転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼

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第6章 ガルアシラ・ヴォルフォンシアガルド編

202 あれから2年経ってるってことよ

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「リビたん、リビたん!」

 懐かしい声で俺は目を覚ました。

 ゆっくりと身体を起こす。
 ガチャガチャという金属音。
 どうやらこの身体は相変わらず鎧のままのようだ。

 鎧だ、と思った瞬間、身体感覚が戻ってきた感じがした。

 兜。
 胸部。
 両腕。
 腹に腰。
 両脚。
 全てのパーツが揃っているのがわかる。

 そして、それと同時に視界が開けた。

 目の前に犬耳の少女が立っていた。

〈ロロコ?〉

 疑問形なのは、俺の記憶の中の彼女とちょっと違ったからだ。

 顔立ちがちょっと大人っぽくなった。
 犬耳がピンと立って大きくなっているし、尻尾も長くなったようだ。
 なんとなく、ロロコにお姉さんがいたらこんな感じかなという雰囲気。
 でも、俺の名前を呼ぶときの、独特のイントネーションがロロコだった。

〈久しぶり……でいいのか?〉

「リビたん、よかった!」

 そう言って抱きついてくるロロコ。
 なんだか照れるな……。

 俺はロロコを抱きとめながら周囲を見回す。

 そこは薄暗い空間だ。
 床に壁、そして天井も石積みで、窓はない。
 地下空間といった感じ。

 そしてその床にはたくさんの鎧が転がっていた。

 新しいものも古いものも。
 綺麗なものも壊れているものも。
 パーツが揃っているものもバラバラのものも。

 いろいろな鎧があった。

 なんだか、神殿で神に捧げられた生贄のようだと思った。

〈ここは……どこなんだ? 今、世界はどうなった……?〉

 ロロコがいるということは、とりあえず滅亡はしていないんだろう。

 しかし、周りがこれでは何もわからない。

「ついてきて。詳しくは、みんなに会ってから」

 おお。
 ロロコ、前に比べて喋るようになったんじゃないか?

 そう言うと、ロロコはちょっと頬を膨らませて言う。

「それはそう。私も成長する。リビたんがいなくなってから、二年も経ってるんだから」

 二年……。

 ……そうか。
 とりあえず十四年とかじゃなくてよかったよ。
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