212 / 639
孫子といろはの「や」
しおりを挟む
物事を考えるのに、「文」と「武」、「和」と「怒」といった相対する二つの見方があります。
でもこれは、どちらが正しいというものではなく、時と場合を考えて使い分けるのが大切だと思います。
ですから、両方の資質が必要になると言えます。
勉強で例えるなら、机上の勉強も体育も音楽も美術も大事ということでしょうか。
また、教育で考えるなら、和をもって諭すことも怒り表し悪行をとどめることも両方必要ということかと思います。
中国の古(いにしえ)の兵法書「孫子」は戦争に関する専門書ですが、その思想は「戦わずして勝つ」という一見自己矛盾した内容です。
もう一つ、これは孫子大好きな曹操が好んだ分野ですが、「虚実」というのもあります。
これは、戦に勝つには相手の裏をかくことが肝要であるという意味で、簡単に言えばじゃんけんで勝つことを思い浮かべればいいと思います。
これは言い換えれば、相手が何を出すかを読むことと、グー、チョキ、パーすべてを出せるように準備することを表します。
孫子は兵士を率いる場合のことも書いてあります。
必死で戦う者は殺されます、必ず生きようとするものは捕虜となります。
短気で怒りっぽい者は侮られて敵の罠にはまります。
清廉潔白な者は辱めの罠にはまり、民を愛する者は煩わされます。
これらのアドバイスは人の心から出る弱さ、あるいは弱点として相手(敵)に付け入りやすい攻撃目標となります。
なので、緊張した立場に自分がいるときには決して信用できない相手に見せてはいけない態度と言えるでしょう。
こうして考えると物事の表面の良し悪しだけで判断するのは危険です。
裏表、あるいは物事の両面を考えないと痛い目を見るという訳です。
他にも軍の規律に関することですが、応用が利くというか現代でも当てはまりそうな次のような話も残っています。
軍隊において、褒美を頻繁に与えること、あるいは逆に罰を頻繁に行うことはその軍が行き詰っている印である。
褒美を与えることはある意味気前の良い善行に思えますが、やりすぎるとそれは逆効果です。
罰を与えることは必要な場合もありますがこれもやりすぎはよくありません。
孫子は戦の書ですが、武力一辺倒な本ではありません。
むしろ、表向きは戦闘の話をしていても、その奥深い所では人の内面の強弱を見て作戦を練っています。
島津のいろは歌の「や」、和らぐことと怒ることは翼の両翼のようなもの、先ほど考えた孫子の褒美と罰と表現がよく似ていると思いませんか。
弓と筆、片方は精一杯力をためる、もう片方は力の加減を駆使して美しい字を描く、
時と場合に応じて方法を変える、とても奥深い話だと私は思いました。
兵は詭道なり、と言いますが裏表の多い戦の世界でも学ぶことでより正解に近い決定を見つけたり、行動が出来るようになる。
物事の力の加減というものも理解していく。
そうして先の道が見えるようになればよいと願っています。
でもこれは、どちらが正しいというものではなく、時と場合を考えて使い分けるのが大切だと思います。
ですから、両方の資質が必要になると言えます。
勉強で例えるなら、机上の勉強も体育も音楽も美術も大事ということでしょうか。
また、教育で考えるなら、和をもって諭すことも怒り表し悪行をとどめることも両方必要ということかと思います。
中国の古(いにしえ)の兵法書「孫子」は戦争に関する専門書ですが、その思想は「戦わずして勝つ」という一見自己矛盾した内容です。
もう一つ、これは孫子大好きな曹操が好んだ分野ですが、「虚実」というのもあります。
これは、戦に勝つには相手の裏をかくことが肝要であるという意味で、簡単に言えばじゃんけんで勝つことを思い浮かべればいいと思います。
これは言い換えれば、相手が何を出すかを読むことと、グー、チョキ、パーすべてを出せるように準備することを表します。
孫子は兵士を率いる場合のことも書いてあります。
必死で戦う者は殺されます、必ず生きようとするものは捕虜となります。
短気で怒りっぽい者は侮られて敵の罠にはまります。
清廉潔白な者は辱めの罠にはまり、民を愛する者は煩わされます。
これらのアドバイスは人の心から出る弱さ、あるいは弱点として相手(敵)に付け入りやすい攻撃目標となります。
なので、緊張した立場に自分がいるときには決して信用できない相手に見せてはいけない態度と言えるでしょう。
こうして考えると物事の表面の良し悪しだけで判断するのは危険です。
裏表、あるいは物事の両面を考えないと痛い目を見るという訳です。
他にも軍の規律に関することですが、応用が利くというか現代でも当てはまりそうな次のような話も残っています。
軍隊において、褒美を頻繁に与えること、あるいは逆に罰を頻繁に行うことはその軍が行き詰っている印である。
褒美を与えることはある意味気前の良い善行に思えますが、やりすぎるとそれは逆効果です。
罰を与えることは必要な場合もありますがこれもやりすぎはよくありません。
孫子は戦の書ですが、武力一辺倒な本ではありません。
むしろ、表向きは戦闘の話をしていても、その奥深い所では人の内面の強弱を見て作戦を練っています。
島津のいろは歌の「や」、和らぐことと怒ることは翼の両翼のようなもの、先ほど考えた孫子の褒美と罰と表現がよく似ていると思いませんか。
弓と筆、片方は精一杯力をためる、もう片方は力の加減を駆使して美しい字を描く、
時と場合に応じて方法を変える、とても奥深い話だと私は思いました。
兵は詭道なり、と言いますが裏表の多い戦の世界でも学ぶことでより正解に近い決定を見つけたり、行動が出来るようになる。
物事の力の加減というものも理解していく。
そうして先の道が見えるようになればよいと願っています。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる