10 / 15
1章:城塞都市フランセーズ編
序盤戦
しおりを挟む
晴天の空。雲一つない快晴の空。もしこの空の下で童話が始まるならそれはたいそう幸せなシーンなのだろう。
しからば、アリアとウィリアムが築き上げた血と臓物の道は天気に反逆している。ゴブリンアーチャーの殺害から始まった殺戮道。この道は晴天なんぞより暗雲と落雷がこれ以上ないほど似合う。
アイオライトの道しるべは最後の役目を果たした。
つまり、アリアとウィリアムとリーナをオークの村まで導いた。
けれど、アイオライトの導きは確実に目的地まで導くがその光芒は怪物たちにも敵が来ることを知らせた。
故に、三人を待ち構えるのは軽く50はいるオークの群れ。現代軍事で言い換えれば一個小隊の化け物がそこにはいた。
鈍らな剣では切り裂けない筋肉質な体。人間の骨をも砕く牙。大樹を吹き飛ばす豪力。イノシシ以上のスピードで動く機動性。食物ピラミッドで上位に君臨するまごうことなき化け物、オーク。
それが三人を殺すために今か今かと森林の中で待ち構えていた。
「……これは死にましたね……」
だから、アリアがこう思うのは無理もない。
普通はバリスタでやっとのこと仕留める化け物だ。森林の中で討ち取ることを画策するなら樹上から一撃を決めてから木を遮蔽物に討ち取ることがセオリー。間違っても切り開けた場所で、しかも味方より多い数を相手する相手ではない。
それにアリアは思う。これまでの道でこの二人も消耗している、と。あの20匹の跡にも群れで襲ってきたゴブリンども。あるいは光に導かれてやってきた有象無象の化け物ども。そのどれをも一本の剣をもってたたき切ったアリア・ルテル。そしてその補助に神経をすり減らしたウィリアム・コルベール。
今代の英雄である彼らを持っていしても今の状態でこれらのオークを切り捨てることは不可能だと思う。
「私が殿を務めます。私の仇討ちなのでお二人が死ぬことはないですよ。一匹でも多くを道ずれにしてやりますよ」
だから、ここからは私の喧嘩だと彼らに告げる。あなたたちは死ぬことはないと。それにここまで連れてきてくれたことに感謝すらしているのだ。遺産を食いつぶしても殺しきれなかった化け物たち。本来の実力ではここまで来ることすらままならなかったのだから。
しかし、二人の英雄は笑う。
そして、告げる。
「馬鹿ね。お嬢ちゃんは賭けたんでしょ?私たちに」
「おう。信じろ。俺らを」
しかし、二人の英雄の雰囲気はリーナの言葉に否をつけつける。
雰囲気が語るのだ。
“俺たちが勝つ”、と
「オーク共!!人類の敵!!クソども!!これから俺たちがおまえたちをぶっ殺す!!」
ウィリアムは大口上を挙げる。
鋼の剣、何の変哲もない鋼の剣をオークの首領、あの変異種に向けながら叫ぶ。
口角を吊り上げ、ニィと笑いながら。
「ええ。私のために死になさい」
この英雄の雰囲気はリーナを鼓舞する。
体の震えは止まることもなく、彼我の戦力差は絶望的。状況に変わりなし。
それでも、一歩もその場から足を引くことなく声を上げた。
「いいえ。アリアさん。私たちのために、です」
三人の開戦の口上は終わった。
変異種のオークも叫ぶ。
「ワレはオークの王ゴリアテ。キサマラをコロスモノ!!」
ボスの口上にオークは答える。
わかりきった答えを。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァッァァァァァァァァァ!!」
50の音撃が開戦の合図となる。
その合図を契機に総員弾ける。
アリアも、ウィリアムも、リーナも、ゴリアテも、普通のオークも選択肢は一つ。ただ前進。
アリアは変異種に一撃を入れるために。
ウィリアムは敵を射程に収めるために。
リーナは仇の首を刈るために。
ゴリアテは自慢の剛腕で敵を殲滅するために。
オークは近接こそすべてだったために。
だから、この大衝撃は必然だった。
『守護の剣』アリア・ルテルの剣と『オークの王』ゴリアテの拳が衝撃を生む。それでも両者は地面から足を浮かさない。アリアはオニキスの肉体の加護の力で、ゴリアテは持ち前の豪力で。体勢すら崩さず二人は二撃目を繰り出す。剣の一撃と拳の一撃という代り映えない一撃で。
炸裂。炸裂。炸裂。
空気の爆発。衝撃の津波。音の暴力。
戦場の中心でアリアとゴリアテはぶつかり合う。
砂塵と衝撃の中。オークも、アリアも、一歩も足を動かすことができなかった。必死に衝撃を耐え忍ぶことが精いっぱい。それに、足を浮かそうものなら後方に吹き飛んでしまうだろう。
しかし、この空間で一人だけ多少制限はされたとしても動くことができるものがいた。彼にとってアリアが生み出す衝撃波は日常でしかない。弱き頃は動けない自分にほぞをかんでいた。戦いを始めたのは自分で最後まで責任をとるべきは自分なのにアリアに頼ってしまっていたあの頃。けれど、今いる彼はあの頃ではない。
故に、彼の、『不敗』の一撃が花開く。
「ルビーよ。ルビー。宝石の王よ。我、ウィリアム・コルベールに加護を」
簡潔な詠唱がウィリアムに赤色の加護を身にまとわせる。
そして、そのまま詠唱をする。
「破滅、血を含みし赤。その伝承と歴史を受け継ぎし赤の権能よ」
ゴリアテの方向に掲げた手の前。
詠唱と共にウィリアムの体ほどの赤色の魔法陣が生成される。
ゴリアテは赤の魔術を感じてからウィリアムから距離をとることを試みようとしていた。ゴリアテにとって平易な剣も、槍も、もちろん弓矢もその身には意味をなさないだろう。眼前の女が振るう剣は体を切断するだろうがそれは鋼の鋭さではなく、この女の技術と豪力ゆえだ。そして、この女と同様の危うさを男の赤から感じ取っていた。
「ガァァァァァァァァァ!!」
それでも離れられない。その場に食い止められる。女の剣がオークに引くことを許さない。
足を後ろに引く素振りを見せれば、その足でしか打ち返せない斬撃を放ち。女を吹き飛ばすための剛撃を撃とうものなら同等の剛撃をもって足を止められ。
アリアの剛健はオークの足を食い止め続ける。
「一手でも手ぬるい手を打ってみなさい。その時はウィルの一撃を撃つ前に私が切り捨てるわ!!」
虚勢を張りながらアリアは吠える。
本来、『魔獣討伐流』のなにがしかの技で斬りあいたい。それは体が覚えた最適な動きが最高威力を発揮するからだ。
それを目の前のオークの王は行わせてくれない。あくまで暴力。力のフィールドで戦うことを強要してくる。オニキスの加護があったところで本質は開放。当たり前のように消耗する、それも本来より格段に速いスピードで。
だが、ウィリアムの一撃を決めるためにこれまで無理無茶通して踏ん張ってきた。
だから、これは必然。
ウィリアムの気配の高まりとともにアリアは吹き飛ばされる。ゴリアテの剛撃と共に吹き飛ばされる。押し負けたアリアは受け身もとることができず、ただ転がる。地面にすり、石に体を傷つけられそれでも転がり続ける。
10メートルは後方にいたウィリアムの横を吹き飛ばされる。
しかし、その時、世界は赤を受け入れる。
だから、ウィリアムも出し惜しみをせず自身の全力をもって赤を解き放つ。
「今ここ、眼前の敵を撃ち滅ぼすためにその赤、現界せよ!!」
炸裂の砲はゴリアテに直撃する。滅びの幻想を宿した赤の閃光はゴリアテに直撃した後、ゴリアテ後方にいたオークを消滅させ、その後ろにあった森を跡形もなく消し飛ばした。
しかし、この一撃で削りきったのはゴリアテの右半身のみ。アリアのドロップアウト共に全力の横っ飛びを敢行したからだ。また、普通のオークとは比べ物にならない肉体強度が赤の閃光を受けてもゴリアテの体を現世に残した。
「…………ギッッッッッツツツ!!ガァァァァァァァァァ!!」
だから、これは怒りの咆哮。
ウィリアムたちに向けられた殺意の咆哮。
「しくじったわ。まさか吹き飛ばされるとは思っていなかったわ」
血みどろながらアリアはウィリアムとリーナの横に立つ。
まだ、私も戦えると言わんばかりの雰囲気で。
奇しくも立ち位置は最初に戻る。
三人は広場の入り口に立ち、オークはそれを待ち構える。
アリアは頭を筆頭に体中に数多くの擦り傷を抱え、ゴリアテは右半身の機能停止。
主力二人はこれにて負傷兵へ。衝撃の結界も二人の戦力低下により形成不可能。
すなわち、これより一騎打ちの時代は終わり。総力戦の時代である。
オーク陣営は赤の砲撃で滅ぼされなかった20匹のオークと右半身を機能停止となった『オークの王』ゴリアテ。
対して、冒険者陣営は満身創痍のアリア。赤の砲撃で魔術の力の大半を失ったウィリアム。そして、オニキスの加護を受けたリーナ。
「……見誤ったわね」
「……ああ。仲間は三人。敵は21」
「……死線になりますよ」
悲壮な想像に満ちた冒険者陣営。
だから、ウィリアムは問う。
「死ぬ気は?」
「……なんでこれくらいで死ぬのよ」
アリアは獰猛に笑う。
本来、立つことも難しい体で、呵々、と笑う。
「……私はまだこれからですよ?……仇すら討ってないじゃないですか」
リーナも吠える。
ただ、仇を殺すために。ただ、それ以外の思いも生み出されてきたが。
「おうさ。これからだとも。いくぞ!!」
死の恐怖と共に三人は足を前に出す————
しからば、アリアとウィリアムが築き上げた血と臓物の道は天気に反逆している。ゴブリンアーチャーの殺害から始まった殺戮道。この道は晴天なんぞより暗雲と落雷がこれ以上ないほど似合う。
アイオライトの道しるべは最後の役目を果たした。
つまり、アリアとウィリアムとリーナをオークの村まで導いた。
けれど、アイオライトの導きは確実に目的地まで導くがその光芒は怪物たちにも敵が来ることを知らせた。
故に、三人を待ち構えるのは軽く50はいるオークの群れ。現代軍事で言い換えれば一個小隊の化け物がそこにはいた。
鈍らな剣では切り裂けない筋肉質な体。人間の骨をも砕く牙。大樹を吹き飛ばす豪力。イノシシ以上のスピードで動く機動性。食物ピラミッドで上位に君臨するまごうことなき化け物、オーク。
それが三人を殺すために今か今かと森林の中で待ち構えていた。
「……これは死にましたね……」
だから、アリアがこう思うのは無理もない。
普通はバリスタでやっとのこと仕留める化け物だ。森林の中で討ち取ることを画策するなら樹上から一撃を決めてから木を遮蔽物に討ち取ることがセオリー。間違っても切り開けた場所で、しかも味方より多い数を相手する相手ではない。
それにアリアは思う。これまでの道でこの二人も消耗している、と。あの20匹の跡にも群れで襲ってきたゴブリンども。あるいは光に導かれてやってきた有象無象の化け物ども。そのどれをも一本の剣をもってたたき切ったアリア・ルテル。そしてその補助に神経をすり減らしたウィリアム・コルベール。
今代の英雄である彼らを持っていしても今の状態でこれらのオークを切り捨てることは不可能だと思う。
「私が殿を務めます。私の仇討ちなのでお二人が死ぬことはないですよ。一匹でも多くを道ずれにしてやりますよ」
だから、ここからは私の喧嘩だと彼らに告げる。あなたたちは死ぬことはないと。それにここまで連れてきてくれたことに感謝すらしているのだ。遺産を食いつぶしても殺しきれなかった化け物たち。本来の実力ではここまで来ることすらままならなかったのだから。
しかし、二人の英雄は笑う。
そして、告げる。
「馬鹿ね。お嬢ちゃんは賭けたんでしょ?私たちに」
「おう。信じろ。俺らを」
しかし、二人の英雄の雰囲気はリーナの言葉に否をつけつける。
雰囲気が語るのだ。
“俺たちが勝つ”、と
「オーク共!!人類の敵!!クソども!!これから俺たちがおまえたちをぶっ殺す!!」
ウィリアムは大口上を挙げる。
鋼の剣、何の変哲もない鋼の剣をオークの首領、あの変異種に向けながら叫ぶ。
口角を吊り上げ、ニィと笑いながら。
「ええ。私のために死になさい」
この英雄の雰囲気はリーナを鼓舞する。
体の震えは止まることもなく、彼我の戦力差は絶望的。状況に変わりなし。
それでも、一歩もその場から足を引くことなく声を上げた。
「いいえ。アリアさん。私たちのために、です」
三人の開戦の口上は終わった。
変異種のオークも叫ぶ。
「ワレはオークの王ゴリアテ。キサマラをコロスモノ!!」
ボスの口上にオークは答える。
わかりきった答えを。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァッァァァァァァァァァ!!」
50の音撃が開戦の合図となる。
その合図を契機に総員弾ける。
アリアも、ウィリアムも、リーナも、ゴリアテも、普通のオークも選択肢は一つ。ただ前進。
アリアは変異種に一撃を入れるために。
ウィリアムは敵を射程に収めるために。
リーナは仇の首を刈るために。
ゴリアテは自慢の剛腕で敵を殲滅するために。
オークは近接こそすべてだったために。
だから、この大衝撃は必然だった。
『守護の剣』アリア・ルテルの剣と『オークの王』ゴリアテの拳が衝撃を生む。それでも両者は地面から足を浮かさない。アリアはオニキスの肉体の加護の力で、ゴリアテは持ち前の豪力で。体勢すら崩さず二人は二撃目を繰り出す。剣の一撃と拳の一撃という代り映えない一撃で。
炸裂。炸裂。炸裂。
空気の爆発。衝撃の津波。音の暴力。
戦場の中心でアリアとゴリアテはぶつかり合う。
砂塵と衝撃の中。オークも、アリアも、一歩も足を動かすことができなかった。必死に衝撃を耐え忍ぶことが精いっぱい。それに、足を浮かそうものなら後方に吹き飛んでしまうだろう。
しかし、この空間で一人だけ多少制限はされたとしても動くことができるものがいた。彼にとってアリアが生み出す衝撃波は日常でしかない。弱き頃は動けない自分にほぞをかんでいた。戦いを始めたのは自分で最後まで責任をとるべきは自分なのにアリアに頼ってしまっていたあの頃。けれど、今いる彼はあの頃ではない。
故に、彼の、『不敗』の一撃が花開く。
「ルビーよ。ルビー。宝石の王よ。我、ウィリアム・コルベールに加護を」
簡潔な詠唱がウィリアムに赤色の加護を身にまとわせる。
そして、そのまま詠唱をする。
「破滅、血を含みし赤。その伝承と歴史を受け継ぎし赤の権能よ」
ゴリアテの方向に掲げた手の前。
詠唱と共にウィリアムの体ほどの赤色の魔法陣が生成される。
ゴリアテは赤の魔術を感じてからウィリアムから距離をとることを試みようとしていた。ゴリアテにとって平易な剣も、槍も、もちろん弓矢もその身には意味をなさないだろう。眼前の女が振るう剣は体を切断するだろうがそれは鋼の鋭さではなく、この女の技術と豪力ゆえだ。そして、この女と同様の危うさを男の赤から感じ取っていた。
「ガァァァァァァァァァ!!」
それでも離れられない。その場に食い止められる。女の剣がオークに引くことを許さない。
足を後ろに引く素振りを見せれば、その足でしか打ち返せない斬撃を放ち。女を吹き飛ばすための剛撃を撃とうものなら同等の剛撃をもって足を止められ。
アリアの剛健はオークの足を食い止め続ける。
「一手でも手ぬるい手を打ってみなさい。その時はウィルの一撃を撃つ前に私が切り捨てるわ!!」
虚勢を張りながらアリアは吠える。
本来、『魔獣討伐流』のなにがしかの技で斬りあいたい。それは体が覚えた最適な動きが最高威力を発揮するからだ。
それを目の前のオークの王は行わせてくれない。あくまで暴力。力のフィールドで戦うことを強要してくる。オニキスの加護があったところで本質は開放。当たり前のように消耗する、それも本来より格段に速いスピードで。
だが、ウィリアムの一撃を決めるためにこれまで無理無茶通して踏ん張ってきた。
だから、これは必然。
ウィリアムの気配の高まりとともにアリアは吹き飛ばされる。ゴリアテの剛撃と共に吹き飛ばされる。押し負けたアリアは受け身もとることができず、ただ転がる。地面にすり、石に体を傷つけられそれでも転がり続ける。
