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テレビ放映戦国大名総選挙その55 織田信長

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尾張の国は京と少し距離がありますが、都会であり人口も多く経済的にも豊かな地でした。



「衣食足りて礼節を知る」といいますが信長もまた礼節は心得ていたようです。

よくドラマなどで表現される野生児的な信長も確かに彼の一面ではありますが、目上の存在や社交辞令に関してはまた別の一面があったようです。



武田信玄や上杉謙信の場合は昔からある権威を自分の家の権威付けにすることがとても大事というか存在意義でもあったので朝廷や幕府を尊びました。



信長の場合は周りの勢力の格が織田家奉行職よりも上の場合が多かったので初めは漠然とした感じで権威を見ていたかもしれません。



しかし、朝廷の権威や幕府の命令がある程度有効だと理解してからは積極的にこれらの権威と親密になろうと努力しました。



この辺のお話は大河ドラマ「麒麟がくる」でも重点的に説明されていたので簡単にふれますが、朝廷との関係は概ね良好、幕府将軍との関係も最後の将軍足利義昭との個人的な関係が壊れるまでは問題はありませんでした。



こうして見ると彼の短気というのは自分が決定できる範囲に関して起きるものであって、権威などの複雑で自分の手元にない存在に関してはむしろ慎重だったと言えるかもしれません。



豊臣秀吉の時にも触れましたが、利用できるものに対しては合理的に利用するという考えの元、良好な関係を築いていたと考えると合点がいきます。



利用はするが、尊敬もするという感じでしょうか。

その点ではキリスト教も似たような感じで見ていたのかもしれません。



信長の時代はキリスト教とは良好であったと思われますが、この点は信長と宣教師との距離感がちょうど良かったというのが大きいと思います。



ルイス・フロイスも信長を王のように敬い、他のキリスト教国が他民族にしたような見下した態度や啓蒙精神を信長の前では見せなかったのが大きいかと思います。



事実、信長は西洋の技術や知識には関心を持っていましたが神の教えに感化されたかのような行動や決定はほとんどありませんでした。



宣教を許したという事実はありますが、それは日本に元からあった他の仏教や神道にも認めているものであり特別なものではありませんでした。 



そして、信長は法華宗の影響を大きく受けていたという話もあるそうです。

さて、ここまでは信長の寛容な朝廷、幕府、宗教政策について説明しましたが、次の章ではそれと真逆と言ってもいい、苛烈な政策とその背景について説明したいと思います。
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