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第6章 ガルアシラ・ヴォルフォンシアガルド編

210 ヒナワの話

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「拙者は、フィオンティアーナで皆様と別れた後、雇い主のもとへ報告に向かっておりました」

 というわけでヒナワの話だ。

 ヒナワたちヤマトの里の忍びは帝国に諜報員として雇われていた。
 直接の雇い主はたしか、騎士団長とかだったはず。

「そうです。騎士団長のガイアンです」

 しかし、ヒナワはなかなか彼に連絡が取れなかったそうだ。

 それもそのはず。
 ガイアンは、フリエルノーラ国のエルフを捕らえる帝国軍の指揮をとっていた。
 忙しくてそれどころではなかったのだ。

「とはいえ、チェインハルト商会が魔王を復活させようとしているかもしれないという、とんでもない話ですから、報告を怠るわけには参りません」

 そこでヒナワは一旦ヤマトの里に戻ることにしたそうだ。
 情報を共有し、他の忍びにも大陸の各地に飛んでもらう。
 ガイアンを見つけた者が、誰でもいいから報告をする、というつもりだった。

「しかしそれどころではなくなりました」

 大規模な魔響震。
 そして大変動。
 大陸が真っ二つに割れてしまった。

「その時には、ガイアンがエルフの人々を連れて帝都に向かっているという情報は得ていたのですが、そこへ向かうのは難しくなっておりました」

 この大陸の北半分と南半分は大きな森で分断されている。
 ヴェルターネックの森と呼ばれる大森林だ。
 その地下には大洞窟ダンジョンが広がっている。

 その洞窟と森を切り取り線にするみたいに、大陸が割れたのだそうだ。
 今、そこには大渓谷が出来上がっている。
 そしてそこには、海の水が東西両方から流れ込み続けているという。

「ヤマトの里は大陸の南に、ガイアンやエルフの人々は北側におります。そもそも行き来ができなくなってしまったのです」

 無茶苦茶なことになってたんだな。

 あれ?
 でもヒナワ、今大陸の北側の帝都にいるよね?
 それに、エルフやオークの人たち。
 ラッカムさんやラフィオンさんも。

「妾が運んだのじゃ」
「あたくしもですわ」

 とドグラとマグラ。

 そうだったのか。
 エンシェント・ドラゴンがそこまで人間と仲良くなるとは。

「ふん。楽しくはないがの」
「世界が滅びるかもしれないとなれば、仕方ありませんわ」

 なるほどな。

〈ん? でも、その大変動の話、なんでヒナワがするとわかりやすいんだ?〉

 今の話だと、この大陸中の人間が影響を受けたっぽい。
 特段、ヒナワがそれに詳しいってわけでもないのでは?

「それはでございますね」

 とヒナワが言ってくる。

「拙者が、大変動を起こした人物を目撃したからです」
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