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第5章 天空塔ダンジョン編

192 塔をワンフロアずつ攻略しようとしてももう遅い。なんか勝手に最上階に連れてこられました

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 どうも、リビングアーマーの俺です。

 天空塔ダンジョンを攻略中。
 途中、バラバラになってしまう事態もあったけど、今は無事合流できた。

 そして俺はなぜかモンスターを吸収し、四属性魔法を身につけた。
 その上『霊体*#&%変換』という詳細不明の謎スキルも。

 気にはなるけど、この場でじっとしているわけにもいかない。

 そもそもこのダンジョンに挑んだのは、異常事態の解決のためだ。

 ダンジョンの入り口にあるはずの『館』がなくなってしまった。
 そしてモンスターが外に溢れ出してきてたのだ。

 さらに言うと、天空塔ダンジョンの最上階にある高純度の魔鉱石。
 それに、ヴォルフォニア帝国の研究者がなにかの装置を取り付けた。
 十年前の話。
 その研究者の名前はライレンシアというらしい。

 それも気になるところだけど。
 ともかく、その装置のせいで、周囲に住むオークたちが理性を失ってしまった。

 天空塔ダンジョンを管理していた方のオークたちは困ってしまった。
 装置を取り外そうとしたのだが、さらに困ったことが起きてしまった。

 ダンジョン最上階にドラゴンが住み着いてしまったのだ。
 そのドラゴンはマグラ。
 ドグラの双子の妹である。

 つまり、俺たちがやるべきことは。

 最上階まで行き、ドグラに妹を説得して退けてもらう。
 オークをおかしくしている謎の装置を取り外す。
 可能なら、ダンジョンからのモンスター流出を止める方法を探す。

 ……ってことになる。

 そんなわけで、とりあえず最上階に辿り着かないと話にならない。

 めちゃくちゃ面倒だ。
 この塔、すごい高いし。
 エレベーターとかなさそうだし。

 でもまあ、やるしかないよな。

〈そろそろ出発しよう〉

 美味しそうな貝を食べ終わったみんなに向かって告げる。

 みんなそれぞれに頷いた。
 腹ごしらえをして、気力は充実したようだ。

 よーし、行くぞ、タワーダンジョン攻略!

 ――やっと、見つけた。

 ……ん?

〈今、誰かなんか言ったか?〉

 みんな首を横にふる。

 おかしいな。
 気のせいかな?

 ――どうぞ、ここまで来てください。

 いや、気のせいじゃないぞ!

 今度はみんなにも聴こえたようで、辺りを見回す。

 しかし、周りには俺たち以外に誰もいない。

 大体、声も妙に反響していた。
 四方八方にあるスピーカーから発してるみたいな……。

〈うわ……!〉

 な、なんだ!?
 急に床が揺れ出したぞ!

「これ、上に登ってってる」

 ロロコの言うとおり、俺たちが立っている床が上昇を始めたようだった。

 いや、床だけじゃない。
 この巨大なフロアが丸ごと、上に移動してってる。

 ……あるんじゃん、エレベーター!

◆◇◆◇◆

 やがて、俺たちを乗せた巨大エレベーターは停止した。

 そこはまさに最上階。

 周囲は、城壁とかによくある、ギザギザした形の壁がぐるりと取り巻いている。

 最上階っていうか、屋上だな、これは。

「すごい」

 ロロコがその外側を覗き込んで、感嘆の声をあげる。

「我でも、なかなかここまでは飛ばぬな」

 ドグラも吐息を漏らす。

「すっごーい! ハーレンファラスとどっちが高いかな?」

 ラファがぴょんぴょん飛び跳ねながら言う。

 ちなみに、ハーレンファラスは絶海の孤島ダンジョンの巨大樹のことだ。

「な、なんで私たち、こんなところに連れてこられたんですかね……?」

 アルメルは遠くを見てはしゃぐことなく、俺の隣でビクビクしている。
 まあ、これが普通の反応だよな。

 俺も一応警戒は解いていない。

「気をつけろ、誰かいるぞ」

 反対側の隣に立つクラクラが剣を構え、言う。

 え?
 どこどこ?

 周囲を見回していると、フロアの中央あたりの床に穴が空いた。
 そしてそこから、人の乗った床が競り上がってくる。

 全体がエレベーターになっているこのフロア。
 その中央がさらに舞台のセリみたいな昇降装置になってるのか。

 ややこしい……。

 それはともかく、現れたのが、俺たちをここに呼び出したやつなんだろう。

 一体誰なんだ?

「……え!?」

 真っ先に驚いた声を上げたのはクラクラだった。

 俺も驚く。

 その顔は……。
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