神と従者

彩茸

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第一部

出会い

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―――彼女もいなけりゃ友達も殆どいない。両親は長期の海外出張に行っていて、
家には俺一人。
だけど、それ以外はごく平凡。そう、平凡な人生を送っていた。

「お主、名は何という?わらわ御鈴みすず、神じゃ!凄いじゃろう!!」

 ・・・こいつに会うまでは、平凡な人生だったんだ。



―――平日の昼下がり、特にやる事もなくブラブラと外を歩いていた。
大学生の夏休みは長い。課題もさっさと終わらせて、暇だった。
何となく、近くの山に足を向ける。それほど高くもない山の山頂付近で、声を掛け
られた。

「そこのお主!」

 幼い少女の声に振り向くと、そこには着物を着た小学生くらいの背丈の少女が
 立っていた。
 白髪赤目の少女に、アルビノってやつか・・・?なんて思う。少女は俺に近付いて
 くると、胸を張って言った。

「お主、名は何という?妾は御鈴、神じゃ!凄いじゃろう!!」

 突然の発言に何なんだこいつと思いながら、俺は少女から数歩下がった。

「何故離れるのじゃ、人間!」

「いや、え、ええ・・・」

 返す言葉が見つからず、一歩、また一歩と近付いてくる少女から離れる。
 その時、ズルリと足を滑らせた。バランスを崩した俺は、斜面を転げ落ちる・・・
 はずだった。

「危ない!!」

 少女が、俺の腕を掴む。子供とは思えないその力で俺を支えた少女は、心配そうな
 顔で俺を見て言った。

「怪我はないか?人間」

「え、ああ・・・ありがとう」

 何だ今のと思いながら、少女にお礼を言う。すると少女はニッコリと笑って、再び
 言った。

「お主、名は何という?」

「・・・岸戸きしど 蒼汰そうた

 俺の名前を聞いた少女は嬉しそうに笑うと、俺をビシッと指さして言った。

「良い名じゃ!蒼汰、妾の従者になれ!!」

「・・・はい?」
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