98 / 286
第3章 絶海の孤島ダンジョン編
83 この世界にはゴブリンがいる!(嬉しくない)
しおりを挟む
〈うわああああああああああああああ!〉
悲鳴を上げながら落下していくリビングアーマーの俺。
右腕には人犬族のロロコ。
左腕にはドワーフ嬢のアルメル。
それぞれの腕にパーティの仲間を抱えながら、俺はダンジョンを落下していく。
っていうか、まだダンジョンに突入してすらいなかったけどね。
ヘルメスとかいう伝説の魔法使いが建てたダンジョン入り口の館。
そこに足を踏み入れた途端、床が崩れて俺たちは落下。
そのままコードレスバンジー状態ですよ!
〈ふぐっ、ぬ、おおおおお!〉
俺は身体に力を入れる。
リビングアーマーとしての俺は多少の浮遊能力を有している。
これで落下速度を少しは減少させられる。
それにしてもどこまで落ちるんだ。
この穴、底がまったく見えないぞ。
「絶海の孤島ダンジョンは広大な地下空間を有してますからね」
アルメルが存外落ち着いた声で言ってくる。
そう、ここは絶海の孤島ダンジョン。
といっても、場所的にはまだ大陸の東端だ。
「絶海の孤島ダンジョンはリリアンシア海に浮かぶ孤島ですが、その中央には大樹ハーレンファラスがそびえ立っています」
またややこしい名前のものが現れたな……。
「このハーレンファラスは雲を突くような巨木で、その根は島全域を覆い、海底を伝ってこの大陸まで伸びています。その根の侵食が生み出した洞窟が、絶海の孤島ダンジョンの一部を形成しているんです」
なるほど。
つまり絶海の孤島ダンジョンってのはその島だけじゃないんだな。
根が伸びている海底と、大陸の一部も含めてダンジョンってわけだ。
ダンジョンは魔力に満ちていて、モンスターがいる危険な地域の総称だ。
〈つまり、ここもすでに危険ってわけか〉
「そうなります」
「あ」
なんだ、最後のロロコの「あ」ってのは。
〈どうした、ロロコ?〉
「プテラマウスがいる」
そいつは確か、大洞窟ダンジョンで俺たちを襲ってきた巨大コウモリだよな。
「きた」
〈うおおおおおおお!〉
あっぶね!
危うくくちばしに右脚を持っていかれるところだった。
そうか。この辺はプテラマウスの巣なのか。
ん?
前にプテラマウスの巣を落下したときは、下は天然の針の山だったよな?
プテラマウスは落下してそこに串刺しになった獲物を食ってるのだ。
〈この下もひょっとして……〉
「それは大丈夫だと思う」
〈ん? どうしてだ?〉
「ここ、縄張りだけど、巣じゃない。べつのモンスターもいる」
〈べつのモンスター?〉
「フライング・アラクニド」
また懐かしい名前が出てきたな。
えーと、そいつは確か、空飛ぶ蜘蛛――おおおおおおおお!
思い出すより早く姿を現してくれてありがとよ!
ちくしょうめ!
今度は左脚が持ってかれるところだったわ!
「いいいいい、急いで降りましょうリビタンさん!」
アルメルが叫んでるけど無茶言うな。
あまり急ぐと地面に激突するんだぞ。
しかしコウモリと蜘蛛は執拗に俺たちを狙ってくる。
コウモリ!
蜘蛛!
コウモリ!
コウモリ!
蜘蛛!
コウモリ!
蜘蛛!
蜘蛛!
ゴブリン!
…………ん?
なんか今変なの混ざってなかった?
コウモリ!
蜘蛛!
蜘蛛!
ゴブリン!
ざしゅ! と緑色のちっこい人影が、手にしたナイフで蜘蛛を引き裂いた。
コウモリも銀閃の餌食になる。
間違いない。
あれはゴブリンだ。
獲物を狩ってるのか?
俺たちを助けてくれてるのか?
なんにしろラッキー――
「ま、マズいですよ」
とアルメルが震える声で言ってくる。
「絶海の孤島ダンジョンにいるゴブリンは排他性が強いので、よそ者は攻撃してくるんです!」
えーと、それはつまり。
俺たちも狙われるってこと?
「ギー! ギー!」
「ナンダオマエラ!」
「コロスゾ!」
うわー!
いつの間にか、周りの壁に、大量のゴブリンが取り付いて俺たちを取り囲んでいる。
そいつらがナイフを構えて一斉に飛びかかってきた。
全然ラッキーじゃねえ!
悲鳴を上げながら落下していくリビングアーマーの俺。
右腕には人犬族のロロコ。
左腕にはドワーフ嬢のアルメル。
それぞれの腕にパーティの仲間を抱えながら、俺はダンジョンを落下していく。
っていうか、まだダンジョンに突入してすらいなかったけどね。
ヘルメスとかいう伝説の魔法使いが建てたダンジョン入り口の館。
そこに足を踏み入れた途端、床が崩れて俺たちは落下。
そのままコードレスバンジー状態ですよ!
〈ふぐっ、ぬ、おおおおお!〉
俺は身体に力を入れる。
リビングアーマーとしての俺は多少の浮遊能力を有している。
これで落下速度を少しは減少させられる。
それにしてもどこまで落ちるんだ。
この穴、底がまったく見えないぞ。
「絶海の孤島ダンジョンは広大な地下空間を有してますからね」
アルメルが存外落ち着いた声で言ってくる。
そう、ここは絶海の孤島ダンジョン。
といっても、場所的にはまだ大陸の東端だ。
「絶海の孤島ダンジョンはリリアンシア海に浮かぶ孤島ですが、その中央には大樹ハーレンファラスがそびえ立っています」
またややこしい名前のものが現れたな……。
「このハーレンファラスは雲を突くような巨木で、その根は島全域を覆い、海底を伝ってこの大陸まで伸びています。その根の侵食が生み出した洞窟が、絶海の孤島ダンジョンの一部を形成しているんです」
なるほど。
つまり絶海の孤島ダンジョンってのはその島だけじゃないんだな。
根が伸びている海底と、大陸の一部も含めてダンジョンってわけだ。
ダンジョンは魔力に満ちていて、モンスターがいる危険な地域の総称だ。
〈つまり、ここもすでに危険ってわけか〉
「そうなります」
「あ」
なんだ、最後のロロコの「あ」ってのは。
〈どうした、ロロコ?〉
「プテラマウスがいる」
そいつは確か、大洞窟ダンジョンで俺たちを襲ってきた巨大コウモリだよな。
「きた」
〈うおおおおおおお!〉
あっぶね!
危うくくちばしに右脚を持っていかれるところだった。
そうか。この辺はプテラマウスの巣なのか。
ん?
前にプテラマウスの巣を落下したときは、下は天然の針の山だったよな?
プテラマウスは落下してそこに串刺しになった獲物を食ってるのだ。
〈この下もひょっとして……〉
「それは大丈夫だと思う」
〈ん? どうしてだ?〉
「ここ、縄張りだけど、巣じゃない。べつのモンスターもいる」
〈べつのモンスター?〉
「フライング・アラクニド」
また懐かしい名前が出てきたな。
えーと、そいつは確か、空飛ぶ蜘蛛――おおおおおおおお!
思い出すより早く姿を現してくれてありがとよ!
ちくしょうめ!
今度は左脚が持ってかれるところだったわ!
「いいいいい、急いで降りましょうリビタンさん!」
アルメルが叫んでるけど無茶言うな。
あまり急ぐと地面に激突するんだぞ。
しかしコウモリと蜘蛛は執拗に俺たちを狙ってくる。
コウモリ!
蜘蛛!
コウモリ!
コウモリ!
蜘蛛!
コウモリ!
蜘蛛!
蜘蛛!
ゴブリン!
…………ん?
なんか今変なの混ざってなかった?
コウモリ!
蜘蛛!
蜘蛛!
ゴブリン!
ざしゅ! と緑色のちっこい人影が、手にしたナイフで蜘蛛を引き裂いた。
コウモリも銀閃の餌食になる。
間違いない。
あれはゴブリンだ。
獲物を狩ってるのか?
俺たちを助けてくれてるのか?
なんにしろラッキー――
「ま、マズいですよ」
とアルメルが震える声で言ってくる。
「絶海の孤島ダンジョンにいるゴブリンは排他性が強いので、よそ者は攻撃してくるんです!」
えーと、それはつまり。
俺たちも狙われるってこと?
「ギー! ギー!」
「ナンダオマエラ!」
「コロスゾ!」
うわー!
いつの間にか、周りの壁に、大量のゴブリンが取り付いて俺たちを取り囲んでいる。
そいつらがナイフを構えて一斉に飛びかかってきた。
全然ラッキーじゃねえ!
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる