上 下
7 / 286
第1章 大洞窟ダンジョン編

7 レベルがあーがったー!

しおりを挟む
『モンスターの情報が追加されました』
『レベルが上がりました』
『変化したステータスを表記しました』

 ふぁ!?

 ……ああ。
 そうだった。
 さっき自分の腹に『冒険書』を突っ込んだんだった。
 いきなり身体のなかからべつの声が声が聞こえてビビったぜ。

 で、なんだって?
 モンスター情報が増えた?

 おそっ!
 遅いよ!
 もう倒しちゃってるじゃん!
 いま情報見て攻略法わかっても意味ないじゃん!

 ……どうやら、モンスター図鑑的な役割らしいな。
 鑑定スキルの代わりにはならないっぽい。
 まあ、再遭遇したときには役立つかな。
 せっかくだし確認してみるか。

 俺は、巨大ダンゴムシとの戦いで傷ついた身体を洞窟の壁にあずける。
 戦いって言っても、二匹とも自分らでぶつかって自滅したんだけどね。

 腹のなかから本を取り出し、パラパラ。
 モンスター情報は後ろのページにあった。

『レッサー・アーマー・バグ
 平均HP:559
 平均MP:675
 平均物理攻撃力:345
 平均物理防御力:569
 平均魔法攻撃力:34
 平均魔法抵抗力:44
 解説:アーマー・バグの小型種。主に洞窟に生息。体内保有魔力の高い個体が多く、表面の装甲が魔力を帯びている。』

 ふむふむ……。
 小型種ってことは、これよりデカい通常種がいるってことですかね?
 勘弁してほしいわー。

 そして、それぞれの数値の高さ!
 なにこれ、怖い。
 全部、完全に俺を上回ってる。
 上に平均ってついてるのがよくわからないけど……。
 とにかく、本来なら俺が戦うような相手じゃなかったってことだ。
 勝手に自滅してくれて助かったぜ。

 で、ちょっと気になる部分がある。
 解説コーナーの『体内保有魔力』って言葉。
 それに『表面の装甲が魔力を帯びている』って一文。
 これ、魔法攻撃力と抵抗力とは別物だよね。
 だってこいつ、そこだけ二桁しかないし。
 で、その高い魔力が装甲に現れてる、と。

 ……もしかして、大ネズミの攻撃で腹に穴空いたの、そのせいじゃね?
 大ネズミの身体も魔力を帯びていたとしたら。
 それが俺の身体が帯びてる魔力を上回ってたとしたら。
 物理じゃなくて、魔力のぶつかり合いで、あんなことになった――のかもしれない。

 でも、そうすると、あの扉は?
 この洞窟への入り口になっていた扉を殴った腕パーツも壊れたんだった。
 じゃ、じゃあ、あの扉も魔力を帯びてたとか……。
 苦しいな。
 まあ、ひとつの仮説ってことで。

 気を取り直して。
 さあ!
 いよいよお待ちかね!
 俺自身のステータスの確認だ!
 ふっふっふ。
 実は楽しみだったので、あとにとっておいたのさ。
 さあ、どのくらい変化してるか確認してみよう。
 なんか、一気にレベルが5くらいまで上がってたりなんかしちゃったりして!?
 ばばん!

『リビングアーマー LV.2 名前:なし
 HP:104/234
 MP:14/14
 物理攻撃力:34
 物理防御力:42
 魔法攻撃力:3
 魔法抵抗力:1
 スキル:霊体感覚
 称号:駆け出し冒険者
 称号特典:なし』

 …………。
 いや、わかってましたよ。
 どうせそんなオチだと思ってたもん。
 けど!
 それにしても!
 変化なさすぎじゃないですかね!
 ちなみに、変化前のステータスはこんな感じだった。

『リビングアーマー LV.1 名前:なし
 HP:165/223
 MP:12/12
 物理攻撃力:23
 物理防御力:34
 魔法攻撃力:2
 魔法抵抗力:1
 スキル:霊体感覚
 称号:なし』

 すげー微増。
 魔法抵抗力にいたっては1のままだし。
 あ、でも称号がつきましたね。
 特典はべつにないらしいけど。

 駆け出し冒険者ねぇ。
 モンスターを倒したので、もらえたのかな?
 まあ、称号によって特典がもらえるかもしれないことがわかっただけでよしとするか。

 現在のHPが減ってるのは、戦闘で疲れたからかな。
 それとも、鎧パーツがまたさらに減ったからかな。

 そうだった。
 レベルアーップ!って喜んでたけど、俺の現状はあまりよろしくない。

 まず、腹に大穴。
 右手は腕から先がない。
 右足も太ももパーツの途中からない。
 まともに歩くこともできない状況だ。
 これでまた、ダンゴムシが現れたりしたら、かなりピンチだ。

 さて――どうしようか、この状況。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...