母は魔王に囚われる

rikacchi

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 恐怖の水曜日。

 魔王こと蒼とのセックス日だ。セックス日ってなんですか。
でもそれ以外私たちの逢瀬を表す言葉はない。
待ち合わせをして、人混みを避けるようにホテルに行く。ホテルで魔王に好きにされ、ヘロヘロで家に帰る。デートではない。でもセフレとも言えない関係。

「お待たせ」

 蒼はやっぱりかっこいい若者だ。きっと周りから見たら“このおばさん何?”って思われているんだろう。

 でも蒼は私と会うと満面の笑みを浮かべてくれる。

 この私のどこが好きになる要素があったのだろう?蒼からの愛に疑いはない。本当に私のことを好きなんだと思う。
ただ終わりがある関係だと言うのもわかっている。
息子は離婚してもいいと言った。でもだから?離婚して蒼と一緒になるの?それはない。
私はもう子供を産めるチャンスは少ない。
今すぐ離婚して、すぐに蒼と子作りすればもしかしたらできるかもしれない。でも絶対にそんな奇跡は起こらない。

 20歳の若い男性が自分の子供も産めないおばさんと一緒になってどうする?それはできない。

 ホテルへの道すがら色々考えていたら、いつの間にか部屋に入っていた。
「綾さん、ずーっと上の空だったけど、まだあいつの言ったこと気にしているの?」

 蒼は息子の放った大爆弾の影響を私がまだ引きずっていると思っているのだろう。

「まあ、びっくりしたのはびっくりしたわよ。あののほほん息子は変なところが鋭いから本当は知っているんじゃないかって思ってね。」

 蒼は私をそっと抱きしめて
「それでもいいよ。あいつはそんなに大した問題と思ってないから。なんなら応援してくれそうだ」
 優しくキスを落としてくれる。
私も蒼を抱きしめる。なぜだろう、いつからか彼に抱きしめられるとホッとするようになった。

 おかしな話だ。実際会ったのは覚えていなかった最初を含め、今日でたったの4回目なのだから。

「俺は初めて会った日から、あなたしかいないと思った。友達の母親だとわかっていても諦めきれなかった。あの偶然がなくても俺はいつかあなたの家に行っていつかあなたを自分の物にする機会を探っていただろう。」

 蒼を見つめる。今まで私をこんなに愛してくれた人はいただろうか?

 旦那とは友達の知り合いの紹介で出会い、なんとなく結婚適齢期でもあって、彼と結婚した。好きとははっきり言えなかったがお互いそんな感じでやってきた。

 でも、今はお互いが人生の選択が迫られた時期なのだろうか?

 私は蒼くんを選ぶのか?旦那は今の浮気相手と一緒になりたいのか?それともお互い、見て見ぬ振りをしてこのまま過ごしていくのか?
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