転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼

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第5章 天空塔ダンジョン編

173 兜とロロコ・Ⅰ

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 どうも、リビングアーマーです。
 本日は久しぶりに頭だけでお送りしております。

 うおおおおお!
 全身が苔モンスターに引っ張られてバラバラだ!

〈逃げろー! みんなここから脱出するんだ!〉

 それでも俺は声をあげてみんなに呼びかける。

 俺はバラバラになっても平気だが、みんなはそうではない。
 苔どもが俺の魔力に惹かれて集まってる間に、なんとか脱出してもらいたい。

 しかし……。

「リビたんっ」

 ロロコ!?

 声が聞こえたかと思うと、苔の隙間から手が伸びてきた。
 そして俺(兜)をつかんだ。

〈おいロロコ。なにしてるんだ。早く離せ〉

 苔どもは俺に向かって集まってきてるんだ。
 そんな俺の近くにいたら、苔に押しつぶされちゃうじゃないか。

 しかしロロコは首を振る。

「やだ」

 それどころか俺を抱えて庇うように丸くなる。

 ああもう、お前は……!

 仕方ない。
 俺は自分の周りに放出していた魔力を止める。
 どっちにしろ、兜だけだと術式が不完全だ。
 原初魔法ビームは使えないしな。

 苔の氾濫がおさまった……かな?

 しかしその動きは止まらない。

「うわわ」

〈うおおおおおっ!〉

 俺とロロコは苔の流れに乗せられて、どんどん勝手に移動してしまう。

 上へ登っているのか下へ落ちているのかもわからない。

 前に腕だけの状態で、水の中で似たようなことになったな。
 あのときは腕をスクリューみたいに回転させてなんとかしたんだっけ。

 今はそれもできない。
 兜じゃスクリューにならないし。
 苔の中じゃ回転のしようもないしな。

 ――ももももももも!

 苔はすごい勢いで俺たちを運んでいき、やがて……。

◆◇◆◇◆

「ぷはっ」

 水から上がったときのようにロロコが呼吸した。

 なんとか苔から脱出することができた。
 しかしどうやって?

 俺は兜だけの状態で浮き上がると、俺たちがやってきたほうに視線を向けた。

 そこには壁があって、大きな扉があった。

 両開きの扉はゆっくりと閉まっていくところだった。
 苔モンスターはその向こう側に充満してたが、こっちに侵入してはこなかった。

〈べつのフロアに移動できたってことか〉

 アルメルが言うには、このダンジョンは各フロアにそれぞれモンスターがいる。
 そしてそのモンスターに適した魔力でフロアが満たされるようになっている。

 さっきのフロアは苔モンスター向き。
 ここはそうではないから、苔どもは入ってこなかった。

 そういうことだろう。

 ところでほかのみんなや俺のパーツはちゃんと脱出できただろうか。

 俺は意識の同期を試みる。

 リビングアーマーは、バラバラのパーツそれぞれに意識を持つことができるのだ。
 最近バラバラになる機会が少なかったけど。
 やっぱこれめっちゃ便利機能だよなー。

 …………ん?

 おかしいな。
 意識が同期できない。

 まさか……ほかのパーツはすでにこなごなに砕け散ってしまった?

「リビたん。こっち」

 ん?
 どうしたロロコ?

 ふより、と浮いた状態の兜を回転させて後ろを見る。
 まあ、背後に視界を持たせることもできるんだけどね。
 でもこっちのほうがしっくりくる……ん……だよな…………。

 そこには巨大な鳥のモンスターがいた。

 ――きゃおおおおおおお!
 うぎゃあああああ!?
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