23 / 28
23
しおりを挟む
コホンと小さく咳払いする紫桜。
異世界でも話し切り替えるためにこういう事するんだなと思いながら紫桜を見る。
「本題なんだが、雪、ダイヤモンドリリーをくれないか」
「ダイヤモンドリリー、ですか?」
「ああ、四悠は異世界人なんだ。」
さらりと俺の事情を告げる紫桜。
「え、言って大丈夫なの?」
「雪は大丈夫だ」
雪と紫桜を疑うわけでは無いが、少し不安が残るので心の中で【ステータスオープン】と唱える。
だから使いたかっただけとかそんな。
『雪 ユキ(25)
ディフェンダー 。Sランク。
亜人 (銀毛九尾)。医師。奴隷。ダイヤモンドリリー(ソレントスワン)の持ち主。
スキル【瑞獣の加護】
~口も堅いし、話して良いと思うよ!~ 』
Sランクで亜人でケモミミで奴隷で?????凄い。紫桜のステータスもそうだったけどツッコミ所が凄い。
スキルのずいじゅう?ってなんだ?ソレントスワンは、種類か?……うん、ここは紫桜に任せる。
「異世界人ですか。世渡り人ですね。ダイヤモンドリリーを5つ全て集める事で元の世界に帰れるという伝承は多数残っていますね。」
「え、そうなの?」
「ええ、王宮にも記録が残っていると思いますよ。」
そんな事一言も言わなかったじゃないかと恨めし気な目で紫桜を見ると、必要無いだろとあしらわれた。
「少し待っていてくださいね」
そう言うと雪は胸の前で手を組み、祈る様なポーズをした。
次第に体が少しピンク色の混じった白に光っていく。
周りの重力が増した気がする。
息もしづらい。
紫桜を見ると少しフラついていたので、仕方なく引き寄せ、体をもたれ掛けさせてやった。
抵抗されるかと思ったが、本当にツラかった様で、素直に体を預けてきた。
くたりと腕の中に収まるのが、少しだけ愛おしかった。
「どうぞ、ダイヤモンドリリーです。」
差し出されたのはフリルが可愛らしく、しかし清潔さをかんじさせる様な白い花だった。
「これがダイヤモンドリリー……」
形こそ彼岸花と似ているが、意外と違うものだった。
「紫桜、大丈夫か?」
「あ、ああ、悪い」
まだ息苦しそうにして、俺にもたれている紫桜に声をかける。すると、そっと体を離して行ってしまった。
別に寄りかかったままいてくれても良かったが…。
「あ…申し訳ありません紫桜様!直ぐに治療しますね。」
そう言って立ち上がると、雪は紫桜の額に触れるか触れないかの距離で手をかざした。
その間にはおそらく魔力だろうか、青白い靄の様なものが見えた。
流石医師とでも言うべきか、強張っていた紫桜の体は和らいでいった。
「紫桜どうしたんだ?」
「魔力酔いです。私がダイヤモンドリリーを出現させる際に多くの魔力を放出させてしまったせいで、紫桜様に障ってしまった様です。…至らずに本当に申し訳ありません。」
「いや、相性の問題もあったし、防げなかった俺の力不足だ。それより、治療してくれて助かった。」
ちゃんとお礼を言えて偉いぞの意を込めて、紫桜の頭を撫でてやる。
表面上迷惑そうな顔をしているが、振り払ったりしないのを見ると、やはり撫でられるが好きな様だ。
「2人の魔力って相性悪いのか?」
「悪いと言うか、似てるんだ。似すぎててどちらかが多くの魔力を使うと体が混乱するんだ。」
自分は魔力使ってないのに周囲に似た魔力を感じてよ酔うのか。
車に乗っている時に自分は体を動かしていないのに風景だけ移動するから酔うのとほぼ同じ原理なのか?
