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第3章 絶海の孤島ダンジョン編

92 転げ落ちてダンジョン(ハードモード)

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 ゴロゴロゴロゴロ!
 ドカーン!

 いててててて……。
 いや鎧だから痛みはなんだけど。
 気分的に全身打撲したレベル。
 それくらい転がり落ちたぞ。

 芋虫たちに襲われた俺たち。
 直後大爆発が起こって洞窟の地面が崩れた。
 ラファを鎧の中に入れた俺は、そのまま落っこちてしまったのだ。

 あの爆発は火薬によるものだな。
 そんな臭いがした。
 たぶんアルメルが用意してたんだろう。
 それに、ロロコの炎魔法で着火したのだ。

 無茶しやがって……。

 しかしあの場では他にどうしようもなかった。
 芋虫に押しつぶされるよりずっとマシだ。

「うぎゅ~~~~」

 俺の身体の中でラファが苦しそうな声を上げているのが聞こえた。
 なんか変な感覚だな。
 俺、鎧だから、本来これが正しい使い方なんだろうけど。

 俺は胴パーツと腰パーツを繋ぐ革ベルトを外して、上下に分離する。
 ゴロゴロとラファが転がり出てくる。

〈大丈夫か、ラファ〉
「うん~なんとか~」

 グラグラ身体を揺らしながらもそう答えるラファ。
 目が回ってるだけっぽいな。
 よかったよかった。

〈ロロコ。アルメル〉

 二人に呼びかけるが返事はない。
 辺りを見回すが姿はなかった。

〈ロロコー! アルメルー!〉
「しーっ」

 俺がなおも二人を呼ぼうとすると、ラファが静止してきた。

「大声はマズいよ、リビタン」
〈どうしてだ?〉
「ここ、近道のほう」

 近道……マジか。

 出発する前にラファが言ってた。
 近道だけど危険なルートと遠回りだけど安全なルートどっちがいいかって。
 結局安全なルートを使うことにしたんだけど。
 なにしろ危険なルートの方は、運が悪かったら全員死ぬらしいからな。

 その全員死ぬルートの方に迷い込んでしまったらしい。
 ……もう一度言おう。
 マジか……。

「こっちはヤバいモンスターがヤバいくらいいるから。基本、遭遇しないようにするしか生き残る道はないよ」

 なにそのハードモード。

 しかし、だとしたら余計ロロコとアルメルが心配だ。

〈あ、そうだ〉

 と俺はふと思い出す。
 こういうときのために二人とはパーティ登録をしておいたんじゃないか。

〈冒険書を確認しても大丈夫か?〉
「うん。今はたぶん」

 ラファに確認をとってから、俺は冒険書を取り出す。
 冒険書は鎧の内側に、余分なベルトをつけてもらって、そこに収納してある。
 しっかりリビングアーマー用にカスタマイズされているのだ。

 それはそうと、冒険書冒険書。

 パラパラっと。
 パーティメンバーのページは……ここだここだ。

〈大丈夫そうだな……〉

 そこには、ロロコとアルメルの名前やステータスが前と変わらず載っていた。

 冒険者ギルドでクーネアさんに教えてもらったんだけど。
 パーティ登録したメンバーのステータス異常は冒険書に表示されるらしい。
 毒状態とか麻痺状態とか瀕死とか死亡とかだな。
 そういう表示がなにもないってことは、二人とも無事ってこと。

 とはいえ安心はできない。
 二人がどこにいるかはわからないし。

 ん?
 待てよ。

 冒険書ってパーティ登録すると、通信ができるんじゃなかったっけ。
 それにお互いの位置情報の確認もできたはず。

 今こそそれを使うときじゃないか!
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