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第4章 フィオンティアーナ編

161 ドラゴンファイア

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 どうも、リビングアーマーの俺です。

 こっちはすごい勢いで増殖して街を飲み込んでいく苔のモンスター。

 うわー! ぎゃー!

 俺とロロコ、クラクラ、ドグラ。
 合流したラファとアルメル。

 六人は増殖する苔、マースモースから逃げていた。

 こいつは空気中の魔力を吸って成長するらしい。

 倒すには全体にいっぺんに魔法攻撃を当てて燃やすなり水没させるなりするしかない。

 ……んだけど。

 いや、ムリでしょ。

 なにしろマースモースはもう、この街のかなりの範囲に広がっている。

 どんな広範囲魔法だったらこれ全部攻撃できるのさ。

「もうこれは仕方ないな。我が街ごと燃やし尽くしてやろう」

 ドグラ、物騒!

 けど、これはドラゴン娘の言うとおりな気がする。

 この世界は、どこでも空気中に魔力がある。

 濃淡はあるみたいだけど。
 たとえばダンジョンはそうじゃないところより魔力が濃い。

 とはいえ、世界中の空気に魔力が満ちている。

 そう考えると、マースモースは街一つ犠牲にしてでも止めておく必要がある。

 じゃないと世界が苔に覆い尽くされてしまう。

 ドグラの発言に反対意見は出なかった。

 他に方法がないことはみんなわかってるんだろうな。

「よし、クラクラと貴様らは離れているのじゃ」

 きっちりクラクラとそれ以外を分けて言ってくるドグラ。

 俺たちは言われたとおりドグラと違う方法に走っていく。

 次の瞬間、風が巻き起こったかと思うと、ドグラがドラゴン態に戻った。

「いくぞ」

 そう告げて、口を開くドグラ。

 牙が大量に並ぶ口の中。
 赤黒い舌の上に、光が収束していく。

 苔がそちらに向かって増殖を開始。
 魔力に反応しているのだろう。

 しかし、苔が到達するより早く。

 ゴアッ——。

 と、ドグラがわずかに首を後ろに引きながら、炎を放った。

〈うわっ!〉

 すげえ威力!

 かなり離れてるのに、ここまで熱と風圧が飛んでくる。

 ヤバいな、ドラゴンの実力。

 ラファの義腕のゴーレムビームも。
 俺の新しい鎧の原初魔法砲撃も。

 大した威力じゃなかったんじゃないかと思ってしまうくらい。

 それくらい凄まじい量の魔力を放出し、ドグラは炎を苔に向かって撃ち込んだ。

 衝撃で建物が吹っ飛び、苔が一瞬で黒焦げになる。

 そのままドグラは首を左右に振る。

 残りの苔もどんどん黒焦げになり、ついでに街もどんどん破壊されていく。

 ヨシ!
 よくないけどヨシ!

 街は直せばいい!

 あとは苔が全滅したあと、発生した火災を消し止めればオッケーだ。

 ……そう思っていたら。

「ぐっ……!?」

 なんかドグラが不穏な声をあげたんだけど。

〈どうしたんだ……?〉

「苔が我の体内に……これは……ぐあああ!」

「ドグラ!」

 ドグラが苦しそうな声をあげて、その巨体を転げ回らせた。
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