転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼

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第4章 フィオンティアーナ編

146 オークには勝てなかったよ……(船が)

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 どうも、リビングアーマーの俺です。

 ヴェティアンの大商人アントンさんに頼まれ、荷物を運んでいる途中。
 船でポローナニアに上陸しようとしたんだけど。
 ポローナニアの岸はオークで埋め尽くされていた。

 しかも突然積荷が爆発!
 中の水が噴き出してしまう。
 船は大破? 中破?
 船底に穴は空いてないらしいけど、見た目的にはいつ沈んでもおかしくなさそう。

 しかもオークたちが泳いで船に迫ってくる。
 積荷から噴き出した水に、オークが好きな臭いを混ぜ込んであるらしい。

〈どういうことだ? たまたまそういう品をアントンさんは帝国に依頼されてたのか?〉

「たぶん、違うでしょうね」

 だよねー。

 だってさっき、案内役の男の人が海に飛び込んで逃げてったけどさ。
 そのとき『悪いなー!』って叫んでたもんね。
 もう確信犯だよね。

 あ、確信犯ってこの使い方間違ってるんだっけ?
 いやそんなことはどうでもいい。

 今はそれよりオークだ。

「イイニオイガスル」
「メシカ? メスカ?」
「トニカクウバエ!」

 うわわわ!
 乗り込んできたぞ!

「おいあんた! 危ないぞ!」

 船員が叫ぶ。
 見れば、クラクラが剣も抜かずオークの方へフラフラ歩いていく。

 そうだった。
 エルフにはオークの催淫効果が発動してしまうんだった。

〈アルメル、クラクラを頼む!〉

「は、はい」

 よし、これで大丈夫。
 さてと。

 俺は船の側面へ走っていき、乗り込んでこようとするオークを殴り飛ばす。

「グオ!」

 悲鳴を上げて落ちていくオーク。

「ファイア!」

「アヂイ!」

 ロロコの炎魔法が海面を走る。
 あぶられたオークたちが慌てて引き返す。

 シュンシュンシュン!

「グワ! ナンダ!」

 ヒナワが音もなく飛び回り、オークたちに手裏剣を投げつける。
 オークたちは腕を押さえながら落ちていく。

 ……ん?
 あれ?
 ドグラはどうした?

「ドグラさん、どうしました?」

 アルメルの声に目を向けると、ドグラが苦しそうにうずくまっていた。

「すまぬ……この臭い……すごく苦手なのじゃ……」

 どういうことだ?
 オークは好きな臭い。
 ドラゴンにとっては嫌いな臭いってことか?

「だめ、だ……人化が解けてしまう……我は一旦、去るぞ……」

 そう言うと、ドグラは光を放ちながら宙へ飛ぶ。
 次の瞬間、船の上空で彼女はドラゴンの姿に戻っていった。

「ぎゃー! 突然エンシェント・ドラゴンが出現したー!」
「もうダメだー! 俺たちここで死ぬんだー!」

 パニックになる船員たち。
 まあそりゃそうだ。

〈あの、安心してください。あのドラゴンは味方です〉

「嘘つけ! ドラゴンが人間の味方なわけあるか!」

 一斉に叫ぶ船員たち。
 気持ちはわかる。

 けど、ドグラは具合が悪そうにフラフラ陸地へ飛んでいった。
 ついでにしっぽで、岸にいるオークたちを薙ぎ払ってくれた。

 しかしオークはなかなか怯んでくれない。
 どんどんどんどん船に取り付いてきて、こっちの手が足りなくなってきた。

 そして。

 バキバキバキ!

 下の方で不吉な音が聞こえてきた。

「おい! オークが下から船底を破壊してきてるぞ!」

 うわ!
 マジかよ!

「くそ! もうダメだ! 全員海に飛び込め!」

 船員たちは即座に判断し、海に飛び込んでいく。

「ほら、あんたも鎧なんか脱いで早く逃げろ!」

〈いや、俺は……〉

 脱いだら中身ないんだよ!
 しかしここで正体をバラしたら、この人たちますますパニックになるだろう。

 仕方ないな……。

〈俺は、みんなが逃げるまでオークを食い止めます。この鎧はすぐに脱げるんで大丈夫です〉

「そうか……? そういうことなら頼るけど、逃げ遅れるなよ?」

〈はい、ありがとうございます〉

 俺は頷きながらオークに右ストレート。

 船員は海に飛び込んでいく。

〈えーと、この中で泳げないやつっていたっけ?〉

 ロロコ、アルメル、ヒナワは大丈夫っぽい。

「クラクラさんはわかりませんけど、この調子だと……」

 そうだった……。
 クラクラは「オーク、オーク……」と呟きながらはあはあしてる。
 俺の話聞いてない。

 だんだん症状が重くなってないか?

〈よし、じゃあクラクラは俺が水面を飛んで運ぶ。みんな、ついてきてくれ〉

 みんな頷く。
 よし、じゃあ行こう。
 
 俺たちは海に飛び込む。

 その直後、船は大量のオークに取り付かれ、あっけなく沈んでいった。

 あーあ……。
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