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第5章 天空塔ダンジョン編
171 緑色の恐怖ふたたび
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どうも、リビングアーマーの俺です。
こっちは絶賛増殖中のコケ!
ボボボボボボ!
ドグラが体内に取り込んだ苔モンスターが突然彼女の身体から溢れ出した。
そして天空塔ダンジョンの玄関フロアを埋め尽くしていっている。
視界はあっという間に緑に埋め尽くされてしまった。
しかも今、この場はなぜか無重力状態。
上も下もわからなければ右も左も分からない。
苔に全身翻弄されて、もみくちゃにされている。
「なにがどうなっているんだ!?」
どこかからクラクラの声が聞こえる。
「魔力があふれ返ってるんですよきっとー!」
アルメルの声も聞こえる。
〈どういうことだ?〉
「この天空塔ダンジョンはもともと、各フロアに種類の違う魔物がいて、それを順番に倒していくことで最上階を目指していくダンジョンなんです」
……なんか某少年漫画雑誌の定番展開みたいだな。
「各フロアはその魔物に有利な魔力に満たされています。それぞれ属性や攻略法が全く違う魔物がいるので、それを見極めて対処しなければなりません。しかも、その種類は、ダンジョンに入るたびに変化するんです」
なるほど……。
前に、冒険者部隊のリザルド隊長が言ってたな。
『普通に探索する分にはいいんだが、本格的に攻略しようとすると、ある意味全ダンジョン中で一番の難関』
それはそういう意味だったのか。
〈で? それでなんで苔モンスターがこんな増殖するんだ!?〉
「たぶん、そのフロアを入れ替える空間魔法と、魔物に有利な魔力を発生させる魔法の術式が壊れてしまってるんだと思います」
そういうことか。
このダンジョンがまるまる、最上階を目指す攻略アトラクションだとして。
そのアトラクションを制御する装置(=術式)が故障してる状態ってわけか。
こんなふうに無重力状態なのも。
苔モンスターが増殖してしまっているのも。
モンスターが外に溢れてきたのも。
術式の欠陥が原因ってわけだ。
〈ってことは、その術式を直せばなんとかなるのか?〉
「根本的な解決法としてはそうですけどー! でもこの状態じゃそれも不可能ですよねー!」
そりゃそうだ。
「ええい、面倒じゃ! 全部焼き払ってやろう!」
わー、ドグラやめろやめろ!
どこに誰がいるかわからないんだ。
それに直接炎が当たらなくても、燃える苔の熱で全員蒸し焼きになるぞ。
同じ理由で俺の原初魔法ビームも使えない。
マズいなこれ。
どうすりゃいいんだ――ん?
なんか違和感があるな……。
……げ!
こいつら、鎧の内側にまで入ってきやがった!
こっちは絶賛増殖中のコケ!
ボボボボボボ!
ドグラが体内に取り込んだ苔モンスターが突然彼女の身体から溢れ出した。
そして天空塔ダンジョンの玄関フロアを埋め尽くしていっている。
視界はあっという間に緑に埋め尽くされてしまった。
しかも今、この場はなぜか無重力状態。
上も下もわからなければ右も左も分からない。
苔に全身翻弄されて、もみくちゃにされている。
「なにがどうなっているんだ!?」
どこかからクラクラの声が聞こえる。
「魔力があふれ返ってるんですよきっとー!」
アルメルの声も聞こえる。
〈どういうことだ?〉
「この天空塔ダンジョンはもともと、各フロアに種類の違う魔物がいて、それを順番に倒していくことで最上階を目指していくダンジョンなんです」
……なんか某少年漫画雑誌の定番展開みたいだな。
「各フロアはその魔物に有利な魔力に満たされています。それぞれ属性や攻略法が全く違う魔物がいるので、それを見極めて対処しなければなりません。しかも、その種類は、ダンジョンに入るたびに変化するんです」
なるほど……。
前に、冒険者部隊のリザルド隊長が言ってたな。
『普通に探索する分にはいいんだが、本格的に攻略しようとすると、ある意味全ダンジョン中で一番の難関』
それはそういう意味だったのか。
〈で? それでなんで苔モンスターがこんな増殖するんだ!?〉
「たぶん、そのフロアを入れ替える空間魔法と、魔物に有利な魔力を発生させる魔法の術式が壊れてしまってるんだと思います」
そういうことか。
このダンジョンがまるまる、最上階を目指す攻略アトラクションだとして。
そのアトラクションを制御する装置(=術式)が故障してる状態ってわけか。
こんなふうに無重力状態なのも。
苔モンスターが増殖してしまっているのも。
モンスターが外に溢れてきたのも。
術式の欠陥が原因ってわけだ。
〈ってことは、その術式を直せばなんとかなるのか?〉
「根本的な解決法としてはそうですけどー! でもこの状態じゃそれも不可能ですよねー!」
そりゃそうだ。
「ええい、面倒じゃ! 全部焼き払ってやろう!」
わー、ドグラやめろやめろ!
どこに誰がいるかわからないんだ。
それに直接炎が当たらなくても、燃える苔の熱で全員蒸し焼きになるぞ。
同じ理由で俺の原初魔法ビームも使えない。
マズいなこれ。
どうすりゃいいんだ――ん?
なんか違和感があるな……。
……げ!
こいつら、鎧の内側にまで入ってきやがった!
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