転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼

文字の大きさ
上 下
246 / 286
第6章 ガルアシラ・ヴォルフォンシアガルド編

206 ベルの話

しおりを挟む
 俺たちは宮殿からさらに移動を始めた。

 ちなみにあの宮殿は普段は使われていないらしい。
 今回は俺の意識を召喚するための装置を設置する場所として選んだって話だった。

 俺への解説役はベルに移っていた。

 ベル・ガレンシア。
 バリガンガルドの城主にして、ガレンシア公爵。

 その傍らにはメイドのカタリナさんが付き従っている。
 さらに彼の背後にはゴーレムが護衛のように張り付いている。

「元々僕は、ガレンシア公爵位を取り戻すために、エドと取引をしていたんです」

 なんでも、彼は正統なガレンシア公爵位の継承者。
 しかし、彼の両親が謀殺され、爵位を奪われてしまった。
 そして彼はバリガンガルドの城で使用人に身をやつしていたのだ。

 そこへ現れたのがエド。
 ゴーレム五百体をベルに貸すと申し出てきたのだという。
 その条件は……。

「僕がガレンシア公爵位を取り戻した暁には、公国内での冒険者ギルドを増設・優遇することを約束しました」

 まあ、納得の条件だな。
 エドがただの商会の代表だとしたら。

 ベルはゴーレムを使い、バリガンガルドの城を占拠した。
 兵士も住民も好意的で、決起は簡単に成功した。
 そして、準備を整え、ガレンシア本国へ向かおうとしたところで事件が起こった。

 俺が天空塔ダンジョンと接続し、ゴーレムに招集をかけたのだ。

 俺は絶海の孤島ダンジョンにいたゴーレムに呼びかけたつもりだったんだけど。
 そこから発掘してエドが整備したゴーレムも影響を受けてしまった。
 ベルの率いるゴーレム軍団は動かなくなってしまったのだ。

 そこへエドが現れた。

「エドは、僕に、ガレンシア公国ではなく、ヴォルフォニア帝国を攻めるように言ってきました」

 エドが言うには……。
 今ガレンシア公国を取り戻しても、結局帝国の支配下に置かれることになる。
 ならば、帝国を攻撃したほうが得策だ。
 占拠できないまでも打撃を与えれば、有利な条件で交渉ができる。
 ……とのことだった。

〈でも、そんな簡単にいくか? ゴーレムが五百体いるとはいえ、大陸の半分を支配する国だろ?〉

 いや、今の帝都がこの有様ということは、上手くいったということか。

 ……と思ったら、この現状の原因はまた別らしい。

「……後から知ったことですが、エドは帝都で異変が起こっていることを知っていたようです」

〈異変?〉

「ライレンシア博士が魔族として覚醒したことです」

〈ああ……〉

 なるほど。
 エドは魔王の力を持っていた。
 それで、自分の配下の目覚めを察知できたってことだろうか。

〈え? じゃあ、この帝都の惨状は、ライレンシア博士がやったってことか〉

「そうです。たった一人の魔族によって、大陸最強の国家の都は、一晩で滅びたんです」

 なんてこった……。

「僕は、まだそんなことも知らず、エドの口車に乗って、ゴーレム軍団を連れて帝都に向かいました」

〈ゴーレムは動かなくなってたんじゃないのか?〉

「エドが再調整したんです。エドはゴーレムに魔王の欠片を埋め込み、それを通じて命令を下せるようにしていたんです」

〈え?〉

 俺はベルの背後を歩くゴーレムを見上げる。

「心配いりません。今のこいつは、クーネアさんが魔王の欠片を除去して改造してくれた個体なので。完全に僕の指揮下にあります」

 それならよかった……。

「でも……帝都に向かっているときは、そううまくはいきませんでした。再調整したゴーレムでしたが、今度は暴走を初めてしまったんです。大陸中で、魔力の流れが変化し、魔響震が起こったために……」

 それ、俺が引き起こしてたやつだよな、きっと。
 天空塔ダンジョンを倒壊させないためにやってたことではあるんだけど。
 申し訳ない気持ちになるな……。

「そこへ駆けつけてきてくれたのが、クラクラさんとドグラさんでした」

 ここで突然!

 経緯が全然わからないけど。

 と思ってると、クラクラが言ってきた。

「ここからは私が話そう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。 今年で33歳の社畜でございます 俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう 汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。 すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。 そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

処理中です...