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第6章 ガルアシラ・ヴォルフォンシアガルド編

227 魔族襲来!

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 この世界では魔族は滅びたとされていた。

 しかし『大変動』という異変をきっかけにして復活した。
 多くの人間が魔族として覚醒したのだ。
 それはロロコの先祖返りと似たようなものなのかもしれない。

 覚醒した魔族は大陸各地でその地の支配者となったり暴れたりしてるらしい。
 そしてその一部はヴォルフォニア帝国に集まっている。

 帝国は大幅に領地を減らした。
 残っているのは、廃棄都市ダンジョンとその周辺だけだ。

 旧帝都ガルシラでもあるそこには皇帝とライレンシア博士がいる。
 皇帝の側近でもあった彼女が大変動を引き起こした張本人だ。

 廃都ダンジョンに集った魔族は新たな魔族の国を建国するつもりらしい。

 その魔族たちが今俺たちのいる場所に空から突っ込んでくる。

「な、どうなっている!?」

 空を埋め尽くすような魔族の大群にクラクラが声を上げる。

〈もしかして魔王の力に惹かれてきたのか?〉

「魔王? まさかクーネア殿が……?」

 あー、一体どこから説明したらいいんだ?
 俺が異世界から来たことは把握してるんだっけ?
 えっと、エドも同じ世界から来たことは?


 えーっと、うーんっと……。

 ああもう、めんどくせえ!
 あとあと!

 とりあえず今はあの魔族たちをなんとかしよう。

 魔族たちはどうやら正気を失っているっぽい。

「がああああ……!」
「ぐおおおお……!」

 どこか苦しげなうめき声を上げながら地上に降りたって人間に襲いかかる。

「くっ……おい、やめろ!」
「くそっ、やりづれえ!」

 みんな抵抗するが攻撃は加えられない。

 なにしろ魔族も先祖返りしただけで元は普通の人間だ。
 もしかしたら知り合いの可能性だってある。

 魔族が各地で支配を広げられたのは、そのせいもあったのかもしれない。

〈仕方ないな……〉

 俺は息をつくと、体内の魔力を整える。
 そしてそれをうすーく引き伸ばす感じで周囲に放出した。

「ぐっ……!?」
「があぁ……!」

 すぐに魔族たちがバタバタと倒れていく。

「リビたん?」
〈大丈夫、気絶させただけだ〉

 クーネアさんに吸収されかけたときに魔王の力に触れた。

 膨大な魔力。
 しかし物質が少ない。

 この世界の生き物は物質と魔力の両方で構成されている。
 その中で例えば人間は物質が多めだし、エルフは魔力が多めだ。
 だがそれも、魔王と比べると誤差の範囲だ。

 魔王の構成は魔力に偏っている。
 そしてそれは魔族も同じようだ。

 先祖返りした今の魔族は元が人間なので昔の魔族とは違うんだろうけど。
 それでも多量の魔力を有している。

 そしてその魔力に干渉すれば簡単に動きを封じることができる。

 これもリビングアーマーとしての俺の力だ。
 今となっては、エドにそう育て上げられたという気がしないでもない。
 それはちょっとシャクだけど。

 まあそんなことを言っても仕方ない。

 それより今は魔族たちをなんとかしよう。

 さー、どんどんくるぞ!
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