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第5章 天空塔ダンジョン編

EX31 騎士団長とゴーレムの話

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「団長。各隊、突入準備、整いました」

 部下の言葉にガイアンは立ち上がる。

 軍務大臣からのエルフ生捕りの命令。
 気の進まない任務だが、拒絶するわけにはいかない。

 ガイアンは幕屋から出ると、命令を下した。

「全軍、進撃開始! フリエルノーラ国を包囲! 一気に攻め落とせ!」

 地を震わせるような喚声が響き渡る。

 いかに気の進まない任務でも、戦いが始まれば別だ。
 ガイアンの部下は総じて練度が高い。
 士気の低いまま突撃して、自分と仲間を危険に晒すことはない。

 ガイアン自身の意識もすでに切り替わっている。
 個人的な感情とは別に、エルフたちを敵と認識。
 否――捕らえるべき獲物と見定めている。

 だが――。

「な……っ!?」

 突如、足元が揺らぎ、ガイアンは体勢を崩す。

「なんだ!」
「地震か!?」

 周りの兵士たちも動揺し、足を止めている。
 中には落馬している者もいた。

「進軍停止! 全軍止まれ!」

 ガイアンは慌てて命令を下す。
 このままでは、突入前に部隊に被害が出かねない。

「……まさか、エルフどもの魔法攻撃でしょうか?」

「こんな中途半端なものがか?」

 部下の言葉に、ガイアンは訝しむ。
 可能性はなくはないが、違和感がある。

 しばらく様子を見るが、新たな揺れは起こらない。
 エルフたちが攻撃してくる様子もない。

「普通の地震だったようだな……」

 ガイアンは再度、進軍の命令を下そうとする。
 士気が若干下がってしまったが、仕方がない。

 だが、再び大地が揺れ始める。
 しかも、今度は長く、細かな揺れが続いた。

「これは……」

 明らかに普通の地震ではない。

「全軍、警戒せよ! 奇襲に気をつけろ!」

 エルフが何か、魔法を駆使した思いもよらない攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
 そう考えたガイアンだったが。

 起こった出来事は、彼の想像を大きく超えていた。

「だ、団長! 大変です!」

 部下が駆け寄ってきて報告する。

「ち、近くの絶海の孤島ダンジョンの入り口から、大量のゴーレムが出現して、こちらへ向かってきます!」
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