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第3章 絶海の孤島ダンジョン編

96 ロボといえばオプションパーツ

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 大蛇の群れに囲まれたリビングアーマーの俺とゴブリン娘のラファ。
 その目の前に現れたのはゴーレムの残骸だった。

 残骸とはいえ、わりとしっかり残っている。
 ところどころ壊れてるけど、元の形はわかる。

 不思議な形状だ。
 俺みたいな鎧と、ロボットアニメのロボットの中間みたいな外見。
 材質は石とも金属ともつかない奇妙な素材。
 アルメルが『オリハルコン』とか言ってたっけ。

 子供が捨てたみたいに倒れているそれを、俺は拾い上げる。

〈これ、使えないかな〉
「リビタンに接続するってこと? あたしの腕みたいに?」

 ラファは自分の左腕を掲げて言ってくる。
 彼女の左腕はゴーレム製の義手だ。
 それは彼女の意思で自由に動かせる。

 だったら、このゴーレムもいけるんじゃないかって思ったのだ。

 っていうか、ほかにできることがないんだよ!

 大蛇の集団は俺たちにどんどん迫ってくる。
 上からもどんどん蛇が降ってくる。

 このままじゃ俺たちは蛇に押しつぶされちゃう。
 囲まれて、逃げ場もないし。
 試してみるしかない。

 俺はゴーレムを抱えると、ジッと睨み付ける。
 前に、ドラゴンと戦うためにリビングアーマー軍団になったときのイメージだ。
 意識を、目の前にある人形に移す感じ。

〈………………はぁ! ダメかぁ!〉

 意識が移動してくれない。
 なんでだ?
 やっぱり鎧じゃないとダメなのか?

「ひょっとして起動すればいいのかも」

〈起動?〉

「うん。この腕も、起動させたらあたしの肩に勝手にくっついてきたんだ」

 なにそれ怖い……。
 しかし、起動か。
 ますますロボットめいてきたな。

〈で、起動ってどうやるんだ?〉

「うんとね、こうやって」
〈っておい!〉

 ガイン!
 とラファは義手でゴーレムの残骸をぶん殴った。

 壊れたらどうする!

『起動します』
〈うわあ!〉

「ね、起動したでしょ」

 ……したですね。
 なんなのゴーレム。
 昭和の家電製品なの?

『自動補助機能が作動しています。頭部、及び右腕を補助します』

 ゴーレムさんはそう言うと、いきなりバラバラになった。
 そして頭パーツと右腕パーツが俺に向かって飛んできた。

 ――ガション!
〈うわっ〉
 ――ガシィン!
〈のわっ〉

 なんだこれ。
 ゴーレムの頭部と右腕が当たり前のように俺の鎧に接続した。
 あっという間に、なんの違和感も感じなくなる。

 しかも……。

〈行くぞ、ラファ!〉
「え? ――ひゃ!」

 説明してる暇はない。
 大蛇たちがすぐそこまで迫っているのだ。

 俺はゴーレムの右腕を掲げると、出口の穴に向かって射出した。

 腕の真ん中あたりから先が、空気の噴射で飛んでいく。
 飛んでいった腕の先と残ったパーツとは太いワイヤーみたいなロープで繋がっている。

 ウッヒョー!
 超かっけえ!

 穴の到達した手の指で、俺はしっかりと岩を掴む。

〈よしっ〉

 そして一気にワイヤーを縮める。
 俺の身体は抱えたラファと一緒に穴へ向かって飛んでいく。

 タッチの差で、蛇が俺たちのいた場所を埋め尽くす。

「うっわー、危なかったね」
〈ああ。でもなんとかなったな〉

 ひゅん、がしょん、がしん――とワイヤーが回収され、腕が接続される。
 その勢いで俺たちは穴に飛び込み、蛇地獄から脱出した。
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