ダイヤモンド・リリー

zzz

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何故王子がここにとか、王子なのに発明家なのかとか、運命の相手って俺の運命の相手って事なのかとか色々聞きたいことはあるけど、

「見ない服を着ているな」

警戒されているこの状況をどうにかしたい。

顔は見えないが(多分フードを深くかぶった王子様も俺の顔は見えていないだろうけど)、どうやら品定めされている様だ。

不躾な視線にイラッとする。
だいたい初対面の人に向かって貴様とは何だ。
俺クソガキは嫌いなんだけど。運命の相手って。

俺は最近恋に敗れた幼馴染みを思い出す。

幼馴染みも多少ガキっぽさはあったけど、大人になりたい願望が強く、しっかり者だった。

真面目で優しくて面倒見が良い。
……そう、俺は謙虚な子が好きなんだ。

「……ふん、誘拐でもするかと思ったが、弱そうだな」

「さっきから失礼じゃないか?王子だか何だか知らねぇけど、人と話す時はまずフード取りましょうねって教わらなかったかな?」

普段の俺はこんなに短気じゃなかったはずで、初対面の人にあからさまな怒りをぶつけるなんてしたことは無かった。

───後から思えば、イライラしたのは、こいつが運命の相手だったからかも知れない。


俺は無理矢理クソガキのフードを取ってやった。



現れたのは、息を呑むほど綺麗な薄紫の髪と瞳。

透明感溢れる髪は絡まる事なく風に遊ばれている。
真っ直ぐだけど柔らかそうで、仄かに甘い香りが漂ってくる。

驚いた様に見開かれた瞳は宝石の様で、それを縁取る睫毛も長く、綺麗に上を向いていた。

少し開いた唇はふっくらしていて愛らしい。が、薄紅色のそれは僅かな色気を孕んでいた。

形の良い眉がだんだん歪んでいく。

「な、な、何をするんだ無礼者!気安く僕に触れるな!これだから平民は嫌いなんだ!」

……黙ってれば運命の相手でよかったな。




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