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第4章 フィオンティアーナ編

147 オーク・アンド・ザ・シティ

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 どうも、リビングアーマーの俺です。

 俺たちをここまで乗っけてきてくれた船がオークとともにぶくぶくと沈んでく……。
 俺たちはなんとか港町ポローナニアの岸辺にたどり着いた。

 俺の他にいるのは四人。
 人犬族のロロコ。
 エルフのクラクラ。
 ドワーフ嬢のアルメル。
 忍者のヒナワ。

 他にいた船員たちも先に岸に上がって、とっとと逃げたみたいだった。

 あ、ちなみにドラゴン娘のドグラもさっきまで一緒だったんだけどね。
 彼女はオークを呼び寄せる臭いに具合が悪くなって、人化が解けてしまった。
 このままでは危険だってことでどこかに飛び去ってしまった。

 俺たちもどこかに逃げたいところだが。
 岸辺にはまだ大量のオークがいる。

〈とりあえず街中に逃げ込もう〉

 ヴェティアンのときみたいに避難所があるかもしれないし。

 俺たちはオークを何体か倒してから街に向かって駆け出した。
 クラクラはオークの催淫効果でフラフラなので俺が抱えていく。

〈しかし……すごい量だな〉

 走りながら周りを見回せば、そこら中にオークがいる。
 俺たちが運ばされた積荷に誘われてヴェティアンから移動してきたと思ってたけど。
 たぶんそれだけじゃないな。

「そうですねっ……もともとこの街にも発生してたんじゃないでしょうかっ」

 そう言うアルメルはちょっと息が切れて苦しそうだ。

「でも、臭いはあの街のと同じ」

 ロロコがそう言う。

 臭いが同じ?
 ってことは、そもそも発生した場所は同じなのか?

「ヴェティアンの人間は、オークは天空塔ダンジョンから出現すると言っていたな」

 とヒナワ。

 そうだそうだ。
 近くにある、世界四大ダンジョンの一つ。
 そこから毎年湧いてくるとかいう話だったな。

 じゃあ、ヴェティアンのオークも、この街のオークも、そこから出てきたのか?

 ってことはさ。
 俺たちがあの臭いでオークたちをここに引きつけても意味ないじゃん。
 けっきょくその場しのぎにしかならない。

 あのアントンって大商人、どういうつもりだったんだ。
 もしかして隙ができたら自分だけ逃げ出そうとか、そんなことを考えてるのか?

 まあ今はあの人の思惑を考えても仕方ない。
 俺たちがどうするかだよな。

 ……っていうかさ。

 オークずっといるな!?

 もうだいぶ街中に来たんだけど、オークの数は全然減らない。
 なんかもう好き勝手に歩き回っている。
 もともとオークの街だったんじゃないのっていうくらい。

「これはマズいですね……街の人はどこにいるんでしょうか?」

 アルメルが言う。

 うん、そうなんだよな。
 さっきから住人には全然遭遇しない。
 死体がないから、全員オークに殺されてしまったわけじゃないだろうし。

〈……この街って、ヴェティアンみたいに地下水路があったりしないのか?〉

 俺はこの辺りの街に一番詳しいだろうヒナワに訊いてみる。
 もしかしたらそこにみんな避難してるかもと思ったのだ。

 けどヒナワは首を横に振る。

「いや、ここはそういうのはなかったはずだ……いや、待てよ」

〈どうした?〉

「ここは確か、郊外に古代の遺跡が残っている。建物がかなりしっかりしているから、もしかしたら住人はそこにいるのかもしれぬ」

 なるほど。

〈よし、じゃあそこに行ってみよう。場所はわかるか?〉

「うむ、こっちだ」

 ヒナワが先頭に立ち、俺たちはその遺跡に向かった。
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