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第二部
犬猿
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―――いつの間にかやって来ていた狗神に、宇迦と御魂が俺の状況を説明する。
由紀が美咲の紹介を済ませた後、狗神は俺を見た。
「お主、会う度にニオイが変わっておるの。まるで別人じゃ」
「令にも似たようなこと言われましたよ・・・」
そんな言葉を交わした後、狗神は少し悩む様子を見せる。
「変化の方法と言われても、ワシも感覚でやっておるからの・・・。学んで変化
できるようになった者に聞いた方が分かりやすいじゃろう」
「えっと・・・?」
狗神の言葉につまりどういうことだろうと思っていると、彼は少し間を置いて
口を開いた。
「・・・真悟に頼むのが一番じゃろうな」
「なら、早速・・・!」
目を輝かせた御鈴に、狗神は何とも言えない顔をする。令と御鈴が首を傾げると、
狗神はボソッと呟いた。
「まあ、手取り足取り教えてくれるとは限らんがの」
―――話は通してやると言った狗神にお礼を言い、いつ行こうかという話になる。
変化は一日やそこらでできるものではないらしく、何度か通うことになりそうだ。
話が大方纏まった頃、男性二人の話し声が聞こえる。一人は静也さんっぽい声なの
だが・・・もう一人は誰だろうか。
「あ、お父さん達帰ってきた!」
由紀が嬉しそうな顔で言う。
「今日は喧嘩してないかな?」
美咲がそう言って心配そうな顔をする。
段々と近付いてくる静也さんともう一人の男性の声は、互いに不機嫌そうで。
「お前、いつになったら突っ込むのやめるんだよ」
「お前もいつになったら周りが見えるようになるんだよ」
静也さんの言葉に男性がそう返す。
「ほんっと変わんねえな、山霧」
「うるせえ、山野にだけは言われたくねえ」
男性の言葉に静也さんがそう返す。
やがて階段を上がってきた静也さんと男性は、互いに頬を怪我していた。
「お父さん、どうしたのその怪我!」
「お父さん、大丈夫?」
由紀と美咲がそう言いながら静也さんと男性に駆け寄る。
静也さんは由紀の頭を撫で、男性は美咲の肩に手を置いて同時に言った。
「大丈夫、怪我させてきたのこいつだから」
一言一句違わず同じ言葉を言った静也さんと男性・・・おそらく山野さんは、
互いに睨み合う。
「お父さんも美咲ちゃんのお父さんも、何でそんなに仲悪いの・・・」
「私達こんなに仲良いのに・・・」
由紀と美咲がそう言って呆れた顔をすると、山野さんは言った。
「学生の頃からこいつとは考えが合わないんだよ」
「卒業すれば縁切れると思ったのに、何故かよく一緒に仕事させられるし・・・」
静也さんがそう言って溜息を吐く。
「でも息ピッタリなんでしょ?学校の先生が、《最強》並みに強い組み合わせって
言ってたよ」
「あ、確かに言ってた!・・・まあ、頼むとき最初は必ず断られるらしいとも
言ってたけど」
由紀と美咲の言葉に、静也さんと山野さんは顔を見合わせる。そして、また同時に
言った。
「当り前だろ、こいつと仕事したくねえもん」
「あ?」
「んだよ」
再び睨み合った二人に、由紀と美咲が深い溜息を吐く。
「腐れ縁・・・というやつかの?」
御鈴が困惑した顔で、小さくボソリと呟いた。
―――美咲を連れ山野さんが帰った後、静也さんが俺を見て苦笑いを浮かべる。
「ごめん、遅れたけど・・・いらっしゃい」
「あ、えっと・・・お邪魔してます」
静也さんの言葉にそう返し、ペコリと頭を下げる。
「あの山野とかいう男、ワシらが見えておるのか見えておらんのか・・・」
狗神がそう言うと、静也さんは笑みを浮かべて言った。
「ああ、あいつ見えてるよ。見えてる上で無視してる」
「え、そうだったんですか?」
一度もこっち見なかったぞ・・・?なんて考えながら俺が言うと、静也さんは
うんと頷いた。
「関わったら面倒ごとに巻き込んでくるだろ、だってさ。俺の知り合いっぽい奴は、
妖だろうが神様だろうが全員無視してるらしい」
「全員って・・・」
令が言うと、由紀が苦笑いを浮かべて言った。
「美咲ちゃんのお父さん、お父さんとか叔父さんの知り合いには悪い奴がいないって
分かってるみたいで。妖嫌いだけど、その辺は許容してるらしいって美咲ちゃんが
言ってた」
「それ考えると、大分丸くなってんなあいつ・・・」
由紀の言葉に、静也さんはそうボソッと呟いた。
由紀が美咲の紹介を済ませた後、狗神は俺を見た。
「お主、会う度にニオイが変わっておるの。まるで別人じゃ」
「令にも似たようなこと言われましたよ・・・」
そんな言葉を交わした後、狗神は少し悩む様子を見せる。
「変化の方法と言われても、ワシも感覚でやっておるからの・・・。学んで変化
できるようになった者に聞いた方が分かりやすいじゃろう」
「えっと・・・?」
狗神の言葉につまりどういうことだろうと思っていると、彼は少し間を置いて
口を開いた。
「・・・真悟に頼むのが一番じゃろうな」
「なら、早速・・・!」
目を輝かせた御鈴に、狗神は何とも言えない顔をする。令と御鈴が首を傾げると、
狗神はボソッと呟いた。
「まあ、手取り足取り教えてくれるとは限らんがの」
―――話は通してやると言った狗神にお礼を言い、いつ行こうかという話になる。
変化は一日やそこらでできるものではないらしく、何度か通うことになりそうだ。
話が大方纏まった頃、男性二人の話し声が聞こえる。一人は静也さんっぽい声なの
だが・・・もう一人は誰だろうか。
「あ、お父さん達帰ってきた!」
由紀が嬉しそうな顔で言う。
「今日は喧嘩してないかな?」
美咲がそう言って心配そうな顔をする。
段々と近付いてくる静也さんともう一人の男性の声は、互いに不機嫌そうで。
「お前、いつになったら突っ込むのやめるんだよ」
「お前もいつになったら周りが見えるようになるんだよ」
静也さんの言葉に男性がそう返す。
「ほんっと変わんねえな、山霧」
「うるせえ、山野にだけは言われたくねえ」
男性の言葉に静也さんがそう返す。
やがて階段を上がってきた静也さんと男性は、互いに頬を怪我していた。
「お父さん、どうしたのその怪我!」
「お父さん、大丈夫?」
由紀と美咲がそう言いながら静也さんと男性に駆け寄る。
静也さんは由紀の頭を撫で、男性は美咲の肩に手を置いて同時に言った。
「大丈夫、怪我させてきたのこいつだから」
一言一句違わず同じ言葉を言った静也さんと男性・・・おそらく山野さんは、
互いに睨み合う。
「お父さんも美咲ちゃんのお父さんも、何でそんなに仲悪いの・・・」
「私達こんなに仲良いのに・・・」
由紀と美咲がそう言って呆れた顔をすると、山野さんは言った。
「学生の頃からこいつとは考えが合わないんだよ」
「卒業すれば縁切れると思ったのに、何故かよく一緒に仕事させられるし・・・」
静也さんがそう言って溜息を吐く。
「でも息ピッタリなんでしょ?学校の先生が、《最強》並みに強い組み合わせって
言ってたよ」
「あ、確かに言ってた!・・・まあ、頼むとき最初は必ず断られるらしいとも
言ってたけど」
由紀と美咲の言葉に、静也さんと山野さんは顔を見合わせる。そして、また同時に
言った。
「当り前だろ、こいつと仕事したくねえもん」
「あ?」
「んだよ」
再び睨み合った二人に、由紀と美咲が深い溜息を吐く。
「腐れ縁・・・というやつかの?」
御鈴が困惑した顔で、小さくボソリと呟いた。
―――美咲を連れ山野さんが帰った後、静也さんが俺を見て苦笑いを浮かべる。
「ごめん、遅れたけど・・・いらっしゃい」
「あ、えっと・・・お邪魔してます」
静也さんの言葉にそう返し、ペコリと頭を下げる。
「あの山野とかいう男、ワシらが見えておるのか見えておらんのか・・・」
狗神がそう言うと、静也さんは笑みを浮かべて言った。
「ああ、あいつ見えてるよ。見えてる上で無視してる」
「え、そうだったんですか?」
一度もこっち見なかったぞ・・・?なんて考えながら俺が言うと、静也さんは
うんと頷いた。
「関わったら面倒ごとに巻き込んでくるだろ、だってさ。俺の知り合いっぽい奴は、
妖だろうが神様だろうが全員無視してるらしい」
「全員って・・・」
令が言うと、由紀が苦笑いを浮かべて言った。
「美咲ちゃんのお父さん、お父さんとか叔父さんの知り合いには悪い奴がいないって
分かってるみたいで。妖嫌いだけど、その辺は許容してるらしいって美咲ちゃんが
言ってた」
「それ考えると、大分丸くなってんなあいつ・・・」
由紀の言葉に、静也さんはそうボソッと呟いた。
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