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第3章 絶海の孤島ダンジョン編

119 海を渡れない

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「ここも行き止まりか……」

 リザルドさんが呟いた。

〈うわー、ひどいことになってますね〉

「この辺はもうダメみたいですね。どこも水浸しです」

 アルメルが首を振る。

「戻る?」
「戻れる場所あったっけ」

 ロロコとラファが顔を見合わせる。

 どうも、リビングアーマーの俺です。
 冒険者部隊の皆さんと一緒に絶海の孤島ダンジョンの本島エリアを目指す俺たち。

 しかし、絶賛迷走中である。

 もう三日くらい経つかな?

 モンスターを倒して歩き、安全な場所を見つけたら休んで。
 それを繰り返して先に進もうとしてるんだけど。

 全然〈ドラゴンの巣〉本島に近づけない!

 というのも、あいつのせいだ。

「うわ、またデカくなってますよ!」

 壁に開いた大穴の向こうにいるゴーレムを見て、アルメルが叫んだ。

 どれどれ?
 本当だ……。

 個体識別名称術式とやらを手に入れたゴーレム。
 自分の名前が『ライレンシア』だと認識したゴーレムは、どんどん成長を続けた。

 成長というか、ダンジョン中にあるパーツを取り込んでいってるってことだけど。
 その結果、その身体はどんどん巨大化していった。
 それに合わせて、ダンジョンを破壊する速度も増していった。

 というわけで、ダンジョンの道はどんどん崩れて通れなくなっていった。

 そして俺たちは迷走している、というわけだ。

 もーねー!
 冒険者の皆さんが持ってた地図が全然役に立たないわけですよ!

 本島に向かいたくても地下の通路が崩れてしまってる。
 かといって引き返そうにも、そっちの道もぐちゃぐちゃ。

 さまよっているうちに俺たちの居場所が判明した。
 大陸側からちょっと張り出している岩場みたいなところにいるようだ。

 大陸の東端にはバンダーガンダー山があって、海に向かって断崖絶壁になってる。
 その絶壁からちょっとだけはみ出した岩場だ。

 つまり、地上に出ても、山が邪魔で大陸の方には戻れないってわけ。
 もちろん海を渡る手段がないので、本島エリアにもいけない。

 船でもあればいいんだけどね。
 あいにくいるのはゴーレムだけである。
 ゴーレムはもう水位より大きくなってて、海から頭を出して歩き回っている。

 ときおり水面下に消えるのは、ゴーレムパーツを発見して拾っているのだろう。
 この様子だと、海底にあるダンジョンも掘り返されて水浸しだろうな……。

 このままじゃ天然の牢獄に閉じ込められてゲームオーバーだ。
 どうしたらいいのかね。

「あのゴーレム、リビタンさんなら操れませんか?」

 ふと、アルメルが小声で言ってきた。
 リザルドさんたちには俺がリビングアーマーだとまだ話してないからな。

 いや、しかし、なんだって?

〈それはさすがに無理じゃないか?〉

「でも、リビタンさんの身体のパーツには、あのゴーレムもう反応してませんよね? それって、リビタンさんもゴーレムパーツを操れるからじゃないですか?」

 言われてみれば……。

 ラファの左腕はラファの肉体と融合してる感じだからわかるけど。
 俺の頭と両腕、それに右脚パーツ。
 これは俺が霊体で胴体パーツと接続しているだけ。
 物理的には独立しているのだ。

 そういや、あのゴーレム、最初は俺やラファのパーツを狙ってるっぽかったんだよな。
 でも、途中から地中に埋まってるパーツを優先して集めるようになった。

 どうしてだ?

「リビたん、スキルがアップしてたりしない?」

 そうか。
 その可能性はあるな。
 ちょっと調べてみよう。

 俺は冒険書を取り出して確認する。

 えーと……?

『リビングアーマー LV.29 名前:リビタン
 HP:4387/4439
 MP:3675/3798
 物理攻撃力:1415
 物理防御力:1225
 魔法攻撃力:29
 魔法抵抗力:30
 スキル:霊体感覚+6、霊体操作+9、霊体転移+6、霊体分割+7
 称号:駆け出し冒険者、初級冒険者、魔物討伐者、生還者、決死者、駆け出し魔導師
 称号特典:魔力習得率アップLV.3、魔力変換率アップLV.3、恐怖耐性LV.6、魔力生命力変換LV.2、生命力魔力変換LV.2』

 あれ!?
 なんかいろいろ変化してる!
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