ダイヤモンド・リリー

zzz

文字の大きさ
上 下
15 / 28

15

しおりを挟む
結局タオルの下まで洗わせられた。

自分を抑制するのがとてつもなく大変だった。


そして、俺にやらせたって事は召使いにもやらせてたのかって考えると、何だか複雑な気分だ。

「四悠は意外と筋肉があるな。」

湯船に浸かりながら、体を洗う俺を、呑気に観察する紫桜。
何故そんなに鈍感なのか。

「紫桜はもう少し筋肉つけた方がいいんじゃないか?なんか柔らかかったぞ。」

態と馬鹿にするような言い方をしてみる。

「む…。そうか、そうしよう」

「いや、冗談だから」

案外素直に受け止められて焦る。

む…。じゃねぇよ。

紫桜がムキムキになってしまったら…嫌だな。

太っているわけではなく、寧ろ細身なのだが、吸い付くような肌、風呂に入っているせいか弛緩したのも相まって、とても素晴らしい手触りだった。

あの触り心地は守らねば。
って、俺は何を考えているんだ。

お湯を被り泡を流す。

…入るところがない。

「ああ、」

俺の視線に気づいた紫桜が俺が入れるスペースを空ける。

王子様が体育座りで入浴なんて中々見られるものではないな。

可愛さを小出しにしてくるのやめてほしいです。切実に。




長かったような短かった入浴を終え、いつもより若干のぼせ気味になりながらも紫桜の体をタオルで拭いていく。

服を着させ、どうせ頼まれるんだろうから、言われる前に髪を乾かしてやろうと思う。

辺りを見回すも、魔法が発達していれば科学の進歩はやはり緩やかになるようで、この世界にはドライヤーがない様だ。

濡れた髪をどうするかと問えば、魔法石を使い温風で乾かす方法と、木魔法で乾かす方法があるらしかった。

木魔法は木々の成長だけでなく風も起こすことができるそうだ。

「紫桜は木魔法使えるのか?」

「王族が使えるのは陽魔法だけだ。」

つまり使えないと。

「四悠は使えるんだろ?」

【王族の紫瞳】とはどこまで俺のステータスを覗けたんだろうか。

そう言えばネーレは俺の使える魔法は水、火、木、土、金の5種類しか言ってなかったけど、陽の魔法とは何だろうか。

まあ、今は良いとして。



「魔法ってどう使うんだ?」

快くご指導頂けるとは最初から思っていなかったが、そんなに嫌そうな顔をしなくても良いだろう。紫桜よ。

ため息をつきながらも、距離を縮めてくる。

そうしないと髪が乾かせないからだと分かってはいるが、素直な行動に、思わず頬を緩めてしまった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

どのみちヤられるならイケメン騎士がいい!

あーす。
BL
異世界に美少年になってトリップした元腐女子。 次々ヤられる色々なゲームステージの中、イケメン騎士が必ず登場。 どのみちヤられるんら、やっぱイケメン騎士だよね。 って事で、頑張ってイケメン騎士をオトすべく、奮闘する物語。

Candle

音和うみ
BL
虐待を受け人に頼って来れなかった子と、それに寄り添おうとする子のお話

おっさん家政夫は自警団独身寮で溺愛される

月歌(ツキウタ)
BL
妻に浮気された上、離婚宣告されたおっさんの話。ショックか何かで、異世界に転移してた。異世界の自警団で、家政夫を始めたおっさんが、色々溺愛される話。 ☆表紙絵 AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

強制結婚させられた相手がすきすぎる

よる
BL
※妊娠表現、性行為の描写を含みます。

異能バトル漫画にトリップ直後で黒幕と遭遇するとかふざけんな。~俺は意地でも平凡ライフを送ってやる~

Qoo
BL
上位トレンド入りを起こす程の人気バトル漫画≪異能大戦≫略してーイノセンー。名前の通り異能を持った人間達が何でも願いを叶えるという秘宝≪星屑の涙≫。その秘宝を求めた猛者達が繰り広げる異能バトル漫画にハマっていたこの物語の主人公である青年・目つきの悪い盆陣鵺楼(ぼんじんやろう)。彼は妹・盆陣織田姤(ぼんじんおたく)と共に平凡暮らしをしていたが白梟の仮面を被った謎の集団に襲撃される。深傷を負うもののなんとか妹だけを救出し仲間の1人に妹を託し盆陣は死を迎える筈だった。だが盆陣が意識を取り戻すとそこは見知らぬ薄暗い部屋のベッドの上だった。横から視線を感じた先には人間離れをした麗しい美貌を持つ男が優雅に足を組み座っていた。負傷した盆陣を治療しここまで連れてきたという全身が黒で統一していた怪しげな男。だが初対面であるその男に盆陣はどこか見覚えがあった。 「やぁ。お目覚めかい?怪我してる所悪いけれど少し僕とお話しようか?お兄さん?」 爽やかにそうに笑う彼の瞳は死んでいた。彼から感じていた違和感が解けた盆陣は絶望する。 (おいおい。………マジか。) この男こそがかつて自身が読みあさっていた大人気少年漫画の主人公を散々苦しめた異能大戦略して≪イノセン≫に登場する黒幕・黒磯棗(くろいなつめ)であった。つまり盆陣はここでようやく自身が≪イノセン≫の世界に飛ばされたことを理解したのだった。そして厄介なことに今。凶悪な大量殺人鬼がトリップしたばかりの盆陣の目の前にいる。 (クソ面倒せぇ。) トリップ直後でもう黒幕との接触。窮地に立たされた盆陣の運命はいかに!! ーーただこの盆陣鵺楼という男には世間にもたった1人の家族である妹にも言えない秘密があった。その秘密とは? サイコパス殺人鬼美青年(黒幕)×やる気なしの平凡?(非凡)青年。 異能バトルを舞台にした漫画の世界に飛ばされ盆陣は黒幕から逃げ切り、果たして平凡ライフを送ることができるのか。 そして現実世界で盆陣達を襲った集団の正体は!?

トリップ系ヒロインを推しの側から見た話

下菊みこと
恋愛
クーデレな推しくんが、ヤンデレに変わるお話。 ご都合主義の…ハッピーエンド?メリバ? 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...