100 / 286
第3章 絶海の孤島ダンジョン編
85 植物もモンスターになる
しおりを挟む
ドラゴンにさらわれたクラクラを助けるため絶海の孤島ダンジョンに挑んだ俺たち。
ってのはつまり、リブングアーマーの俺。
人犬族のクラクラ。
ドワーフ嬢のアルメル。
以上三人ってことね。
そんな俺たちはしょっぱなから穴に落ちて、ひたすら落下していった。
巨大コウモリに襲われ。
巨大蜘蛛に襲われ。
ゴブリンにも襲われ。
やっとそいつらがいなくなって、底が見えてきたと思ったら。
穴の底には巨大芋虫がびっしり!
ぎゃー!
勘弁して!
せめて事前に『虫注意』って予告してほしい!
〈なんだなんだあれ! モンスターか? 危険なやつか?〉
「あれは多分ヴァイン・キャタピラーです」
この辺のモンスターに関してはロロコよりアルメルの方が詳しい。
解説頼みますアルメルさん!
今冒険書開いてる余裕ないし!
「ヴァイン・キャタピラーは植物の蔓が魔力を得て魔物化した存在です。芋虫に似ているのは、もともとその植物に住んでいた芋虫を真似たからと言われてます」
植物もモンスターになるのかよ。
恐ろしいな。
下で蠢いてる奴らは普通の植物には全然見えない。
どう見ても芋虫だ。
〈植物モンスターも人を襲うのか?〉
「ものによると思いますが、ヴァイン・キャタピラーは比較的おとなしいと言われています。蔓はもともと栄養を補給する器官じゃないですから」
なるほど。
その理屈は納得だ。
……でも。
それじゃ俺たちを発見した芋虫たちがシューシュー騒いでるのはどうしてなんですかねえ……?
「……何事も例外はあります」
――シューシュー!
――シューシューシュー!
――シューシューシューシュー!
芋虫たちの声がどんどん広がっていく。
俺たちの真下の奴らは、こっちに頭をもたげてきた。
ぎゃー!
なんか口っぽいのをこっちに向けてガチガチ鳴らしてるんだけど!
〈逃げろ逃げろ逃げろ!〉
俺はロロコとアルメルを抱えたまま、宙をフヨフヨと移動する。
が、芋虫たちも諦めない。
どんどん積み重なって山になり、俺たちに届こうとがんばってくる。
おいおい、それ下のやつ重くない?
そう思うけど、芋虫たちは関係ないようだ。
どんどん芋虫の山が高くなっていく。
しかもモゾモゾモゾモゾモと移動して、俺たちに近づいてくる。
くそ、俺の移動速度より早いぞ!
〈ロロコ、魔法は!?〉
「だめ。魔力切れ」
くそっ。
そうだよな。
さっきあれだけ連発してたしな。
ええい、どうすれば――
――ごごごごごごごごごご……。
ん?
なんか地響きが聞こえるな。
しかもね、なんか前に聞いたことがあるような感じですよ。
――ごごごごごごごごごご!
だんだん大きくなってくる。
えーとこれは。
「ダークネス・ワームが地面を掘り進む音」
おお、それだ。
ロロコ、よく覚えてたな。
…………。
………………マジかよ!
え、どこ?
どこからくるの?
キョロキョロと辺りを見回す俺にロロコが言ってくる。
「リビたん、避けて。下から来る」
〈!〉
俺は全力で横に移動する。
次の瞬間、俺たちがさっきまでいた場所を、巨大ワームの口が飲み込んだ。
ってのはつまり、リブングアーマーの俺。
人犬族のクラクラ。
ドワーフ嬢のアルメル。
以上三人ってことね。
そんな俺たちはしょっぱなから穴に落ちて、ひたすら落下していった。
巨大コウモリに襲われ。
巨大蜘蛛に襲われ。
ゴブリンにも襲われ。
やっとそいつらがいなくなって、底が見えてきたと思ったら。
穴の底には巨大芋虫がびっしり!
ぎゃー!
勘弁して!
せめて事前に『虫注意』って予告してほしい!
〈なんだなんだあれ! モンスターか? 危険なやつか?〉
「あれは多分ヴァイン・キャタピラーです」
この辺のモンスターに関してはロロコよりアルメルの方が詳しい。
解説頼みますアルメルさん!
今冒険書開いてる余裕ないし!
「ヴァイン・キャタピラーは植物の蔓が魔力を得て魔物化した存在です。芋虫に似ているのは、もともとその植物に住んでいた芋虫を真似たからと言われてます」
植物もモンスターになるのかよ。
恐ろしいな。
下で蠢いてる奴らは普通の植物には全然見えない。
どう見ても芋虫だ。
〈植物モンスターも人を襲うのか?〉
「ものによると思いますが、ヴァイン・キャタピラーは比較的おとなしいと言われています。蔓はもともと栄養を補給する器官じゃないですから」
なるほど。
その理屈は納得だ。
……でも。
それじゃ俺たちを発見した芋虫たちがシューシュー騒いでるのはどうしてなんですかねえ……?
「……何事も例外はあります」
――シューシュー!
――シューシューシュー!
――シューシューシューシュー!
芋虫たちの声がどんどん広がっていく。
俺たちの真下の奴らは、こっちに頭をもたげてきた。
ぎゃー!
