転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼

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第5章 天空塔ダンジョン編

193 ヘルメス・刻をこえて

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 どうも、リビングアーマーの俺です。

 天空塔ダンジョンの最上階を目指していた俺たち。

 さあ、攻略を再開するぞ! と思ったところに謎の声が聞こえてきた。
 そして俺たちは一気に塔の屋上まで連れてこられた。

 そんな俺たちの前に声の主が姿を現す。

 その顔は……。

「私そっくり……」

 と声を上げたのはクラクラ。
 そう、その人物はクラクラとよく似ていた。

 ただ、よく見ると、雰囲気が違う。

 クラクラは騎士ということもあってどこか凛々しい感じだけど。
 現れた人物はどっちかというと柔らかい印象だ。

「……そんな」

 息を呑んでいるのはドグラである。

「ライレンシア……?」

 目を擦り、もう一度現れた人物を見る。

 ライレンシア。
 バリガンガルドの近くの湖の名前の由来になった人物で。
 絶海の孤島ダンジョンにいたゴーレムの名前にもなっていて。
 そして、ドグラの婚約者……。

 確かに、彼女がそうだというなら。
 クラクラを見たドグラが、ライレンシアと勘違いするのも頷ける。

 しかし……。

「いや……違うな。似ているが、ライレンシアではない。貴様、何者じゃ」

 ドグラの問いに、その人物は柔らかく笑みを浮かべながら軽く頭を下げた。

「わたくしはこの塔を生み出した者」

 え?
 それってつまり……。

「ヘルメス・ライレンシアと申します」

 え?
 あ?
 ん?

 なんだってーーーーー!?

「へ、へ、ヘルメスって、あ、あ、あの、原初の魔法使いと呼ばれる、あの、ヘルメスですか!?」

「はい、そのヘルメスです」

 アルメルの問いに、あっさりと頷くヘルメスさん。

 ヘルメスって。

 ダンジョンの入り口の館を作ったとか。
 魔王を倒したとか。
 ゴーレムを作ったとか。
 原初魔法(俺が放った白光とかだ)を生み出したとか。
 帝都を築いたとか。

 やたらに色んな伝説が一人歩きしている、あのヘルメスのこと?

 俺が問いかけると、ヘルメスさんはそれにもあっさり頷いた。

「その通りです。あと、それは事実ですね。ダンジョンの入り口の館を築いたのも、魔王を倒したのも、ゴーレムを作ったのも、原初魔法を生み出したのも、ヴォルフォニア帝国の以前の帝都を築いたのも、全てわたくしです」

 …………。

 まさか本人の口から答えを聞くことになるとは。

「では、ライレンシアというのはなんじゃ。我の愛したあのライレンシアは……」

 ドグラの問いに、ヘルメスさんは答える。

「ライレンシアは姓で、始祖となるのがわたくしです」

〈つまり、ファミリーネーム?〉

「はい。一時期、名として使われていたこともあったようですが」

 ああ、俺がいた世界でもあるよな。
 ファーストネームにもファミリーネームにも使われる名前って。

 ドグラの婚約者のライレンシアはそのパターンだったわけだ。

「あ、では、この塔に何かの装置を取り付けたライレンシア博士というのは?」

 アルメルが問う。

「わたくしの末裔です。わたくしの子孫は各地におりますので。なにしろ、原初の魔法使いの血を引く者となれば、各地から引く手数多でしたからね。わたくしのひ孫世代あたりが、特にすごかったです」

 なるほど。
 そしてその血は、フリエルノーラ国のエルフにも入っていた。
 クラクラもそれを受け継いでいた、というわけか。

「それでは、貴様はずっとここで下界を見下ろして暮らしていたというわけか?」

 ドグラが訪ねる。

 そうだ。
 ヘルメスは数千年も前の人物だったはずだ。
 それから今までずっと、ここにこもっていた?

「失礼いたしました。わたくしは正確には、ヘルメス本人ではありません」

 ん、どういうこと?

「わたくしは、この天空塔ダンジョンに残されたヘルメスの意識の残滓です。ヘルメスの目的を達成するため、救世主が現れるのを待っていたのです」

 救世主?

「あなたのことです」

 とヘルメスさんはこっちを見る。

 え?
 は?

 ……俺!?
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