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第6章 ガルアシラ・ヴォルフォンシアガルド編
201 眠りの時間
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どうも、リビングアーマーの俺です。
……あれ?
なんか変だな。
本当に俺、リビングアーマーだっけ?
転生して、身体が鎧になってて。
いろんな鎧に乗り移ったりして。
それで……。
そう。
天空塔ダンジョンでヘルメスさんに新たなスキルを解放された。
文字化けみたいになって、読めなかったスキル。
『霊体世界魔力変換』
世界魔力。
それがなんだか、読んだときはわからなかったけど。
すぐに感覚で理解することになった。
ヘルメスさんが俺の鎧に刻まれた術式と天空塔の術式を結びつけた。
俺の鎧はマジカルアーマーだ。
魔力を効率的に扱うための術式がエッチングという技術で刻まれている。
そして俺はあのダンジョンで、地水火風四属性のモンスターを吸収した。
俺の霊体はそれで、魔力を自由に操る力を手に入れたことになっていた。
その術式と、天空塔の術式が結びつく。
天空塔はこの大陸の魔力を制御する巨大な装置だ。
その術式と結びつくということは、当然俺がその機能を持つということになる。
霊体世界魔力変換とはそういうことだったらしい。
俺の意識は一気に拡張された。
世界中に満ちる魔力を、俺は『自分が操れる身体の一部』として認識した。
とはいえ、それで全知全能の神みたいになれたわけじゃなかった。
認識できても、簡単に動かせるわけじゃない。
リモコンが手元にあっても、操作の仕方がわからなければ利用できない……。
そう言えば、イメージが伝わるだろうか。
そんな感じで、最初俺が動かせたのはゴーレムたちだけだった。
絶海の孤島ダンジョンに眠っていた、あのゴーレムたちだ。
まずは彼らを動かして、俺は天空塔ダンジョンの倒壊を防ぐことにした。
大量のゴーレムをとにかく天空塔ダンジョンに呼び集める。
そして塔に取り付かせた。
物理的に倒壊を防ぐと同時に、術式を連結させていく。
そうして、天空塔ダンジョンの魔法を組み替えていったのだ。
その間に、ロロコたちは無事ダンジョンから脱出した。
彼女たちがダンジョンの管理者だったオークさんたちに事情を話す。
オークさんはフィオンティアーナでラフィオンさんにそれを伝えた。
そこから、商業都市群の街々に天空塔ダンジョンの真実が広まっていった。
……俺が覚えているのはその辺りまでだ。
そこからだんだん意識が曖昧になっていった。
天空塔ダンジョンから大陸の各地へ。
魔力とともに、俺の霊体が拡散していった。
コップに入っていたジュースが、瓶いっぱいの水に入れられたせいで薄まった。
そんな感覚だ。
俺の意識自体は変化していない。
ただ、それが認識できる魔力の総量が一気に増えた。
そのせいで、俺という『個』を繋ぎ止めておけない……。
ただ、俺はそのことにそれほど不安を感じてはいなかった。
称号特典にもあったとおり『恐怖耐性』があったからってのもあるんだろうけど。
そもそも俺は五十四体の鎧を同時に操った経験がある。
あのときも、全部を自分として認識することができた。
それでいて、意識が分断されることもなかった。
今回は、それより格段に規模が大きいけど。
要領としては同じはず。
そんなふうに感じていた。
だから今は意識が薄れているけど。
いずれまた、元に戻る。
そんな予感があった。
それがどのくらい先のことかはわからないけど。
そして……。
◆◇◆◇◆
「リビたん、リビたん!」
〈ロロコ?〉
懐かしい声を耳にして、俺は目を覚ました。
……あれ?
なんか変だな。
本当に俺、リビングアーマーだっけ?
転生して、身体が鎧になってて。
いろんな鎧に乗り移ったりして。
それで……。
そう。
天空塔ダンジョンでヘルメスさんに新たなスキルを解放された。
文字化けみたいになって、読めなかったスキル。
『霊体世界魔力変換』
世界魔力。
それがなんだか、読んだときはわからなかったけど。
すぐに感覚で理解することになった。
ヘルメスさんが俺の鎧に刻まれた術式と天空塔の術式を結びつけた。
俺の鎧はマジカルアーマーだ。
魔力を効率的に扱うための術式がエッチングという技術で刻まれている。
そして俺はあのダンジョンで、地水火風四属性のモンスターを吸収した。
俺の霊体はそれで、魔力を自由に操る力を手に入れたことになっていた。
その術式と、天空塔の術式が結びつく。
天空塔はこの大陸の魔力を制御する巨大な装置だ。
その術式と結びつくということは、当然俺がその機能を持つということになる。
霊体世界魔力変換とはそういうことだったらしい。
俺の意識は一気に拡張された。
世界中に満ちる魔力を、俺は『自分が操れる身体の一部』として認識した。
とはいえ、それで全知全能の神みたいになれたわけじゃなかった。
認識できても、簡単に動かせるわけじゃない。
リモコンが手元にあっても、操作の仕方がわからなければ利用できない……。
そう言えば、イメージが伝わるだろうか。
そんな感じで、最初俺が動かせたのはゴーレムたちだけだった。
絶海の孤島ダンジョンに眠っていた、あのゴーレムたちだ。
まずは彼らを動かして、俺は天空塔ダンジョンの倒壊を防ぐことにした。
大量のゴーレムをとにかく天空塔ダンジョンに呼び集める。
そして塔に取り付かせた。
物理的に倒壊を防ぐと同時に、術式を連結させていく。
そうして、天空塔ダンジョンの魔法を組み替えていったのだ。
その間に、ロロコたちは無事ダンジョンから脱出した。
彼女たちがダンジョンの管理者だったオークさんたちに事情を話す。
オークさんはフィオンティアーナでラフィオンさんにそれを伝えた。
そこから、商業都市群の街々に天空塔ダンジョンの真実が広まっていった。
……俺が覚えているのはその辺りまでだ。
そこからだんだん意識が曖昧になっていった。
天空塔ダンジョンから大陸の各地へ。
魔力とともに、俺の霊体が拡散していった。
コップに入っていたジュースが、瓶いっぱいの水に入れられたせいで薄まった。
そんな感覚だ。
俺の意識自体は変化していない。
ただ、それが認識できる魔力の総量が一気に増えた。
そのせいで、俺という『個』を繋ぎ止めておけない……。
ただ、俺はそのことにそれほど不安を感じてはいなかった。
称号特典にもあったとおり『恐怖耐性』があったからってのもあるんだろうけど。
そもそも俺は五十四体の鎧を同時に操った経験がある。
あのときも、全部を自分として認識することができた。
それでいて、意識が分断されることもなかった。
今回は、それより格段に規模が大きいけど。
要領としては同じはず。
そんなふうに感じていた。
だから今は意識が薄れているけど。
いずれまた、元に戻る。
そんな予感があった。
それがどのくらい先のことかはわからないけど。
そして……。
◆◇◆◇◆
「リビたん、リビたん!」
〈ロロコ?〉
懐かしい声を耳にして、俺は目を覚ました。
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