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第3章 絶海の孤島ダンジョン編

114 ゴーレム団子は止まらない

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 どうもリビングアーマーの俺です。
 ドラゴンにさらわれたクラクラを助けるため、絶海の孤島ダンジョンに挑戦中。

 なんか同行者が増えてる。

 もともと一緒だったのは人犬族のロロコとドワーフ嬢のアルメル。
 それに、途中で出会ったゴブリン娘のラファ。

 そこにさらに十人くらい冒険者の皆さんが加わった。

 彼らは冒険者部隊という組織らしい。
 隊長はリザルドさん。

 所属としてはヴォルフォニア帝国軍になるらしい。

「っつても、騎士団長の私設部隊だけどな」

 ヴォルフォニア帝国の騎士団を率いるのはガイアンという騎士団長。
 その団長が設立したのは冒険者部隊。
 普通の兵士では入れないようなダンジョンの奥地を調査したりするために作られた。

 少数精鋭の特務部隊みたいな感じ?
 なんかカッコいいな。

「けど、帝国の部隊がどうしてこのダンジョンに?」

 アルメルが問う。

「チェインハルト商会の依頼でな」

 チェインハルト商会?
 ってことはエド?

「ゴーレムを発掘して欲しいってことだったんだが……まさかあんなのがいるとは思わなかったぜ」

 リザルドさんは、さっきいた後方を振り返って呟く。

「それにドラゴンにまで遭遇しちまうしねえ」

 と、リザルドさんの隣にいた冒険者も言ってくる。

「ドラゴンっ」
〈そいつ、エルフを連れてませんでした?〉

 話に喰いついたロロコと俺に不思議そうな顔をしながら、リザルドは頷く。

「おう、連れてたぜ。なんか喧嘩してたと思ったら、ドラゴンが地団駄踏んで、そのまま飛び去ってったな。そのときの地割れで、俺らはバラバラになっちまったんだ」

 リザルドさんたち、もともとはもっと大人数の部隊だったらしい。
 それが、崩落で落下して逸れてしまったそうだ。

 じゃあリザルドさんたちはゴーレム団子のせいで落下したわけじゃなかったんだな。

「なんだ、あのドラゴンがどうかしたのか?」

 聞いてくるリザルドさんに、俺は事情を説明する。
 バリガンガルドがドラゴンに襲われかけたこと。
 それを防衛している途中でクラクラがさらわれてしまったこと。
 俺たちはそれを追いかけてここまできたこと。

「……ふむぅ」

 話を聞いたリザルドさんは眉間にシワを寄せる。

「なにか気になることでも?」

 問いかけるアルメルに、リザルドさんは難しい顔で答える。

「いや……そのドラゴン騒ぎ、チェインハルト商会の会長も知ってたわけだよな」

〈え? ええ〉

 そりゃそうだろう。
 あの場に居合わせたんだし。

「だったらあいつはドラゴンがこのダンジョンに向かったことも知ってたはずだ。なのにガイアン団長にはそのことを伝えてなかった。どうしてだ?」

 そういやそうだな。
 ドラゴンなんて危険なモンスターがいることを伝えないのは不自然だ。
 忘れてた、なんて理由で済む話じゃないし。

「……まあ、今考えても仕方ねえか。無事戻れたら問い詰めてやる」

 リザルドさんはあっさり結論を保留した。

 やっぱり判断が早い。
 歴戦の冒険者って感じがするぜ。

 ちなみにリザルドさんもほかの冒険者の皆さんも、レベルは全員50以上。
 第一の壁突破済みってわけだ。

 そんな人たちが十人以上いる。
 これはもう絶海の孤島ダンジョンも怖くない!

 そんなふうに思ったそのとたん。

『同同同期信号を確認認認』

 なにその前前前世と忍者ハットリくんみたいな言い回し。

 ――ギュイギュイギュイギュイギュイ!

 続いて地面を削るような激しい音が背後から聞こえてくる。

『結合結合結合合合開始開始開始始』

 リザルドさんが言ってくる。

「なあ」
〈はい〉
「すげえ嫌な予感がするんだが」
〈俺もです〉

 俺たちは、その予感が外れることを願いながらそっと後ろを振り返った。

 残念ながら予感は大正解だったみたいだ。

 さっきの二倍くらいのサイズになったゴーレム団子がこっちに向かってきていた。
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