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10話
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MPやHP、スキルについて。どうせ視られてるんだから、と正直に答えていく。まあスキルとか属性とか大切そうなところは『???』なのだけれど。鑑定魔法を使えば、その人が持つスキルや属性を明らかにすることが出来るらしいが、基本的には幼少期から魔法が身近にあるため、その必要はほとんど無いらしい。希の場合はそもそも魔法を使ったこともないし、フロウの鑑定魔法でも分からなかったとのこと。
それと、召喚場所について。現代人の廃れた方向感覚を必死に研ぎ澄ませて、どこから歩いてきたのかを説明すると、どうやら現在、希がいるシトリン王国とは違う国らしいことが判明した。希を召喚したのはお隣の国で、ルチル王国と言うらしい。
「じゃあ、私を巻き込み召喚した国とは別ってことですよね? また森に転がされる心配はしなくていいってことですか?」
忌まわしきその名を心に刻み、希は声を弾ませる。今後金輪際近付かなければ、まさか国外逃亡した用無しを追ってくることなどないだろう。
ここから解放されたらどうにか一人で生きていく算段を立てねば、と心のなかでガッツポーズをする希に、フロウが笑みを向ける。そろそろその目元が笑っていないことに希が気が付いていることに、彼も気が付いて欲しい。
「そうですね。貴女は私が保護する事にしましょうか」
「は?」
「はい?」
同時に首を傾げた。今の話の流れでどうしてそうなった。事情聴取の後は解放してくれるんじゃなかったのか。希の視線が言わんとしていることに気がついたのか、フロウは「あぁ」と言った。
「貴女、身分も仕事も知り合いもなく、これからどう生きていくおつもりですか」
「サバイバル?」
「MP、HPともに50の貴女がサバイバル出来るほど甘い国ではないですよ。あの森で生きていられたのも運が良かっただけ」
「えー……異世界人なのにチートももらえないなんて、不憫な異世界召喚ですね」
魔物の瘴気をひたすら吸い付くす能力をチートと呼んでいいのだったらいただいているが。
不満げな顔をする希のコメントをスルーして、フロウは口を開く。
「ところで、貴女……ノゾミはなぜ殺されそうになったのですか? 聖女でなくても、異世界から人を召喚するためにかかる人件費や魔力消費は馬鹿にならないと簡単に予想できます。殺すほど邪険に扱う、というのは些か合理性に欠ける行動だと感じます」
「……合理的かどうかより、感情を優先することもあるのが人間ですヨ」
それに召喚にコストがかかるのなら、それを維持するのにも当然コストがかかるのでしょう。聖女と同じ待遇ではないにしても。
やれやれですよ、と肩を竦めて見せれば、フロウはひとまずこれ以上の情報をこいつから得ることは出来ないと判断したらしく、先ほど入ってきたドアの方へと向かい、ノブに手をかけた。
「しばらくはこの小屋を使って療養しましょう。ここは自由に使っていただいて構いません。気丈に振る舞っているおつもりでしょうが、ひどく疲れいるように見えます。見た目の傷には回復魔法をかけましたが……無理をさせて申し訳ありませんでした」
しおらしく言ったあと、着替えはそこに、と指差す。示されたほうを見ると、服が積まれていた。いつの間に。
「ありがとうございます」
着替えは素直に嬉しい。欲を言えばお風呂も入りたいが、と日々川の水を浴びていたことを思い出して遠い目をすると、「あとでお湯も持ってきますから」と希の心を読んだかのようにフロウは言った。
それと、召喚場所について。現代人の廃れた方向感覚を必死に研ぎ澄ませて、どこから歩いてきたのかを説明すると、どうやら現在、希がいるシトリン王国とは違う国らしいことが判明した。希を召喚したのはお隣の国で、ルチル王国と言うらしい。
「じゃあ、私を巻き込み召喚した国とは別ってことですよね? また森に転がされる心配はしなくていいってことですか?」
忌まわしきその名を心に刻み、希は声を弾ませる。今後金輪際近付かなければ、まさか国外逃亡した用無しを追ってくることなどないだろう。
ここから解放されたらどうにか一人で生きていく算段を立てねば、と心のなかでガッツポーズをする希に、フロウが笑みを向ける。そろそろその目元が笑っていないことに希が気が付いていることに、彼も気が付いて欲しい。
「そうですね。貴女は私が保護する事にしましょうか」
「は?」
「はい?」
同時に首を傾げた。今の話の流れでどうしてそうなった。事情聴取の後は解放してくれるんじゃなかったのか。希の視線が言わんとしていることに気がついたのか、フロウは「あぁ」と言った。
「貴女、身分も仕事も知り合いもなく、これからどう生きていくおつもりですか」
「サバイバル?」
「MP、HPともに50の貴女がサバイバル出来るほど甘い国ではないですよ。あの森で生きていられたのも運が良かっただけ」
「えー……異世界人なのにチートももらえないなんて、不憫な異世界召喚ですね」
魔物の瘴気をひたすら吸い付くす能力をチートと呼んでいいのだったらいただいているが。
不満げな顔をする希のコメントをスルーして、フロウは口を開く。
「ところで、貴女……ノゾミはなぜ殺されそうになったのですか? 聖女でなくても、異世界から人を召喚するためにかかる人件費や魔力消費は馬鹿にならないと簡単に予想できます。殺すほど邪険に扱う、というのは些か合理性に欠ける行動だと感じます」
「……合理的かどうかより、感情を優先することもあるのが人間ですヨ」
それに召喚にコストがかかるのなら、それを維持するのにも当然コストがかかるのでしょう。聖女と同じ待遇ではないにしても。
やれやれですよ、と肩を竦めて見せれば、フロウはひとまずこれ以上の情報をこいつから得ることは出来ないと判断したらしく、先ほど入ってきたドアの方へと向かい、ノブに手をかけた。
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