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第6章 ガルアシラ・ヴォルフォンシアガルド編
232 突入
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突如俺たちの上空にやってきた神聖大要塞ガルシラ。
それは焔狼族の始祖ガルシラが作った対魔族用決戦兵器であるという。
焔狼族として先祖返りしたロロコがそれを使えれば。
もしかしたら魔王に対抗することも可能かもしれない。
というわけでガルシラに乗り込むことになった。
「上部の都市部分は魔法障壁が張られていて侵入は難しいです。乗り込むなら下部のダンジョン部分ですね」
とアルメル。
ガルシラは長い年月を経てダンジョンとなっていた。
世界四大ダンジョンの一つ、廃棄都市ダンジョンだ。
そちらもガルシラと同化している。
しかし、都市の術式で守られているわけではない。
なので侵入は可能というわけだ。
空に浮いているガルシラの下半分。
岩に無数の穴が空いている。
そのどれかから侵入し、上部の都市を目指す、というわけだ。
いやー、まさか本当に世界四大ダンジョンを全部巡ることになるとはな。
感慨深いような。
それどころじゃないような。
けど、今はずいぶんと落ち着いた気分だ。
目的もなくさまようわけじゃない。
危険はもちろんあるだろうけど。
鎧が今にも壊れそうとか。
腕や兜しかないとか。
そんな状況でもない。
万全の体勢で。
仲間とともに。
すべての混乱を終わらせるために。
いざ!
◆◇◆◇◆
ごう!と風を切りドラゴン態となったドグラが飛ぶ。
その背には俺。
その隣にロロコ。
俺の中には、フィルシオール皇帝陛下が入っていらっしゃる。
ロロコはなんだか不満そうだったが、しょうがないだろ。
廃棄都市ダンジョンとガルシラの内部に一番詳しいのは陛下だ。
万が一があったら困るからな。
――ぎいぎいぎい!
――きえええええええ!
高い声を撒き散らしながら、ダンジョンから飛行系のモンスターが出現する。
「邪魔じゃ」
ドグラが炎を吐き、モンスターを一掃する。
うぉ、すげえ。
しかしモンスターは後から後から湧いて出てくる。
「キリがないの。あとは自分でどうにかせい」
仕方ねえな。
俺はドグラの周りを飛ぶマジカルアーマーたちを操る。
6000体の俺の分身たち。
それが一斉に発光を放つ。
原初魔法のビームだ。
一瞬空が真っ白に染まり、それがおさまるとモンスターたちは消え去っていた。
我ながら恐ろしい威力……。
しかしモンスターたちは後から後から湧き出てくる。
ダンジョンに原初魔法をぶっ放せば早いんだろうけど。
それではガルシラも吹き飛んでしまう。
というわけで俺とドグラは進路上の邪魔なモンスターを倒すだけにする。
残ったモンスターは地上へ向かってしまう。
そっちはみんなに任せるしかない。
幸いガルシラは速度を落とすことなく、そのまま南へ飛んでいる。
どこに向かっているかは知らないけど。
とりあえず俺たちの拠点を攻撃するつもりだったわけじゃなさそうだ。
「もうすぐ突入じゃ。準備せい」
ドグラの言葉に俺は身構えた。
ダンジョンの入り口が一気に目の前に迫る。
横向きになっていて、比較的取り付きやすい形だ。
ドグラがその手前で急停止する。
俺はジャンプしてダンジョンの穴に飛び込んだ。
続いてドグラが人間態に戻り飛び込んでくる。
同時に、6000体のマジカルアーマー旅団もそれぞれべつの穴に飛び込む。
進行開始だ。
それは焔狼族の始祖ガルシラが作った対魔族用決戦兵器であるという。
焔狼族として先祖返りしたロロコがそれを使えれば。
もしかしたら魔王に対抗することも可能かもしれない。
というわけでガルシラに乗り込むことになった。
「上部の都市部分は魔法障壁が張られていて侵入は難しいです。乗り込むなら下部のダンジョン部分ですね」
とアルメル。
ガルシラは長い年月を経てダンジョンとなっていた。
世界四大ダンジョンの一つ、廃棄都市ダンジョンだ。
そちらもガルシラと同化している。
しかし、都市の術式で守られているわけではない。
なので侵入は可能というわけだ。
空に浮いているガルシラの下半分。
岩に無数の穴が空いている。
そのどれかから侵入し、上部の都市を目指す、というわけだ。
いやー、まさか本当に世界四大ダンジョンを全部巡ることになるとはな。
感慨深いような。
それどころじゃないような。
けど、今はずいぶんと落ち着いた気分だ。
目的もなくさまようわけじゃない。
危険はもちろんあるだろうけど。
鎧が今にも壊れそうとか。
腕や兜しかないとか。
そんな状況でもない。
万全の体勢で。
仲間とともに。
すべての混乱を終わらせるために。
いざ!
◆◇◆◇◆
ごう!と風を切りドラゴン態となったドグラが飛ぶ。
その背には俺。
その隣にロロコ。
俺の中には、フィルシオール皇帝陛下が入っていらっしゃる。
ロロコはなんだか不満そうだったが、しょうがないだろ。
廃棄都市ダンジョンとガルシラの内部に一番詳しいのは陛下だ。
万が一があったら困るからな。
――ぎいぎいぎい!
――きえええええええ!
高い声を撒き散らしながら、ダンジョンから飛行系のモンスターが出現する。
「邪魔じゃ」
ドグラが炎を吐き、モンスターを一掃する。
うぉ、すげえ。
しかしモンスターは後から後から湧いて出てくる。
「キリがないの。あとは自分でどうにかせい」
仕方ねえな。
俺はドグラの周りを飛ぶマジカルアーマーたちを操る。
6000体の俺の分身たち。
それが一斉に発光を放つ。
原初魔法のビームだ。
一瞬空が真っ白に染まり、それがおさまるとモンスターたちは消え去っていた。
我ながら恐ろしい威力……。
しかしモンスターたちは後から後から湧き出てくる。
ダンジョンに原初魔法をぶっ放せば早いんだろうけど。
それではガルシラも吹き飛んでしまう。
というわけで俺とドグラは進路上の邪魔なモンスターを倒すだけにする。
残ったモンスターは地上へ向かってしまう。
そっちはみんなに任せるしかない。
幸いガルシラは速度を落とすことなく、そのまま南へ飛んでいる。
どこに向かっているかは知らないけど。
とりあえず俺たちの拠点を攻撃するつもりだったわけじゃなさそうだ。
「もうすぐ突入じゃ。準備せい」
ドグラの言葉に俺は身構えた。
ダンジョンの入り口が一気に目の前に迫る。
横向きになっていて、比較的取り付きやすい形だ。
ドグラがその手前で急停止する。
俺はジャンプしてダンジョンの穴に飛び込んだ。
続いてドグラが人間態に戻り飛び込んでくる。
同時に、6000体のマジカルアーマー旅団もそれぞれべつの穴に飛び込む。
進行開始だ。
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