ダイヤモンド・リリー

zzz

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コホンと小さく咳払いする紫桜。

異世界でも話し切り替えるためにこういう事するんだなと思いながら紫桜を見る。

「本題なんだが、雪、ダイヤモンドリリーをくれないか」

「ダイヤモンドリリー、ですか?」

「ああ、四悠は異世界人なんだ。」

さらりと俺の事情を告げる紫桜。

「え、言って大丈夫なの?」

「雪は大丈夫だ」

雪と紫桜を疑うわけでは無いが、少し不安が残るので心の中で【ステータスオープン】と唱える。

だから使いたかっただけとかそんな。

『雪 ユキ(25)
    ディフェンダー 。Sランク。
  亜人 (銀毛九尾)。医師。奴隷。ダイヤモンドリリー(ソレントスワン)の持ち主。
  スキル【瑞獣の加護】
  ~口も堅いし、話して良いと思うよ!~ 』


Sランクで亜人でケモミミで奴隷で?????凄い。紫桜のステータスもそうだったけどツッコミ所が凄い。

スキルのずいじゅう?ってなんだ?ソレントスワンは、種類か?……うん、ここは紫桜に任せる。

「異世界人ですか。世渡り人ですね。ダイヤモンドリリーを5つ全て集める事で元の世界に帰れるという伝承は多数残っていますね。」

「え、そうなの?」

「ええ、王宮にも記録が残っていると思いますよ。」

そんな事一言も言わなかったじゃないかと恨めし気な目で紫桜を見ると、必要無いだろとあしらわれた。

「少し待っていてくださいね」

そう言うと雪は胸の前で手を組み、祈る様なポーズをした。

次第に体が少しピンク色の混じった白に光っていく。

周りの重力が増した気がする。
息もしづらい。

紫桜を見ると少しフラついていたので、仕方なく引き寄せ、体をもたれ掛けさせてやった。

抵抗されるかと思ったが、本当にツラかった様で、素直に体を預けてきた。

くたりと腕の中に収まるのが、少しだけ愛おしかった。

「どうぞ、ダイヤモンドリリーです。」

差し出されたのはフリルが可愛らしく、しかし清潔さをかんじさせる様な白い花だった。

「これがダイヤモンドリリー……」

形こそ彼岸花と似ているが、意外と違うものだった。

「紫桜、大丈夫か?」

「あ、ああ、悪い」

まだ息苦しそうにして、俺にもたれている紫桜に声をかける。すると、そっと体を離して行ってしまった。

別に寄りかかったままいてくれても良かったが…。

「あ…申し訳ありません紫桜様!直ぐに治療しますね。」

そう言って立ち上がると、雪は紫桜の額に触れるか触れないかの距離で手をかざした。

その間にはおそらく魔力だろうか、青白い靄の様なものが見えた。

流石医師とでも言うべきか、強張っていた紫桜の体は和らいでいった。

「紫桜どうしたんだ?」

「魔力酔いです。私がダイヤモンドリリーを出現させる際に多くの魔力を放出させてしまったせいで、紫桜様に障ってしまった様です。…至らずに本当に申し訳ありません。」

「いや、相性の問題もあったし、防げなかった俺の力不足だ。それより、治療してくれて助かった。」

ちゃんとお礼を言えて偉いぞの意を込めて、紫桜の頭を撫でてやる。

表面上迷惑そうな顔をしているが、振り払ったりしないのを見ると、やはり撫でられるが好きな様だ。

「2人の魔力って相性悪いのか?」

「悪いと言うか、似てるんだ。似すぎててどちらかが多くの魔力を使うと体が混乱するんだ。」

自分は魔力使ってないのに周囲に似た魔力を感じてよ酔うのか。

車に乗っている時に自分は体を動かしていないのに風景だけ移動するから酔うのとほぼ同じ原理なのか?

「そうだ、それでもう1つダイヤモンドリリーが欲しいんだが、紅蓮は今何処にいるか知っているか?」

紫桜がそう聞くと、雪は露骨に嫌そうな顔をする。ど、どうした。美人が怒ると怖いって本当だったんだな。




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