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第二部
知り合い
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―――それから数日後。俺は狗神が祀られている神社・・・戌威神社を訪れていた。
御鈴はやりたいことがあるとかで、令と共に朝早く出掛けていった。
「ありがとう」
そう言って利斧に借りた朧車に手を振ると、朧車はそれじゃあと言って去って
いく。
境内へ続く階段を上っていると、何処からか笛の音が聞こえてきた。
「あー、やっぱり間違える!!」
「ここどうやって吹いてたんだろうな・・・」
男性二人の声が聞こえる中階段を上りきると、茶髪の青年と黒髪の男性が賽銭箱の
前に腰掛けていた。
横笛を持っていた青年は俺に気が付くと、首を傾げる。男性も俺に気が付いた
ようで、スッと立ち上がって賽銭箱の前から離れた。
「ごめんな、邪魔だったろ」
そう言った男性に、いえ・・・と首を横に振る。
もしかしてこの人達も神が見えるのかなと思っていると、青年が言った。
「君、もしかしてお祖父ちゃんの知り合い?」
「お祖父ちゃん・・・?」
俺が首を傾げると、青年は俺に近付いて言った。
「えっと、狗神の知り合い?」
「あ、はい、そうです」
そう答えると、青年はニコニコと笑う。
「そっか!あ、ボクは誠。狗神の孫だよ!君から神様のニオイがしたから、
もしかしてと思ってさ」
青年・・・誠さんの言葉に、そういえば狗神には孫がいるんだっけかと思い出す。
「で、こっちがボクの友達の和くん!」
そう言って誠さんが男性を指さすと、男性は苦笑いを浮かべて言った。
「急に自己紹介されても困るよな。俺は日野 和正、君は?」
「えっと・・・岸戸 蒼汰です」
俺がそう言うと、拝殿の屋根の上から声が聞こえた。
「あれ、今日だっけ」
そちらを見ると、屋根の上に居たのは人間に変化した真悟さんで。屋根から
ピョンと飛び降りた真悟さんは、何事もなかったように普通に着地して俺を見た。
「うわっ、何してたんですか屋根の上で」
男性・・・和正さんが驚いた声を上げると、真悟さんは困ったように笑って
言った。
「この前、静也くんと親父が喧嘩しただろ?その時に屋根の一部が崩れていたみたい
でね、修理していたんだ」
「え、静也さん狗神と喧嘩したんですか?!」
驚いて声を上げると、静くんとも知り合いだったんだ・・・と誠さんが呟く。
「ちょっと親父が晴樹くんにちょっかいを掛けてね・・・。晴樹くんを怪我させたー
って、静也くんが凄い怒ったんだよ」
「あの時圭梧くん居なかったら、もっと大事になってただろうね・・・」
誠さんがそう言うと、和正さんが俺を見て言った。
「もしかしてと思ったんだけどさ、蒼汰くんって圭梧くん達のことも知ってる
のか?」
「知ってる・・・というか、圭梧と楓華は俺の友人です」
「晴くんの子供の友達で、晴くん経由で静くんと知り合って・・・静くん経由で
お祖父ちゃんと知り合いになったとみた」
俺の言葉に誠さんがそう言ったので、そうですねと頷く。
やった!と嬉しそうに誠さんは笑うと、真悟さんを見て言った。
「そういえばお父さん、蒼汰くんと知り合いだったの?」
「ああ、うん。ちょっとね」
真悟さんはそう言って頷くと、付いて来てと俺を手招きする。
「誠は練習の続きな。あと詰まってる所、息継ぎの場所変えたら楽になるよ。
日野くん、誠がサボらないように見といてね」
そう言って歩き出した真悟さんに、誠さんは不満げに、和正さんは苦笑いで
頷いた。
御鈴はやりたいことがあるとかで、令と共に朝早く出掛けていった。
「ありがとう」
そう言って利斧に借りた朧車に手を振ると、朧車はそれじゃあと言って去って
いく。
境内へ続く階段を上っていると、何処からか笛の音が聞こえてきた。
「あー、やっぱり間違える!!」
「ここどうやって吹いてたんだろうな・・・」
男性二人の声が聞こえる中階段を上りきると、茶髪の青年と黒髪の男性が賽銭箱の
前に腰掛けていた。
横笛を持っていた青年は俺に気が付くと、首を傾げる。男性も俺に気が付いた
ようで、スッと立ち上がって賽銭箱の前から離れた。
「ごめんな、邪魔だったろ」
そう言った男性に、いえ・・・と首を横に振る。
もしかしてこの人達も神が見えるのかなと思っていると、青年が言った。
「君、もしかしてお祖父ちゃんの知り合い?」
「お祖父ちゃん・・・?」
俺が首を傾げると、青年は俺に近付いて言った。
「えっと、狗神の知り合い?」
「あ、はい、そうです」
そう答えると、青年はニコニコと笑う。
「そっか!あ、ボクは誠。狗神の孫だよ!君から神様のニオイがしたから、
もしかしてと思ってさ」
青年・・・誠さんの言葉に、そういえば狗神には孫がいるんだっけかと思い出す。
「で、こっちがボクの友達の和くん!」
そう言って誠さんが男性を指さすと、男性は苦笑いを浮かべて言った。
「急に自己紹介されても困るよな。俺は日野 和正、君は?」
「えっと・・・岸戸 蒼汰です」
俺がそう言うと、拝殿の屋根の上から声が聞こえた。
「あれ、今日だっけ」
そちらを見ると、屋根の上に居たのは人間に変化した真悟さんで。屋根から
ピョンと飛び降りた真悟さんは、何事もなかったように普通に着地して俺を見た。
「うわっ、何してたんですか屋根の上で」
男性・・・和正さんが驚いた声を上げると、真悟さんは困ったように笑って
言った。
「この前、静也くんと親父が喧嘩しただろ?その時に屋根の一部が崩れていたみたい
でね、修理していたんだ」
「え、静也さん狗神と喧嘩したんですか?!」
驚いて声を上げると、静くんとも知り合いだったんだ・・・と誠さんが呟く。
「ちょっと親父が晴樹くんにちょっかいを掛けてね・・・。晴樹くんを怪我させたー
って、静也くんが凄い怒ったんだよ」
「あの時圭梧くん居なかったら、もっと大事になってただろうね・・・」
誠さんがそう言うと、和正さんが俺を見て言った。
「もしかしてと思ったんだけどさ、蒼汰くんって圭梧くん達のことも知ってる
のか?」
「知ってる・・・というか、圭梧と楓華は俺の友人です」
「晴くんの子供の友達で、晴くん経由で静くんと知り合って・・・静くん経由で
お祖父ちゃんと知り合いになったとみた」
俺の言葉に誠さんがそう言ったので、そうですねと頷く。
やった!と嬉しそうに誠さんは笑うと、真悟さんを見て言った。
「そういえばお父さん、蒼汰くんと知り合いだったの?」
「ああ、うん。ちょっとね」
真悟さんはそう言って頷くと、付いて来てと俺を手招きする。
「誠は練習の続きな。あと詰まってる所、息継ぎの場所変えたら楽になるよ。
日野くん、誠がサボらないように見といてね」
そう言って歩き出した真悟さんに、誠さんは不満げに、和正さんは苦笑いで
頷いた。
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