187 / 286
第4章 フィオンティアーナ編
159 ウェルカム・トゥようこそモンスターパーク!
しおりを挟む
どうも、リビングアーマーの俺です。
突然だけどこれ憶えてる?
地震のようで地震じゃない。
空気中の魔力が震えているせいで、地震みたいに感じるこの現象。
そんな前のことじゃないはずなんだけどな。
なんかずいぶん久しぶりに起こったような気がする。
「魔響震かっ」
クラクラ、正解!
それだ!
魔響震。
それは高い魔力を持った魔物が目覚めるときなんかに起こるらしい。
〈…………〉
「…………」
「…………」
「なんじゃ、我ではないぞ!」
ジト目で見る俺とロロコとクラクラに、ドラゴン態になったドグラが言ってくる。
まあ、俺は目ないけどね。
「でも、前にバリガンガルドでは、揺らしたでしょ」
と容赦ないロロコ。
「あ、あれは寝起きで寝ぼけてただけじゃ。しっかり目が覚めてれば、周りに魔響震など起こさんわっ」
あ、そういうもんなんだ。
じゃあこの揺れはなに?
「た、大変ですっ」
と、この屋敷の主人であるラフィオンさんが部屋に飛び込んでくる。
「街中に魔物が出現しました」
〈え、じゃあこの魔響震はその影響ですか?〉
「おそらくそうでしょう……」
「だが、どうして突然魔物が? フィオンティアーナの近くにダンジョンなどはなかったはずだ」
とクラクラ。
ラフィオンさんは首を横に振り、
「わかりません。ですがとにかく避難を。魔物たちは街の南部に出現して、こちらへどんどん迫ってきています」
この屋敷は、フィオンティアーナの中では北寄りに位置する。
たしかチェインハルト商会の実験施設が街の南方にあったよな……。
なにか関係あるのか……?
いや、そんな考察は後回しだな。
それよりまずは避難だ。
「避難? なにを寝ぼけておる」
と、窓の外のドグラ。
「魔物が出たからなんじゃ。そんなもの我が皆殺しにすれば良かろう」
「おお!」
ラフィオンさん、ドラゴンに向かってひざまずく。
「また街をお助けくださいますか、ドグラ様」
「助けるというほどの手間でもないしの。それに……」
と、ドグラは下のほうに目を向けたようだった。
「もう住民どもはそんな空気になっておるようじゃぞ」
窓から覗いてみれば、なるほど……。
さっき見かけた白い修道服の人たちが早くもドグラの足元に群がっている。
ドグラ教の信者の皆さんだ。
「ドグラ様! 御加護を!」
「どうかこの街をお救いください!」
「我らに救済を!」
そんな声が聞こえてくる。
「まったく、仕方ないのう」
ドグラは満更でもない様子で尾を軽く振る。
なんかバリガンガルドのときとはずいぶん変わったな。
人間に対して優しくなったというか。
「では我が人間どもを救ってやるとしようかの」
ちらっちらっ。
……あ、これ違うわ。
クラクラの前でいい格好しようとしてるだけだわ。
突然だけどこれ憶えてる?
地震のようで地震じゃない。
空気中の魔力が震えているせいで、地震みたいに感じるこの現象。
そんな前のことじゃないはずなんだけどな。
なんかずいぶん久しぶりに起こったような気がする。
「魔響震かっ」
クラクラ、正解!
それだ!
魔響震。
それは高い魔力を持った魔物が目覚めるときなんかに起こるらしい。
〈…………〉
「…………」
「…………」
「なんじゃ、我ではないぞ!」
ジト目で見る俺とロロコとクラクラに、ドラゴン態になったドグラが言ってくる。
まあ、俺は目ないけどね。
「でも、前にバリガンガルドでは、揺らしたでしょ」
と容赦ないロロコ。
「あ、あれは寝起きで寝ぼけてただけじゃ。しっかり目が覚めてれば、周りに魔響震など起こさんわっ」
あ、そういうもんなんだ。
じゃあこの揺れはなに?
「た、大変ですっ」
と、この屋敷の主人であるラフィオンさんが部屋に飛び込んでくる。
「街中に魔物が出現しました」
〈え、じゃあこの魔響震はその影響ですか?〉
「おそらくそうでしょう……」
「だが、どうして突然魔物が? フィオンティアーナの近くにダンジョンなどはなかったはずだ」
とクラクラ。
ラフィオンさんは首を横に振り、
「わかりません。ですがとにかく避難を。魔物たちは街の南部に出現して、こちらへどんどん迫ってきています」
この屋敷は、フィオンティアーナの中では北寄りに位置する。
たしかチェインハルト商会の実験施設が街の南方にあったよな……。
なにか関係あるのか……?
いや、そんな考察は後回しだな。
それよりまずは避難だ。
「避難? なにを寝ぼけておる」
と、窓の外のドグラ。
「魔物が出たからなんじゃ。そんなもの我が皆殺しにすれば良かろう」
「おお!」
ラフィオンさん、ドラゴンに向かってひざまずく。
「また街をお助けくださいますか、ドグラ様」
「助けるというほどの手間でもないしの。それに……」
と、ドグラは下のほうに目を向けたようだった。
「もう住民どもはそんな空気になっておるようじゃぞ」
窓から覗いてみれば、なるほど……。
さっき見かけた白い修道服の人たちが早くもドグラの足元に群がっている。
ドグラ教の信者の皆さんだ。
「ドグラ様! 御加護を!」
「どうかこの街をお救いください!」
「我らに救済を!」
そんな声が聞こえてくる。
「まったく、仕方ないのう」
ドグラは満更でもない様子で尾を軽く振る。
なんかバリガンガルドのときとはずいぶん変わったな。
人間に対して優しくなったというか。
「では我が人間どもを救ってやるとしようかの」
ちらっちらっ。
……あ、これ違うわ。
クラクラの前でいい格好しようとしてるだけだわ。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。


俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!
のんたろう
ファンタジー
異世界マーラに召喚された凝流(しこる)は、
ハサンと名を変えて異世界で
聖騎士として生きることを決める。
ここでの世界では
感謝の力が有効と知る。
魔王スマターを倒せ!
不動明王へと化身せよ!
聖騎士ハサン伝説の伝承!
略称は「しなおじ」!
年内書籍化予定!
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる