静也言ってたぜ?今回の帰省は天狗さん以外には伝えてない、驚かせたムグッ」
慌てて和正の口を塞ぐが時すでに遅し。天春達の方を見ると、ニヤニヤと笑って
僕を見ていた。
「へえ~?」
「あんた、そういう所は変わらないのね~」
「ネ~」
その様子に若干イラッとした僕は、和正を窓から引き離し、ピシャリと窓を
閉める。
「え、良いのか?閉めちゃって」
「良いんです、どうせあいつらの事ですから・・・」
そう言いながら僕が玄関に向かうと、和正も後ろから付いて来る。
「和正、腰抜かさないでくださいね」
「え?」
すると外から、閉めなくても良いじゃんかと天春の声がして、鍵を掛けているはず
の扉がガラガラと開いた。
「え、鍵開ける音しなかったんだけど」
「これに関しては、どうなっているのか聞いても教えてくれないんですよね・・・」
「改めまして、おはようございます!と、おかえりなさい!!」
ニコニコと挨拶をする天春の後ろから、赤芽と小妖怪達がひょこっと顔を出す。
「おはようございます。・・・ただいま」
「ネエネエ、和正クン。ボクタチ見エルッテ赤芽ガ言ッテタケド、本当?」
「おう、今はな!」
「オオー!!」
嬉しそうに和正の周りを飛び回る小妖怪達を横目に、僕は赤芽と天春に聞く。
「今から作りますけど、二人も朝食食べていきますか?」
「えっ、良いの?!食べる!」
「私も。ついでだから手伝うわよ」
「ありがとうございます。・・・ああそうだ、天春」
「何ー?」
「後で天狗さんの所へ行くので、来たついでに連れて行ってください」
「おっけー、任せて!」
この家は、この時期の夜はとても寒い。
「やべえ、寒くて寝れる気がしねえ」
「和くん、そっち行って良い?くっついて寝れば暖かいって、お祖父ちゃんの
知り合いの化け犬が言ってた」
「野生の知恵ってやつですね。僕もそっちに行って良いですか?」
そう言って僕と誠は和正の寝ている布団に近寄る。そしてギュウギュウと押し合い
ながら、布団の中に潜り込んだ。
「いや暖かいけどさ・・・狭くね?」
「まあ、寒いよりはマシですし・・・」
「こんな寝方初めてで、何だかワクワクするね!」
「いやまあ、お前らが良いなら良いんだけどさあ・・・」
そんなことを言いながら、僕達は目を瞑る。暖かくなりやっとやって来た眠気に
身を任せながら、僕は眠りについた。
―――家の外から声がして、目が覚める。僕が身体を起こしたことで目を覚ました
のか、和正が眠そうな目で僕を見た。
「あ、おはようございます」
「・・・おはよう」
そう言って和正は大きなあくびをする。そうして部屋の時計を見て、早くね?と
呟いた。
僕も時計を見ると、6時前。外はまだ薄暗かった。
「すみません、起こしてしまって。・・・外から、声がしたので」
「声?」
僕と和正は誠を起こさないようにそっと立ち上がり、窓を開けて外を見る。
そこには赤芽と天春、そして小妖怪達が居た。
「・・・何、してるんです?」
「お、天春久しぶり」
和正がひらひらと手を振ると、天春もニコニコしながら手を振り返す。
「昨日静也が帰って来たって天春に電話したら、寝起きドッキリしようって言われた
のよ」
呆れ顔で赤芽が言うと、天春はえへへと頭を搔いた。
「失敗しちゃったけどね~」
「静也ニドッキリ仕掛ケタラ怒ラレルヨ?ッテ、ボクタチ止メタモン」
「物ハ試シッテ、天春ガ・・・」
「・・・へえ?」
どういうつもりだと天春を見ると、彼は慌てた顔をして小妖怪達の口を塞いで
いた。
「まあまあ、お互い様ってことで良いんじゃねえの?」
和正がそう言って笑うと、赤芽が首を傾げて聞く。
「お互い様って?」
「静也言ってたぜ?今回の帰省は天狗さん以外には伝えてない、驚かせたムグッ」
慌てて和正の口を塞ぐが時すでに遅し。天春達の方を見ると、ニヤニヤと笑って
僕を見ていた。
「へえ~?」
「あんた、そういう所は変わらないのね~」
「ネ~」
その様子に若干イラッとした僕は、和正を窓から引き離し、ピシャリと窓を
閉める。
「え、良いのか?閉めちゃって」
「良いんです、どうせあいつらの事ですから・・・」
そう言いながら僕が玄関に向かうと、和正も後ろから付いて来る。
「和正、腰抜かさないでくださいね」
「え?」
すると外から、閉めなくても良いじゃんかと天春の声がして、鍵を掛けているはず
の扉がガラガラと開いた。
「え、鍵開ける音しなかったんだけど」
「これに関しては、どうなっているのか聞いても教えてくれないんですよね・・・」
「改めまして、おはようございます!と、おかえりなさい!!」
ニコニコと挨拶をする天春の後ろから、赤芽と小妖怪達がひょこっと顔を出す。
「おはようございます。・・・ただいま」
「ネエネエ、和正クン。ボクタチ見エルッテ赤芽ガ言ッテタケド、本当?」
「おう、今はな!」
「オオー!!」
嬉しそうに和正の周りを飛び回る小妖怪達を横目に、僕は赤芽と天春に聞く。
「今から作りますけど、二人も朝食食べていきますか?」
「えっ、良いの?!食べる!」
「私も。ついでだから手伝うわよ」
「ありがとうございます。・・・ああそうだ、天春」
「何ー?」
「後で天狗さんの所へ行くので、来たついでに連れて行ってください」
「おっけー、任せて!」
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