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第2章 バリガンガルド編
54 新たな鎧、発見!
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どうも、右腕だけのリビングアーマーの俺です。
こっちは人犬族のロロコ。
そしてさらにもう一人、エルフで姫で女騎士の――名前はえーと……。
「クラクラは、一人で旅してたの?」
「く、クラクラ!?」
ロロコが呼んだ名前にエルフさんが驚愕してる。
うーん……。
そんな名前だったかな?
でも、大体あってる気がするから、クラクラでいいや。
クラクラは、気を取り直して答える。
「我が故郷であるフリエルノーラ国を出たときは、馬車だった――」
自分の国名を言うときはちょっと誇らしげなクラクラ。
真っ暗でロロコに手を引いてもらってるから、あまり様になってないけどな。
「――だが、途中で魔物の群れに襲われてな。皆散り散りになってしまった」
……またか。
ダンジョンの外ではモンスターは出ないって話だったけど。
俺とロロコも前に森で毒カエル集団に襲われた。
なんか異常が起こってんのかな……?
「自分は馬車を逃がすために戦ったのだが、何しろ多勢に無勢だったからな。そのまま追い詰められ、崖からこのダンジョンに落ちてしまった」
と、クラクラは悔しそうにため息をつく。
「持っていた灯りも、あの増水でなくしてしまって、どうすればいいのやら……」
なるほど。
大変だなぁ……。
…………。
ちょっと待ってくださいよ。
いまの話の流れだと、
〈ひょっとして、クラクラもここがどこだかわからないの?〉
「それはそうだ。なにせ増水に流されてきたのだからな。なぁに、そなたたちが把握しているのだろう?」
〈…………〉
はっはっは。
……そんなわけないじゃないですか。
うおおおお!
そりゃそうだよな!
目的地が同じだからって、相手が道を知ってるとは限らねえよな!
どっちも迷子ってわけだ!
〈待てよ、じゃあ、ロロコはどこ目指してるんだ?〉
なんとなくクラクラが先導してるような気がしてたが、先頭を歩いてるのはロロコだ。
「におい」
〈におい?〉
こくんと頷くロロコ。
「こっちからクラクラのにおいがする。多分、落としたっていう灯り」
おお!
なるほどな。
「そうか。人犬族は鼻が効くのだな」
と、クラクラも納得したようだ。
「暗闇でもものが見え、嗅覚も鋭い。まさに洞窟ダンジョンを歩むにふさわしいな」
やたらに褒めちぎるので、ロロコはちょっと照れくさそうだ。
犬耳がピコピコ動いてる。
尻尾もふるふる揺れとる。
しかし、人犬族は、一部の人間から差別を受けてるらしい様子だったが。
クラクラはそんな態度は取らないんだな。
エルフだからかな。
◆◇◆◇◆
「ついた」
ロロコが立ち止まる。
ついたって……。
あの、目の前、川なんですけど。
いや、本当に川かどうかは知らないけど。
洞窟が途切れてて、目の前を轟々と水が流れている。
「あっち、見て」
とロロコは指を指す。
〈ん?〉
川の対岸。
向こう側にも同じように洞窟がある。
うーん。
つまりここは本来は十字路みたいな形をしてるんだ。
で、俺たちが歩いてきたのと垂直に交わる道の方がめちゃくちゃ広い。
その広い道に、今は水が流れてる状態。
〈んお?〉
「どうした、リビタン殿」
〈クラクラ、あんたが持ってた灯りって、四角いランプみたいなやつか?〉
「おお、まさにそれだ。あるのか!?」
…………巨大な川の向こうにね。
向こうにある洞窟にランプが落ちてる。
クラクラはこの水に流されて俺たちがいたところまで来てしまったのだろう。
さて、どうしよう?
俺一人なら、この川の上を浮いて渡ることは可能だ。
ただ、問題はロロコとクラクラ。
俺、今ヒビが入ってて、人を抱えて浮いて移動できるほど丈夫じゃないんだよな。
途中でバラバラになって川に落ちるとか、ごめんだし。
……ん?
なんか、対岸の洞窟。
ランプ以外にも物が落ちてるな。
……!
あれは!
鎧だ!
こっちは人犬族のロロコ。
そしてさらにもう一人、エルフで姫で女騎士の――名前はえーと……。
「クラクラは、一人で旅してたの?」
「く、クラクラ!?」
ロロコが呼んだ名前にエルフさんが驚愕してる。
うーん……。
そんな名前だったかな?
でも、大体あってる気がするから、クラクラでいいや。
クラクラは、気を取り直して答える。
「我が故郷であるフリエルノーラ国を出たときは、馬車だった――」
自分の国名を言うときはちょっと誇らしげなクラクラ。
真っ暗でロロコに手を引いてもらってるから、あまり様になってないけどな。
「――だが、途中で魔物の群れに襲われてな。皆散り散りになってしまった」
……またか。
ダンジョンの外ではモンスターは出ないって話だったけど。
俺とロロコも前に森で毒カエル集団に襲われた。
なんか異常が起こってんのかな……?
「自分は馬車を逃がすために戦ったのだが、何しろ多勢に無勢だったからな。そのまま追い詰められ、崖からこのダンジョンに落ちてしまった」
と、クラクラは悔しそうにため息をつく。
「持っていた灯りも、あの増水でなくしてしまって、どうすればいいのやら……」
なるほど。
大変だなぁ……。
…………。
ちょっと待ってくださいよ。
いまの話の流れだと、
〈ひょっとして、クラクラもここがどこだかわからないの?〉
「それはそうだ。なにせ増水に流されてきたのだからな。なぁに、そなたたちが把握しているのだろう?」
〈…………〉
はっはっは。
……そんなわけないじゃないですか。
うおおおお!
そりゃそうだよな!
目的地が同じだからって、相手が道を知ってるとは限らねえよな!
どっちも迷子ってわけだ!
〈待てよ、じゃあ、ロロコはどこ目指してるんだ?〉
なんとなくクラクラが先導してるような気がしてたが、先頭を歩いてるのはロロコだ。
「におい」
〈におい?〉
こくんと頷くロロコ。
「こっちからクラクラのにおいがする。多分、落としたっていう灯り」
おお!
なるほどな。
「そうか。人犬族は鼻が効くのだな」
と、クラクラも納得したようだ。
「暗闇でもものが見え、嗅覚も鋭い。まさに洞窟ダンジョンを歩むにふさわしいな」
やたらに褒めちぎるので、ロロコはちょっと照れくさそうだ。
犬耳がピコピコ動いてる。
尻尾もふるふる揺れとる。
しかし、人犬族は、一部の人間から差別を受けてるらしい様子だったが。
クラクラはそんな態度は取らないんだな。
エルフだからかな。
◆◇◆◇◆
「ついた」
ロロコが立ち止まる。
ついたって……。
あの、目の前、川なんですけど。
いや、本当に川かどうかは知らないけど。
洞窟が途切れてて、目の前を轟々と水が流れている。
「あっち、見て」
とロロコは指を指す。
〈ん?〉
川の対岸。
向こう側にも同じように洞窟がある。
うーん。
つまりここは本来は十字路みたいな形をしてるんだ。
で、俺たちが歩いてきたのと垂直に交わる道の方がめちゃくちゃ広い。
その広い道に、今は水が流れてる状態。
〈んお?〉
「どうした、リビタン殿」
〈クラクラ、あんたが持ってた灯りって、四角いランプみたいなやつか?〉
「おお、まさにそれだ。あるのか!?」
…………巨大な川の向こうにね。
向こうにある洞窟にランプが落ちてる。
クラクラはこの水に流されて俺たちがいたところまで来てしまったのだろう。
さて、どうしよう?
俺一人なら、この川の上を浮いて渡ることは可能だ。
ただ、問題はロロコとクラクラ。
俺、今ヒビが入ってて、人を抱えて浮いて移動できるほど丈夫じゃないんだよな。
途中でバラバラになって川に落ちるとか、ごめんだし。
……ん?
なんか、対岸の洞窟。
ランプ以外にも物が落ちてるな。
……!
あれは!
鎧だ!
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