転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼

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第6章 ガルアシラ・ヴォルフォンシアガルド編

223 ロロコさんの本気(ガチのやつ)

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「ああ……久しいな、エド」
「お待たせいたしました、陛下」

 以前と主従の逆転したクーネアさんとエド。

 信じられない気分で俺は二人を眺める。

 クーネアさんはもはや別人だ。
 服も禍々しいデザインのドレスみたいな格好。
 その背後には謎の有機的で幾何学的な翼みたいなものがくっついている。

 クーネアさんだと識別できる部分はメガネくらいだ。

 魔王というならあれほど魔王らしい姿はない。

「余の意識を戻したということは……計画は最終段階ということか」

「その通りです。あとはあのリビングアーマーを陛下が取り込めば、ゲートを開けます」

 え?
 俺を取り込む?

〈ぐわっ!〉

 急に強い力に引っ張られた。
 クーネアさんから強烈な磁力が発生して、それに引きつけられているような感じ。

 うわあああああ!

〈どういうことだ……〉

 と聞いてはみたものの、もうエドの意図はわかってしまった。

 あいつ、初めから俺を元の世界に連れていくつもりなんかなかったんだ。

 自分と、俺の力を吸収したクーネアさん。
 人の精神――内面を操る力を持ったエド。
 世界の魔力――外面を操る力を持ったクーネアさん。

 二人で一人の魔王として、あっちの世界に君臨するつもりなんだ。

 くそっ、冗談じゃねえぞ!

 俺はなんとか踏ん張るが、どうしようもなかった。

 あっという間に身体が浮き上がり。
 ビターン! とクーネアさんの背後の肉でできた翼みたいなパーツに張り付いた。

 そしてそのまま。
 ズブズブズブズブ……と肉の中に沈み込んでいく。

 うわわわわあ!
 やばいやばいやばい!
 
 感覚でなんとなくわかる。
 もしここで取り込まれたら、俺の意識は消え去ってしまう。
 そうなれば、ここまでの苦労が水の泡だ。

 しかしクーネアさんの磁力のような力は膨大だ。
 魔力を操って反発しようとするが、全然うまくいかない。

 うわー!
 もう半分くらい埋まってしまった!

 くそっ……これは、本気でマズい……っ。

「リビたんを離せ!」

 ロロコ!?

 無茶だ!
 いくら傷が回復したからって、普通の人犬族が魔王に勝てるわけが――。


 ――ザシュ!


〈へ?〉

 炎を帯びた鋭い銀閃。
 それが走ったと思ったら、俺の身体がクーネアさんから分離した。

 俺は慌ててクーネアさんから離れる。
 近くにあった岩にしがみついて、なんとか引っ張られる力に耐える。

 カッコ悪いけどなりふり構っちゃいられないんでね。

 それより今のは……?

 スタッと目の前にロロコが着地した。

 え?
 いや?
 どうなってんの?

 そこには全身に炎をまとった巨大な犬がいた。

 これロロコー!?
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