「そうだ、それでもう1つダイヤモンドリリーが欲しいんだが、紅蓮は今何処にいるか知っているか?」
紫桜がそう聞くと、雪は露骨に嫌そうな顔をする。ど、どうした。美人が怒ると怖いって本当だったんだな。
異世界でも話し切り替えるためにこういう事するんだなと思いながら紫桜を見る。
「本題なんだが、雪、ダイヤモンドリリーをくれないか」
「ダイヤモンドリリー、ですか?」
「ああ、四悠は異世界人なんだ。」
さらりと俺の事情を告げる紫桜。
「え、言って大丈夫なの?」
「雪は大丈夫だ」
雪と紫桜を疑うわけでは無いが、少し不安が残るので心の中で【ステータスオープン】と唱える。
だから使いたかっただけとかそんな。
『雪 ユキ(25)
ディフェンダー 。Sランク。
亜人 (銀毛九尾)。医師。奴隷。ダイヤモンドリリー(ソレントスワン)の持ち主。
スキル【瑞獣の加護】
~口も堅いし、話して良いと思うよ!~ 』
Sランクで亜人でケモミミで奴隷で?????凄い。紫桜のステータスもそうだったけどツッコミ所が凄い。
スキルのずいじゅう?ってなんだ?ソレントスワンは、種類か?……うん、ここは紫桜に任せる。
「異世界人ですか。世渡り人ですね。ダイヤモンドリリーを5つ全て集める事で元の世界に帰れるという伝承は多数残っていますね。」
「え、そうなの?」
「ええ、王宮にも記録が残っていると思いますよ。」
そんな事一言も言わなかったじゃないかと恨めし気な目で紫桜を見ると、必要無いだろとあしらわれた。
「少し待っていてくださいね」
そう言うと雪は胸の前で手を組み、祈る様なポーズをした。
次第に体が少しピンク色の混じった白に光っていく。
周りの重力が増した気がする。
息もしづらい。
紫桜を見ると少しフラついていたので、仕方なく引き寄せ、体をもたれ掛けさせてやった。
抵抗されるかと思ったが、本当にツラかった様で、素直に体を預けてきた。
くたりと腕の中に収まるのが、少しだけ愛おしかった。
「どうぞ、ダイヤモンドリリーです。」
差し出されたのはフリルが可愛らしく、しかし清潔さをかんじさせる様な白い花だった。
「これがダイヤモンドリリー……」
形こそ彼岸花と似ているが、意外と違うものだった。
「紫桜、大丈夫か?」
「あ、ああ、悪い」
まだ息苦しそうにして、俺にもたれている紫桜に声をかける。すると、そっと体を離して行ってしまった。
別に寄りかかったままいてくれても良かったが…。
「あ…申し訳ありません紫桜様!直ぐに治療しますね。」
そう言って立ち上がると、雪は紫桜の額に触れるか触れないかの距離で手をかざした。
その間にはおそらく魔力だろうか、青白い靄の様なものが見えた。
流石医師とでも言うべきか、強張っていた紫桜の体は和らいでいった。
「紫桜どうしたんだ?」
「魔力酔いです。私がダイヤモンドリリーを出現させる際に多くの魔力を放出させてしまったせいで、紫桜様に障ってしまった様です。…至らずに本当に申し訳ありません。」
「いや、相性の問題もあったし、防げなかった俺の力不足だ。それより、治療してくれて助かった。」
ちゃんとお礼を言えて偉いぞの意を込めて、紫桜の頭を撫でてやる。
表面上迷惑そうな顔をしているが、振り払ったりしないのを見ると、やはり撫でられるが好きな様だ。
「2人の魔力って相性悪いのか?」
「悪いと言うか、似てるんだ。似すぎててどちらかが多くの魔力を使うと体が混乱するんだ。」
自分は魔力使ってないのに周囲に似た魔力を感じてよ酔うのか。
車に乗っている時に自分は体を動かしていないのに風景だけ移動するから酔うのとほぼ同じ原理なのか?
