母は魔王に囚われる

rikacchi

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 昨日の息子との会話が頭の中を駆ける。
「じゃ、あなたがうちの息子送ってくれた羽柴くん?」

 蒼はにっこり微笑んで
「そうです。かすみさんは覚えてなかったみたいでしたが、俺はあの日からあなたが気になって仕方なかった。」
 言葉を失うとはこう言うことだ。息子の友達とやってしまった。しかも、惚れられているし。

「・・・息子は知らないんだよね。私たちのこと。」
「ええ、もちろん言っていませんよ。でも、あいつには“お前の母さんメッチャ俺のタイプ”とは会うたびに言っていますが・・・」
「・・・はぁ?」
 なんだって!息子は一体どう思っているんだろう?友達が自分の母親が好みって言われて。

 きっと“お前目医者行った方がいいよ~”とか言ってそうだな。

「あいつは“まぁうちの母は若く見えるからな。最近もっと可愛くなってきたし”って言っていたけど、俺にとってはかすみさんがドストライクなんです。だから初めて会った日はまさかって思いました。かすみさんは気づいていなかったみたいだし、こんなチャンスは逃すわけにはいかないと思って」

 顎が外れそうだ。これから先、私は息子とどんな顔をして会えばいいのか。
 そこでハッと思い出す。

「今度うちに来るって息子言っていたけど・・・」
「ええ、やっとお互いの都合がついて。お邪魔させてもらいますね、かすみさん」
 にっこり笑う笑顔はもう腹黒を隠さない蒼だった。

「もちろん俺は誰にも言わないですけど、でもこれからもこうやって会って欲しいだけどね、かすみさん?」
 半脅迫だわ。会わないとバラすぞっていうオーラが背後に出ていますよ、蒼さん。
「・・はぁ~~~・・」
 でかいため息をつく。もうやってしまったものは仕方がない。
 蒼が飽きるまで付き合うか。所詮20歳の男だ、若い可愛い女がそばに来たらそっちにいくだろう。
 蒼と私の関係は墓場行き決定だ。

「わかったわ。でもそんなに頻繁には会えないわよ。一応家庭持ちなんだから」
 蒼は私を押し倒して咥内を貪るようなキスをしてきた。
「嬉しいです、かすみさん!」

 そして彼の不埒な手は私の胸に伸びて行く。
「蒼くん、もう帰らないといけない時間なのよ。」

 蒼は私の両手首を押さえ、
「今日は誰も家に帰ってこないんでしょ?じゃあ時間なんて関係ないじゃないですか」

 ・・・息子め・・・情報流してんじゃないよ。でもあの子はまだどっか子供だからうまく誘導されて、私の情報を蒼に渡しいてるような気がしてきた。あの子では腹黒には勝てるわけない。

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