転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼

文字の大きさ
上 下
115 / 286
第3章 絶海の孤島ダンジョン編

98 その腕を伸ばしていけ

しおりを挟む
 どうもリビングアーマーの俺です。
 こっちはゴブリン娘のラファ。

 そして穴を這い上ってくる大蛇の群れ。

 ぎゃーーーーー!

 ――ずももももも!

 大蛇が穴をびっしり埋め尽くしながらこっちに迫ってくる。
 俺たちは慌てて穴を登っていく。

 が、滑るし、急だし。
 どうしたって蛇の方が有利な場所だ。

 幸い蛇たちはもつれあっているのでペースが遅い。

 とはいえ、全力で移動しても引き離せないくらいの速度だ。

 マズいぞ……。

「ねえ」

 ラファが言ってくる。

「リビタンのさっきの腕、使えないかな」

 そうか。
 その手があった。
 手だけに。

 俺は先ほどゴーレムのパーツに付け替えた右腕を穴の上方に向ける。

 発射!

 ばしゅううう……と空気音を発生させながら、俺の腕の先が飛んでいく。

 やがて、腕の先が岩肌の上に落ちる。
 俺はその様子を眺めながらしっかりと岩の出っ張りを掴んだ。

 え?
 どうしてそんなはっきりわかるのかって?

 ふっふっふ。
 忘れたか?
 俺には必殺「手の目」があるのだよ!

 まあ手に限らないけど。
 鎧パーツの好きなところに視覚を移動させられる。

 大洞窟ダンジョンでトロッコの行き先を調べるときに使った技だ。

 それを使って右手のひらに視覚をコピーしておいたのだ。

 おかげで、掴んだ岩が比較的崩れなさそうってこともわかる。

〈よし、ラファ、掴まれ〉

 俺はラファを抱えると、腕のワイヤーを回収しながら穴を登っていく。

 最初は坂を駆け上る感じ。
 けど、穴はだんだん垂直に近くなっていく。
 最終的にはヘリコプターに回収されるスパイの人みたいな感じになってた。

 結構早いペースで、腕の先まで到着。
 そこに、反対の手で杭をうって、ふたたび上方にゴーレム腕を飛ばす。

 腕は空気を取り込んで、それを圧縮させて噴射して飛んでいるらしい。
 その動力は魔力。
 魔力は空気中に漂っているものなので実質無限にあると言っていい。
 夢のエネルギー!

 そういや、ラファの義手のビーム。
 あれは大量の魔力を消費するんだろう。
 それで周りの魔力がなくなるから、一日に一度しか撃てないのかもしれないな。

 そんなことを考えながら、またワイヤーを回収して移動。

 よし、だいぶ大蛇どもを引き離せたぞ。

 穴は垂直になったり、斜めになったりを繰り返しながらどんどん上層へ続いていく。

 お。
 先に広い空間が見えてきたな。

 よし、あそこまで一気に飛ぼう。

 俺はまた腕を飛ばす。

 ばしゅうううう……ずもっ。

 なに?
 ずもって?

 手のひらの視覚はなんか半透明のものに埋もれていた。

 じゅうううううう。

 ん?
 今度はなんの音?

 ……うわ!
 なんか溶けてる!

 俺は慌ててワイヤーを引き上げて腕を回収する。

 戻ってきた腕を見ると、指の先端が少し溶けていた。
 オリハルコン製のメイン部分はなんともなさそうなんだけど。
 指先だけは違う素材だったっぽい。

「どうしたの?」

〈この先に、なんかヤバそうなのがいるぞ〉

 俺は溶けた指先をラファに見せる。

「あー」

 なになになんだよ。

「ビッグ・ポイズンスラッグだね、これ」

 えーと。
 それは確か第二の難関にいるという巨大ナメクジか。

 やったぁ!
 いつの間にか次の難所まで到達してたんだね!

 …………。

 ――にゅにゅにゅにゅにゅ!

 と変な音を上げながら前方から迫ってきたのは、確かに巨大ナメクジだった。

 うわあああああああ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

記憶喪失の異世界転生者を拾いました

町島航太
ファンタジー
 深淵から漏れる生物にとって猛毒である瘴気によって草木は枯れ果て、生物は病に侵され、魔物が這い出る災厄の時代。  浄化の神の神殿に仕える瘴気の影響を受けない浄化の騎士のガルは女神に誘われて瘴気を止める旅へと出る。  近くにあるエルフの里を目指して森を歩いていると、土に埋もれた記憶喪失の転生者トキと出会う。  彼女は瘴気を吸収する特異体質の持ち主だった。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。 今年で33歳の社畜でございます 俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう 汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。 すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。 そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

2回目の人生は異世界で

黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

処理中です...