なんか口っぽいのをこっちに向けてガチガチ鳴らしてるんだけど!
〈逃げろ逃げろ逃げろ!〉
俺はロロコとアルメルを抱えたまま、宙をフヨフヨと移動する。
が、芋虫たちも諦めない。
どんどん積み重なって山になり、俺たちに届こうとがんばってくる。
おいおい、それ下のやつ重くない?
そう思うけど、芋虫たちは関係ないようだ。
どんどん芋虫の山が高くなっていく。
しかもモゾモゾモゾモゾモと移動して、俺たちに近づいてくる。
くそ、俺の移動速度より早いぞ!
〈ロロコ、魔法は!?〉
「だめ。魔力切れ」
くそっ。
そうだよな。
さっきあれだけ連発してたしな。
ええい、どうすれば――
――ごごごごごごごごごご……。
ん?
なんか地響きが聞こえるな。
しかもね、なんか前に聞いたことがあるような感じですよ。
――ごごごごごごごごごご!
だんだん大きくなってくる。
えーとこれは。
「ダークネス・ワームが地面を掘り進む音」
おお、それだ。
ロロコ、よく覚えてたな。
…………。
………………マジかよ!
え、どこ?
どこからくるの?
キョロキョロと辺りを見回す俺にロロコが言ってくる。
「リビたん、避けて。下から来る」
〈!〉
俺は全力で横に移動する。
次の瞬間、俺たちがさっきまでいた場所を、巨大ワームの口が飲み込んだ。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
適正異世界
sazakiri
ファンタジー
ある日教室に突然現れた謎の男
「今から君たちには異世界に行ってもらう」
そんなこと急に言われても…
しかし良いこともあるらしい!
その世界で「あること」をすると……
「とりあいず帰る方法を探すか」
まぁそんな上手くいくとは思いませんけど
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
【完結】やり直しの人形姫、二度目は自由に生きていいですか?
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「俺の愛する女性を虐げたお前に、生きる道などない! 死んで贖え」
これが婚約者にもらった最後の言葉でした。
ジュベール国王太子アンドリューの婚約者、フォンテーヌ公爵令嬢コンスタンティナは冤罪で首を刎ねられた。
国王夫妻が知らぬ場で行われた断罪、王太子の浮気、公爵令嬢にかけられた冤罪。すべてが白日の元に晒されたとき、人々の祈りは女神に届いた。
やり直し――与えられた機会を最大限に活かすため、それぞれが独自に動き出す。
この場にいた王侯貴族すべてが記憶を持ったまま、時間を逆行した。人々はどんな未来を望むのか。互いの思惑と利害が入り混じる混沌の中、人形姫は幸せを掴む。
※ハッピーエンド確定
※多少、残酷なシーンがあります
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2021/07/07 アルファポリス、HOT3位
2021/10/11 エブリスタ、ファンタジートレンド1位
2021/10/11 小説家になろう、ハイファンタジー日間28位
【表紙イラスト】伊藤知実さま(coconala.com/users/2630676)
【完結】2021/10/10
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く
りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!
純黒なる殲滅龍の戦記物語
キャラメル太郎
ファンタジー
龍。それは最強の生物であり最強の存在。だが、龍は強いからこその定め……強者による強さの証明として狩られることもあった。
しかしある日、世界に一匹の黒龍が生まれ落ちた。他の龍とは少し違う姿。内包する莫大な魔力。純黒な混じり気の無い鱗。気味悪がった親の龍は黒龍を捨てた。
生まれたばかりで何も知らない黒龍は直ぐに死ぬかと思われたが、持ち前の龍としての強さ。黒龍自身の強さを使って生き延びる。
これは転生して最強となる人間でもなければ、裏切られてざまぁをする物語ではない。最強の種族である龍が、文字通りの最強を見せ付ける黒龍の物語である。
強き者達よ。果たしてこの黒龍を前にして龍殺しをすると宣うことが出来るか?出来るものならばやってみるといい。しかし心して挑むが良い。
黒龍には──────慈悲の心など無い。
※『小説家になろう』『カクヨム』にも同時投稿しています。
追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~
一色孝太郎
ファンタジー
【小説家になろう日間1位!】
悪役令嬢オリヴィア。それはスマホ向け乙女ゲーム「魔法学園のイケメン王子様」のラスボスにして冥界の神をその身に降臨させ、アンデッドを操って世界を滅ぼそうとした屍(かばね)の女王。そんなオリヴィアに転生したのは生まれついての重い病気でずっと入院生活を送り、必死に生きたものの天国へと旅立った高校生の少女だった。念願の「健康で丈夫な体」に生まれ変わった彼女だったが、黒目黒髪という自分自身ではどうしようもないことで父親に疎まれ、八歳のときに魔の森の中にある見放された開拓村へと追放されてしまう。だが彼女はへこたれず、領民たちのために闇の神聖魔法を駆使してスケルトンを作り、領地を発展させていく。そんな彼女のスケルトンは産業革命とも称されるようになり、その評判は内外に轟いていく。だが、一方で彼女を追放した実家は徐々にその評判を落とし……?
小説家になろう様にて日間ハイファンタジーランキング1位!
※本作品は他サイトでも連載中です。
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる