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第1章 大洞窟ダンジョン編

33 カエル地獄と毒の沼

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 どうも、リビングアーマーです。

 ――ベシャ!

 うわぉ!

 ――じゅうううう!

 犬耳っ娘のロロコとともにダンジョンを脱出したと思ったら、カエルに追われてます。

 しかも体長1メートルくらいのモンスターカエル。
 口から吐いた液は、草でも木でも平気で溶かしてしまう。

 森にはモンスターはいないはずなのに!

 マギ・フロッグという名前の、魔法を使うカエルらしい。
 色は青で、水属性。

 ……って話なんだけど、どう考えても毒属性じゃねえのこいつ!?

「そんな属性の魔法はないよ」

 俺の横を走りながら、ロロコが言ってくる。
 いつものことながら、超冷静ですね、お嬢さん!

「魔法の属性は火、水、土、風の四つ」

 定番だな。
 わかりやすくていい。

〈じゃあ、あのカエルの毒はなんなんだ!?〉
「あれは魔法じゃなくて、もともとの性質」

 そうなのか。
 ってことは、あいつ、あれ以外に水魔法の攻撃も持ってるってわけ?

「そう」

 マジかよ!

〈ひょっとして、火属性は水に弱い、とか?〉
「そう」

 やっぱりか!
 それで、ロロコは即座に逃げる選択をしたわけだな。

 まあ、これまでだって戦うより逃げてたことのほうが多い気もするけどね!

 あんな、毒液なんつー飛び道具を持ってる相手に立ち向かう手段は俺にはない。
 便利だった鱗状鎧の金属板も、もうないしな。
 で、ロロコの炎魔法は相性が悪いときてる。

 ま、逃げるしかないな。

 ありがたいのは、カエルのほうはあまり足が速くないことだ。

 ――びよん、びよん!

 とカエルらしくジャンプして追ってくるんだけど。
 森の植物が邪魔で、あまり大ジャンプはできないっぽい。

 ――びよん、びよん!
    ――びよん、びよん!

 ……ん?

 ――びよん、びよん!
    ――びよん、びよん!
       ――びよん、びよん!

 なんか増えてませんかねぇ……。

 ……。
 …………ちらっ。

〈ぎゃー!〉

 やっぱり増えてる!
 1、2、3、4、5――5匹もいる!

「おお」
〈そんな冷静な場合か!〉
「? 驚いてるよ」
〈そうは見えねええ!〉

 ロロコは俺の表情?を簡単に読み取るけど、俺のほうはまだまだだな。

〈と、とにかく、カエルが5匹に増えたってことは、毒液も5倍だ〉

 なんとかしないと!

「5匹? いや、もっといるよ」
〈へ?〉

 ……ちらっ。

 ――びよん、びよん!
    ――びよん、びよん!
  ――びよんびよんびよんびよんびよんびよんびよんびよんびよんびよん
    びよんびよんびよんびよんびよんびよんびよんびよんびよんびよん
    びよんびよんびよんびよんびよんびよんびよんびよんびよんびよん――

〈ぎゃああああああああ!〉

 きもっ!
 きもちわりっ!

 俺、蜘蛛に比べたら、カエルは全然平気だと思ってたけどさ。
 さすがに、これだけの量がそろうときもち悪いわ。

 これ、50匹くらいいるんじゃねえの?

 しかも、だんだん囲まれてってないですかね……。

「これは危険」
〈やっぱり?〉
「見て」
〈?〉

 ロロコが指差す先にあるのは、沼だった。

〈え? この沼がどうしたの?〉

 パシャ――。

 お?
 足元で水が跳ねたぞ?

 沼というか湿地帯みたいな感じなのかね。
 草は生えてるんだけど、水がこの辺まで――

 ――じゅううう!

〈おわーーーーーー!〉

 と、溶け、溶ける!

 この沼、カエルたちの毒液でできてる!?
 もしくは、毒液を混ぜてあるのか?

 どっちにしろ、危険なことに変わりはねえ!

 ――びよん、びよん!
 ――びよん、びよん!
 ――びよん、びよん!

 げ。
 毒の沼に気を取られてる間に、カエルどもに取り囲まれてる。

 カエルはグリンとした目で俺たちを見つけてくる。
 表情の感じられない顔が不気味。

 そして。

 ――ベシャ!
 ――ベシャベシャ!
 ――ベシャベシャベシャ!

 カエルたちは、いっせいに毒液を吐きかけてきた。

〈ぎゃーーーーーーー!!!!〉
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