10メートルは後方にいたウィリアムの横を吹き飛ばされる。
しかし、その時、世界は赤を受け入れる。
だから、ウィリアムも出し惜しみをせず自身の全力をもって赤を解き放つ。
「今ここ、眼前の敵を撃ち滅ぼすためにその赤、現界せよ!!」
炸裂の砲はゴリアテに直撃する。滅びの幻想を宿した赤の閃光はゴリアテに直撃した後、ゴリアテ後方にいたオークを消滅させ、その後ろにあった森を跡形もなく消し飛ばした。
しかし、この一撃で削りきったのはゴリアテの右半身のみ。アリアのドロップアウト共に全力の横っ飛びを敢行したからだ。また、普通のオークとは比べ物にならない肉体強度が赤の閃光を受けてもゴリアテの体を現世に残した。
「…………ギッッッッッツツツ!!ガァァァァァァァァァ!!」
だから、これは怒りの咆哮。
ウィリアムたちに向けられた殺意の咆哮。
「しくじったわ。まさか吹き飛ばされるとは思っていなかったわ」
血みどろながらアリアはウィリアムとリーナの横に立つ。
まだ、私も戦えると言わんばかりの雰囲気で。
奇しくも立ち位置は最初に戻る。
三人は広場の入り口に立ち、オークはそれを待ち構える。
アリアは頭を筆頭に体中に数多くの擦り傷を抱え、ゴリアテは右半身の機能停止。
主力二人はこれにて負傷兵へ。衝撃の結界も二人の戦力低下により形成不可能。
すなわち、これより一騎打ちの時代は終わり。総力戦の時代である。
オーク陣営は赤の砲撃で滅ぼされなかった20匹のオークと右半身を機能停止となった『オークの王』ゴリアテ。
対して、冒険者陣営は満身創痍のアリア。赤の砲撃で魔術の力の大半を失ったウィリアム。そして、オニキスの加護を受けたリーナ。
「……見誤ったわね」
「……ああ。仲間は三人。敵は21」
「……死線になりますよ」
悲壮な想像に満ちた冒険者陣営。
だから、ウィリアムは問う。
「死ぬ気は?」
「……なんでこれくらいで死ぬのよ」
アリアは獰猛に笑う。
本来、立つことも難しい体で、呵々、と笑う。
「……私はまだこれからですよ?……仇すら討ってないじゃないですか」
リーナも吠える。
ただ、仇を殺すために。ただ、それ以外の思いも生み出されてきたが。
「おうさ。これからだとも。いくぞ!!」
死の恐怖と共に三人は足を前に出す————
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【忘れるな、憎い君と結婚するのは亡き妻の遺言だということを】
男爵家令嬢、ジェニファーは薄幸な少女だった。両親を早くに亡くし、意地悪な叔母と叔父に育てられた彼女には忘れられない初恋があった。それは少女時代、病弱な従姉妹の話し相手として滞在した避暑地で偶然出会った少年。年が近かった2人は頻繁に会っては楽しい日々を過ごしているうちに、ジェニファーは少年に好意を抱くようになっていった。
少年に恋したジェニファーは今の生活が長く続くことを祈った。
けれど従姉妹の体調が悪化し、遠くの病院に入院することになり、ジェニファーの役目は終わった。
少年に別れを告げる事もできずに、元の生活に戻ることになってしまったのだ。
それから十数年の時が流れ、音信不通になっていた従姉妹が自分の初恋の男性と結婚したことを知る。その事実にショックを受けたものの、ジェニファーは2人の結婚を心から祝うことにした。
その2年後、従姉妹は病で亡くなってしまう。それから1年の歳月が流れ、突然彼から求婚状が届けられた。ずっと彼のことが忘れられなかったジェニファーは、喜んで後妻に入ることにしたのだが……。
そこには残酷な現実が待っていた――
*他サイトでも投稿中
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。

〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる