ゼロからはじめる島津大河誘致

郭隗の馬の骨

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猟犬を生かしてうさぎも残る その20

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コウメイは話を続けます。

「この作戦がある程度うまくいけば、恐らくガチスの側で裏切り者が出る可能性が高い、なにせ彼らは自己中心的で心から国家に従っているわけではない、今はたまたま勝ち馬に乗って調子に乗り、失敗したら処罰されることを恐れているに過ぎない」



「彼らの中で目ざとい者はガチス上層部の粛清を避けながらこちらに協力、内通する方が得策だと考えるだろう」



「そのためにも、ひだまりの一般国民がガチスの影響を受けない環境とこちらに都合のいい戦線に彼らを追い込むためにメリハリの利いた情報防衛線の構築と証明できる戦果が必要になる」



このあたりの話になると、戦術的な思考が多かったせいかゴカンとオーベルとマーズの3人もビビッと来た様子でした。

テレスも大体理解しましたが、一つ気がかりなことがあり質問しました。



「ガチスへの対策は何となく分かったが、デンゲルに対する対策はどうするのか、言うまでもないが彼らも手ごわいぞ!」



コウメイの答えはそっけないものでした。

「こちらはガチスで精いっぱいだ、正直デンゲルまで人も策も用意できない、悪いが君たちになんとか踏ん張ってもらうしかない、とはいえガチスの勢いが落ちればその尻馬に乗るデンゲルの勢いも落ちるだろうからそれまで辛抱して欲しい」



それを聞いたテレスは不満そうでしたが、コウメイの分析は正論だと感じたのでそれ以上は話を続けませんでした。



さて、最初にうさぎも猟犬も猟師も生かそうと提案したある意味一番の功労者であるサン、彼女はこんな発言をしました。



「よくわかんないけど、要はみんな満足、満腹にすればいい訳でしょ、後は作戦を立ててやるだけなら行けるんじゃないかしら」

詐術や裏切りやら陰謀の香りがプンプンしますが、大本の目的はまあそんな感じなのでコウメイもあえて否定はしませんでした。



こうしてガチスという到底勝てない相手に、漸減作戦という形で敵を削るという当初の目的から、「猟犬を生かしてうさぎも残る」というまるで方向性が真逆の作戦への転換がこうして決まったのでした。

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