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第4章 フィオンティアーナ編
136 忍者を追え!
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どうも、リビングアーマーの俺です。
チェインハルト商会のエドの依頼で忍者を探している俺たち。
ドグラが魔力を辿ってくれて、水の都ヴェティアンまでやってきた。
さてここからどう探そうかと考えているところに。
水路からザブリと姿を現した、全身黒装束の少女。
うーん。
間違いなくあの子が忍だよね……。
〈ドグラ?〉
「ああ、あやつじゃな」
やっぱり!
まさかこんなに早く発見できるとは。
運がいいな。
相手にしてみたら運が悪いってことになるんだろうけど。
よし、まずは話しかけてみるか?
いやでも、なんて話しかければいい?
あんたを人質に帝国からお金をせしめたいので捕まってください?
そんなんで捕まってくれるわけがない。
相手は忍だ。
敵に捕まるくらいなら、とか言って自害しかねない。
それは困る。
よし、とりあえずなにも言わずに捕まえよう。
事情説明はそのあとだ。
そう思っていたら。
「…………」
あ、目が合った。
いや俺、目はないんだけどね。
忍者がこちらを見ていた。
彼女はちょっと驚いた表情をして――。
――逃げた!?
「っ……どうやら、商会の建物の前で遭遇したのを覚えていたようだな」
そう言って駆け出すクラクラ。
続いてロロコ、アルメル、ドグラも追いかける。
「あ、おい、待ってくれ」
俺も後に続くが、どうしてもみんなに遅れがちになってしまう。
というのも、このヴェティアン、細い路地がやたらに多いのだ。
しかもあっちこっちに水路がある。
忍者はそんな隙間を折れまくってどんどん逃げていく。
小柄で身体能力も高いロロコがそれに肉薄するが、なかなか捕まえられない。
クラクラが後に続く。
体力がそうでもないアルメルと身体の重い俺はあっという間に置いてかれてしまった。
ドグラは途中で面倒臭くなったらしく、
「ええい、面倒じゃな。元の身体に戻って一面焼き払って良いか」
やめてくれ!
「冗談じゃ」
あんたが言うと冗談に聞こえないんだよな……。
「しかしどうする? あの二人に任せるか?」
うーん。
それでも捕まえられるかもしれないけど、逃げられたら困る。
今のところ、彼女がラファの生命線なのだ。
「ドグラ、今ならあの忍の魔力、追えるんじゃないか?」
「そうじゃな。この距離で、この短時間なら、まだ追えるぞ」
「よし、じゃあ先回りしよう。ロロコとクラクラと挟み撃ちにするんだ」
俺は冒険書を取り出してロロコに通信する。
おお!
この機能、また役に立ったな!
『わかった』
ロロコからはシンプルな返事が返ってくる。
向こうも追いかけてる最中だ。
長話してる余裕はないだろう。
「よし、行くぞ」
俺とアルメルはドグラについていく。
「む、行き止まりか。ならばこっちじゃ」
ついていく……。
「む、また行き止まりじゃ。じゃあこっちに……」
ついて……いく……。
「むがー! また行き止まりじゃ! なんじゃこの街! 焼き滅ぼすぞ!」
やめろ!
やっぱ七つの街を破壊した伝説の厄災って妹じゃなくてあんたじゃねーの!?
「仕方なかろ! この街ややこしすぎるのじゃ!」
まあ確かにそれは同意だ。
道と水路が入り組みまくってて複雑すぎる。
つまり……俺たちは完全に迷ってしまった。
チェインハルト商会のエドの依頼で忍者を探している俺たち。
ドグラが魔力を辿ってくれて、水の都ヴェティアンまでやってきた。
さてここからどう探そうかと考えているところに。
水路からザブリと姿を現した、全身黒装束の少女。
うーん。
間違いなくあの子が忍だよね……。
〈ドグラ?〉
「ああ、あやつじゃな」
やっぱり!
まさかこんなに早く発見できるとは。
運がいいな。
相手にしてみたら運が悪いってことになるんだろうけど。
よし、まずは話しかけてみるか?
いやでも、なんて話しかければいい?
あんたを人質に帝国からお金をせしめたいので捕まってください?
そんなんで捕まってくれるわけがない。
相手は忍だ。
敵に捕まるくらいなら、とか言って自害しかねない。
それは困る。
よし、とりあえずなにも言わずに捕まえよう。
事情説明はそのあとだ。
そう思っていたら。
「…………」
あ、目が合った。
いや俺、目はないんだけどね。
忍者がこちらを見ていた。
彼女はちょっと驚いた表情をして――。
――逃げた!?
「っ……どうやら、商会の建物の前で遭遇したのを覚えていたようだな」
そう言って駆け出すクラクラ。
続いてロロコ、アルメル、ドグラも追いかける。
「あ、おい、待ってくれ」
俺も後に続くが、どうしてもみんなに遅れがちになってしまう。
というのも、このヴェティアン、細い路地がやたらに多いのだ。
しかもあっちこっちに水路がある。
忍者はそんな隙間を折れまくってどんどん逃げていく。
小柄で身体能力も高いロロコがそれに肉薄するが、なかなか捕まえられない。
クラクラが後に続く。
体力がそうでもないアルメルと身体の重い俺はあっという間に置いてかれてしまった。
ドグラは途中で面倒臭くなったらしく、
「ええい、面倒じゃな。元の身体に戻って一面焼き払って良いか」
やめてくれ!
「冗談じゃ」
あんたが言うと冗談に聞こえないんだよな……。
「しかしどうする? あの二人に任せるか?」
うーん。
それでも捕まえられるかもしれないけど、逃げられたら困る。
今のところ、彼女がラファの生命線なのだ。
「ドグラ、今ならあの忍の魔力、追えるんじゃないか?」
「そうじゃな。この距離で、この短時間なら、まだ追えるぞ」
「よし、じゃあ先回りしよう。ロロコとクラクラと挟み撃ちにするんだ」
俺は冒険書を取り出してロロコに通信する。
おお!
この機能、また役に立ったな!
『わかった』
ロロコからはシンプルな返事が返ってくる。
向こうも追いかけてる最中だ。
長話してる余裕はないだろう。
「よし、行くぞ」
俺とアルメルはドグラについていく。
「む、行き止まりか。ならばこっちじゃ」
ついていく……。
「む、また行き止まりじゃ。じゃあこっちに……」
ついて……いく……。
「むがー! また行き止まりじゃ! なんじゃこの街! 焼き滅ぼすぞ!」
やめろ!
やっぱ七つの街を破壊した伝説の厄災って妹じゃなくてあんたじゃねーの!?
「仕方なかろ! この街ややこしすぎるのじゃ!」
まあ確かにそれは同意だ。
道と水路が入り組みまくってて複雑すぎる。
つまり……俺たちは完全に迷ってしまった。
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