母は魔王に囚われる

rikacchi

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 玄関のチャイムがなる。

「はーい」

 玄関を開けると蒼がそこに立っていた。

「・・・どうして・・・」
「綾さん」
 と言って私を抱きしめた。

 待って!ここは玄関なのよ! 慌てて蒼を家の中に入れる。入った瞬間にまた抱きしめられる。

「離婚するって聞いたんだ・・・俺のせいか?」

 あののほほん息子め!早すぎでしょ!

 蒼はなぜ私たちが離婚するか知らなかった。

「違うわ。あなたのせいじゃないわ。・・・旦那の浮気相手に子供ができたのよ。あと4ヶ月で生まれるんですって・・・」

 蒼が驚いて私の顔を見る。
「・・・旦那に相手がいることは知っていたの?」
「薄々はね。最近出張が増えていたから・・・」
「・・・旦那さんは俺たちのこと気付いていると思う?」

 よく考えてみるが、旦那は私には関心がなかった。それに私は旦那が家にいる日は出掛けなかったし、旦那が帰ってくる時間には家にもいた。

「多分知らないわ、あの人は」

「・・・よかったのか?」
「・・・これでよかったのよ。私たちはもう随分前に夫婦じゃなかったってうちのK Yに言われたわ。」

 そこにうちのK Yがやってきた。
「母、ひどいよ。僕はK Yじゃないよ~」
 私と蒼はお互い顔を見つめ、
「「いや、K Yでしょ(だろ)」」

 ‘違うのに~“ってぶーたれる息子は本当に蒼と同じ歳なのかと思ってしまう。

「あ、そうだ。そんなところでいちゃついてると弟にバレるよって言いに来たんだ」
 ハッとさせられ慌てて蒼から離れる。

「弟には俺たちのこと言わないのか?」
「今はまだダメだよ~。今日父の話を初めて聞いてショック受けてるしぃ。もうちょっと後の方がいいと僕はいいと思うよ~」
「そうか。すまんな」
「いいよ、だって羽柴は本当に母が好きだもんね」

 私も蒼も顔が赤くなる。人から指摘されるとやっぱり恥ずかしいものだわ。

「あ~やるならホテルに行ってね。母のやってる声は流石に聞きたくない」
「「*&%$!」」
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