「そうだ、それでもう1つダイヤモンドリリーが欲しいんだが、紅蓮は今何処にいるか知っているか?」
紫桜がそう聞くと、雪は露骨に嫌そうな顔をする。ど、どうした。美人が怒ると怖いって本当だったんだな。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
騎士の鑑と呼ばれる侯爵令息はひねくれ強気すぎ騎士の嫌がる顔が生きがいらしい
千鶴
BL
クルトの嫌がる顔が生きがいでわざと溺愛するようになった貴公子騎士ディートリヒ
×
ディートリヒの体は大好きな生意気卑屈強気騎士クルト
――クソ!お前が俺を"かわいい子猫"扱いするつもりなら、お前の体も存分に使い倒してやる!俺の図太さを舐めるなよ……後悔させてやるからなぁ!まずは永遠に人間カウチやってろボケ!
◇ ◇ ◇
人類の天敵である魔人を討伐する騎士団に所属し、討伐任務の要となる傀儡師クルト・ヤンはひねくれ者で柄と口が悪すぎた。任務の最中も、自分を守る盾として動く騎士ディートリヒ・フォン・ローゼンクランツに悪態を吐きまくる。
クルトとディートリヒは12歳の頃から行動を共にしている。離れるときがあまりないくらいに。しかし、クルトはディートリヒを拒絶している。
ディートリヒは騎士団を創設した伯爵家の子息で、騎士の鑑のような言動をする美丈夫だ。クルトはディートリヒの清らかさは偽物だと疑っている。ディートリヒに対して卑屈な憧れと敬意、自身の卑屈さから来る妬みと疑心を向けていた。ついでに劣情を向け、いつか抱いてやると思ってもいる。
しかし、ディートリヒの罠に自分からはまり、逆に襲われてしまう。ディートリヒはクルトの態度に悪感情を向ける騎士をいなすため、共寝をする仲だと思わせたかったらしい。そしてこの一夜以降ディートリヒはクルトを激しく構い倒すようになる。
「木を隠すなら森の中。クルトの気ままさを隠すなら私も気ままに振る舞おう」
R18部には※マーク、注意が必要そうな部には⭐︎マーク、戦闘描写がある部には▲マークがついています。
※ほかの小説投稿サイトにも掲載しています。
※前のタイトルだと話の内容がわかりにくかったので変更しました。
『ひねくれ傀儡師は青薔薇公子の蜜術から逃げられるのか?』
※ 11回BL小説大賞に参加しています。よろしくお願いいたします。
守護獣騎士団物語 犬と羽付き馬
葉薊【ハアザミ】
BL
一夜にして養父と仲間を喪い天涯孤独となったアブニールは、その後十年間たったひとり何でも屋として生き延びてきた。
そんなある日、依頼を断った相手から命を狙われ気絶したところを守護獣騎士団団長のフラムに助けられる。
フラム曰く、長年の戦闘によって体内に有害物質が蓄積しているというアブニールは長期間のケアのため騎士団の宿舎に留まることになる。
気障な騎士団長×天涯孤独の何でも屋のお話です。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
堕ちた英雄
風祭おまる
BL
盾の英雄と呼ばれるオルガ・ローレンスタは、好敵手との戦いに敗れ捕虜となる。
武人としての死を望むオルガだが、待っていたのは真逆の性奴隷としての生だった。
若く美しい皇帝に夜毎嬲られ、オルガは快楽に堕されてゆく。
第一部
※本編は一切愛はなく救いもない、ただおっさんが快楽堕ちするだけの話です
※本編は下衆遅漏美青年×堅物おっさんです
※下品です
※微妙にスカ的表現(ただし、後始末、準備)を含みます
※4話目は豪快おっさん×堅物おっさんで寝取られです。ご注意下さい
第二部
※カップリングが変わり、第一部で攻めだった人物が受けとなります
※要所要所で、ショタ×爺表現を含みます
※一部死ネタを含みます
※第一部以上に下品です
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる