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死亡ルートを回避したい
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私、シルフィラ。
ブラドフィリア公爵家の一人娘。
実は私、吸血鬼なんです!
……という設定の悪役令嬢に転生しました。
なんて面倒な。
悪役令嬢ってだけでわりと厄介なのに、おまけに吸血鬼って。
設定盛りすぎじゃない?
しかしなってしまったものは仕方がない。
私はお父様とお母様と使用人に囲まれ、すくすく成長した。
吸血鬼って言っても、日の光を避けたりする必要はない。
この世界の吸血鬼は、食料が人の血液ってだけ。
それも、殺したりする必要もない。
ブラドフィリア家の場合は、領民が提供してくれた血を集めて保存しておいて、それを飲むのである。
血に含まれる魔力が、私たち吸血鬼のエネルギーになっているらしい。
まあ、普通のごはんを食べられないのはちょっと悲しいけどね。
夜しか外に出られないとか、棺桶で寝なきゃいけないみたいな制約がないので、吸血鬼にしてはマシだと思おう。
そうして屋敷とその周辺で暮らしながら、私はこの世界のことを学びつつ、ゲーム上の設定をおさらいしていく。
女性向け恋愛シミュレーションゲーム『ロマンス・オブ・ファンタジア』。
略してロマファン。
その世界が、私が今いる世界だ。
剣と魔法のファンタジー世界。
この世界には亜人種と呼ばれる様々な種族が人間とともに暮らしている。
私たち吸血鬼もその一種族だ。
ブラドフィリア家は吸血鬼の公爵。
ヴァンダール王国に仕える大貴族だ。
物語の舞台になるのは、この王国にある魔法学園。
そこに入学したヒロインであるルーデシアが様々な王子役と出会う。
メインの王子役は決まっていて、ジャスティンという隣国の王子だ。
そしてここからが重要なのだけど――。
私はこのジャスティンに殺されることになっている。
理不尽!
でもゲームではそういう展開だったのだ。
私がジャスティンに惚れて、邪魔なルーデシアを殺そうとする。
怒ったジャスティンの剣が、シルフィラを真っ二つに……。
そして吸血鬼である私はチリになって消えてしまう。
冗談じゃないよね!
これを回避する一番の方法は、そう。
そもそも魔法学園に入学しないこと。
でもそれは難しいみたい。
この世界の貴族は魔法学園の卒業資格がなければ爵位を剥奪されてしまうらしいのだ。
そんな設定ゲームにはなかったと思うんだけど。
世界中の貴族の子女が魔法学園に通っている
その事実に納得できる設定が必要だったんでしょう。
この世界がどういう成り立ちで生まれたのかはわからないけど。
どうも、そういう法則というか、ルールはあるみたい。
つまり、ゲーム内の事実はこの世界にきっちり反映されている。
そしてそれが不自然じゃないように、いくつかの「設定」が追加されている。
とにかくそんなわけで、魔法学園に通わないというのは難しい。
せっかくの公爵令嬢としての地位を棒に振る気にもなれないし。
育ててくれたお父様やお母様にも申し訳がない。
使用人たちを路頭に迷わせたくもないしね。
なので次善の策。
ジャスティン王子を狙わない。
そうすればルーデシアは邪魔にならないし。
ジャスティンの怒りを買うことはない。
これは案外簡単そうだ。
なぜならジャスティン王子、それほど私の好みじゃないのだ。
いや、すごくいい人なんですよ?
ゲームでは、庶民の出であるルーデシアにも分け隔てなく接する。
成績優秀、スポーツ万能、さらに外見も性格もいいときてる。
しかも王子だ。
もー完璧。
あまりに完璧すぎて私にはピンと来なかった。
私の好みはもうちょっと身近に感じられる存在なのだ。
まあゲームの話だけど。
とにかくそんな感じなので、私はジャスティン王子は狙わない。
彼との政略結婚が必要とか、そういう事情もなさそうだし。
って、思ってたんだけどさぁ……。
どうも、そう簡単にはいかないようだった。
ブラドフィリア公爵家の一人娘。
実は私、吸血鬼なんです!
……という設定の悪役令嬢に転生しました。
なんて面倒な。
悪役令嬢ってだけでわりと厄介なのに、おまけに吸血鬼って。
設定盛りすぎじゃない?
しかしなってしまったものは仕方がない。
私はお父様とお母様と使用人に囲まれ、すくすく成長した。
吸血鬼って言っても、日の光を避けたりする必要はない。
この世界の吸血鬼は、食料が人の血液ってだけ。
それも、殺したりする必要もない。
ブラドフィリア家の場合は、領民が提供してくれた血を集めて保存しておいて、それを飲むのである。
血に含まれる魔力が、私たち吸血鬼のエネルギーになっているらしい。
まあ、普通のごはんを食べられないのはちょっと悲しいけどね。
夜しか外に出られないとか、棺桶で寝なきゃいけないみたいな制約がないので、吸血鬼にしてはマシだと思おう。
そうして屋敷とその周辺で暮らしながら、私はこの世界のことを学びつつ、ゲーム上の設定をおさらいしていく。
女性向け恋愛シミュレーションゲーム『ロマンス・オブ・ファンタジア』。
略してロマファン。
その世界が、私が今いる世界だ。
剣と魔法のファンタジー世界。
この世界には亜人種と呼ばれる様々な種族が人間とともに暮らしている。
私たち吸血鬼もその一種族だ。
ブラドフィリア家は吸血鬼の公爵。
ヴァンダール王国に仕える大貴族だ。
物語の舞台になるのは、この王国にある魔法学園。
そこに入学したヒロインであるルーデシアが様々な王子役と出会う。
メインの王子役は決まっていて、ジャスティンという隣国の王子だ。
そしてここからが重要なのだけど――。
私はこのジャスティンに殺されることになっている。
理不尽!
でもゲームではそういう展開だったのだ。
私がジャスティンに惚れて、邪魔なルーデシアを殺そうとする。
怒ったジャスティンの剣が、シルフィラを真っ二つに……。
そして吸血鬼である私はチリになって消えてしまう。
冗談じゃないよね!
これを回避する一番の方法は、そう。
そもそも魔法学園に入学しないこと。
でもそれは難しいみたい。
この世界の貴族は魔法学園の卒業資格がなければ爵位を剥奪されてしまうらしいのだ。
そんな設定ゲームにはなかったと思うんだけど。
世界中の貴族の子女が魔法学園に通っている
その事実に納得できる設定が必要だったんでしょう。
この世界がどういう成り立ちで生まれたのかはわからないけど。
どうも、そういう法則というか、ルールはあるみたい。
つまり、ゲーム内の事実はこの世界にきっちり反映されている。
そしてそれが不自然じゃないように、いくつかの「設定」が追加されている。
とにかくそんなわけで、魔法学園に通わないというのは難しい。
せっかくの公爵令嬢としての地位を棒に振る気にもなれないし。
育ててくれたお父様やお母様にも申し訳がない。
使用人たちを路頭に迷わせたくもないしね。
なので次善の策。
ジャスティン王子を狙わない。
そうすればルーデシアは邪魔にならないし。
ジャスティンの怒りを買うことはない。
これは案外簡単そうだ。
なぜならジャスティン王子、それほど私の好みじゃないのだ。
いや、すごくいい人なんですよ?
ゲームでは、庶民の出であるルーデシアにも分け隔てなく接する。
成績優秀、スポーツ万能、さらに外見も性格もいいときてる。
しかも王子だ。
もー完璧。
あまりに完璧すぎて私にはピンと来なかった。
私の好みはもうちょっと身近に感じられる存在なのだ。
まあゲームの話だけど。
とにかくそんな感じなので、私はジャスティン王子は狙わない。
彼との政略結婚が必要とか、そういう事情もなさそうだし。
って、思ってたんだけどさぁ……。
どうも、そう簡単にはいかないようだった。
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