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魔法学園
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春がきて、私は魔法学園に入学した。
初めて来る場所なのに、とても懐かしい感じ。
そりゃそうだよね。
だって、あっちこっち、ゲームの背景と同じなんだもん。
『ロマンス・オブ・ファンタジア』は背景に力が入っていた。
建築の歴史の専門家だかが監修していたらしく、しっかりした建物が描かれていた。
まあ、専門家でもなんでもない私が見てもわかんないんだけど。
違和感がないくらいにはしっかりと作られていた。
前庭の花壇。
校舎玄関。
渡り廊下。
女子寮。
すごいすごい。
全部ゲームの通りだ。
まるで長い間東京で暮らした後、母校に帰ってきたひとみたいな気分。
私がきょろきょろしながら女子寮に入ると、寮母さんが頭を下げてきた。
「お待ちしておりました。シルフィラ・ブラドフィリア様」
「あ、はい」
え、なにこの歓迎。
と思ったけどそりゃそうか。
私、公爵令嬢なんですよね。
慣れないなぁ。
「お部屋にご案内いたします」
「あ、はい。ありがとうございます」
言われるままに寮母さんについていく私。
いいのかなぁ。
周りに新入生らしき人たち、いっぱいいるんだけど。
その人たちは壁に貼られた案内図を見て、各々勝手に部屋に向かっている。
あ、なんかさっそく友達になってる人たちがいる。
むー。
羨ましい。
と、その生徒たちの中に、ルーデシアがいるのを私は発見した。
この世界の『主人公』であるヒロインだ。
貴族や大商人の娘が多いこの場で、庶民出身の彼女の慎ましい服装はむしろ目立っていた。
誰も彼女に話しかけようとはしない。
ここでの友達作りは、多くの生徒にとって将来の社交の場に向けての地歩固めだ。
その観点から言ったら、庶民のルーデシアに話しかける理由はないんだろう。
ルーデシアは案内図を見ようとして生徒にぶつかられて、逆に謝りながら自分の部屋に向かっていった。
大丈夫かな。
なんか心配になる。
「どういたしましたか、シルフィラ様?」
「あ、いいえ」
気になったけど、寮母さんに呼ばれたので、私はついていく。
「こちらでございます」
は?
でっか!
さすがに公爵邸の部屋ほど広くはないけど、寮の部屋のサイズじゃないよこれ。
しかもこれで一人部屋?
「こちらの続き部屋はメイドの方々の部屋となっております」
おかしいおかしいおかしい。
ただでさえ広いのに続き部屋まで!
いや確かにメイド、いるんですけどね、二人。
言ってしまえばこれも慣れない。
プライベートな空間に、別の女の子が二人、常に控えているのだ。
落ち着かないよ?
いっそこの二人のベッドもこの部屋に運び込んで、ルームメイトみたいに過ごしてもらったほうが気が楽なんだけど。
そういうわけにはいかないんだろうなぁ。
はい、諦めます。
こんなに恵まれた環境を用意してもらってるんですもの。
文句なんて言えません。
初めて来る場所なのに、とても懐かしい感じ。
そりゃそうだよね。
だって、あっちこっち、ゲームの背景と同じなんだもん。
『ロマンス・オブ・ファンタジア』は背景に力が入っていた。
建築の歴史の専門家だかが監修していたらしく、しっかりした建物が描かれていた。
まあ、専門家でもなんでもない私が見てもわかんないんだけど。
違和感がないくらいにはしっかりと作られていた。
前庭の花壇。
校舎玄関。
渡り廊下。
女子寮。
すごいすごい。
全部ゲームの通りだ。
まるで長い間東京で暮らした後、母校に帰ってきたひとみたいな気分。
私がきょろきょろしながら女子寮に入ると、寮母さんが頭を下げてきた。
「お待ちしておりました。シルフィラ・ブラドフィリア様」
「あ、はい」
え、なにこの歓迎。
と思ったけどそりゃそうか。
私、公爵令嬢なんですよね。
慣れないなぁ。
「お部屋にご案内いたします」
「あ、はい。ありがとうございます」
言われるままに寮母さんについていく私。
いいのかなぁ。
周りに新入生らしき人たち、いっぱいいるんだけど。
その人たちは壁に貼られた案内図を見て、各々勝手に部屋に向かっている。
あ、なんかさっそく友達になってる人たちがいる。
むー。
羨ましい。
と、その生徒たちの中に、ルーデシアがいるのを私は発見した。
この世界の『主人公』であるヒロインだ。
貴族や大商人の娘が多いこの場で、庶民出身の彼女の慎ましい服装はむしろ目立っていた。
誰も彼女に話しかけようとはしない。
ここでの友達作りは、多くの生徒にとって将来の社交の場に向けての地歩固めだ。
その観点から言ったら、庶民のルーデシアに話しかける理由はないんだろう。
ルーデシアは案内図を見ようとして生徒にぶつかられて、逆に謝りながら自分の部屋に向かっていった。
大丈夫かな。
なんか心配になる。
「どういたしましたか、シルフィラ様?」
「あ、いいえ」
気になったけど、寮母さんに呼ばれたので、私はついていく。
「こちらでございます」
は?
でっか!
さすがに公爵邸の部屋ほど広くはないけど、寮の部屋のサイズじゃないよこれ。
しかもこれで一人部屋?
「こちらの続き部屋はメイドの方々の部屋となっております」
おかしいおかしいおかしい。
ただでさえ広いのに続き部屋まで!
いや確かにメイド、いるんですけどね、二人。
言ってしまえばこれも慣れない。
プライベートな空間に、別の女の子が二人、常に控えているのだ。
落ち着かないよ?
いっそこの二人のベッドもこの部屋に運び込んで、ルームメイトみたいに過ごしてもらったほうが気が楽なんだけど。
そういうわけにはいかないんだろうなぁ。
はい、諦めます。
こんなに恵まれた環境を用意してもらってるんですもの。
文句なんて言えません。
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