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劉備と秀吉といろはの「に」
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似たるこそ 友としよけれ 交わらば われに増す人 おとなしき人
現代語
自分に似た人を友だちにするのもよいが、折角、友だちにするのなら自分より少しでも優れた、立派だと思える人を友だちにすることです。
三国志いう人物で昔の愛好家の方であれば真っ先に劉備という人物を挙げることでしょう。
彼は若いころ盧植という高名な人物の元で学問を学んでいました。
しかし、彼自身はあまり勉強が好きではなかったようで、むしろ多くの人物と交わり交友を深めることが好きだったようです。
当時、漢王朝が不安定になり各地の治安が悪くなってきました。
そうした背景もあり彼は用心棒として働くようになります。
時代が時代です、彼の周りには豪傑のような体を使う人が多く集まるようになりました。
劉備自身は多少の学門も心得はありましたが、それも昔の話、時が経つにつれ彼自身も文より武に傾き、彼自身もそのことを自分の弱点と認識していきました。
そうした悩みを抱えていたある時、地元の知識人や自分の配下から武ではなく知略や政治力といった文に秀でた人物のうわさを聞きつけます。
それこそがかの有名な諸葛亮でした。
彼は劉備よりも年下で実績があったわけでもありませんが、劉備は噂通りの人物か確かめるべく彼の庵を三度訪れます。
その後彼と天下について様々な角度から意見を聞き、その識見が自分よりもすぐれたものであることを認め、友のように接しました。
もし、劉備が自分のキャリアの中でしか友人を作れない人物であったなら諸葛亮と出会うことはなかったかもしれません。
自分の枠内にいる気の合う友だけではなくこうしてすぐれた人物を友にする大切さをこのエピソードは教えてくれます。
この劉備と諸葛亮のエピソードによく似た話が日本にもあります。
それは豊臣秀吉と竹中半兵衛のエピソードです。
秀吉は織田信長の家臣として、懸命に働いていましたが彼もまた自分に足りないものがあることに気づいていたようです。
彼は竹中半兵衛の元に出向き、彼の持つ知略を自分のために役立ててほしいと熱心に頼んだようです。
秀吉という人物は機転はとても利いたようですが、大軍を率いたり大掛かりな計略を行う経験は当時は少なかったでしょう。
後に秀吉は大軍を率いる点で戦国髄一の戦上手となり、水攻めや兵糧攻めといった大規模な作戦を得意とするようになります。
これは筆者の推測ですが、そうした大掛かりな軍の運営や大規模作戦のこつはこの時の竹中半兵衛や後に続く家臣とよく研究した結果なのではないかと思います。
自分より優れた人物を友にするというこの教えは私の大好きな文章の一つです。
秀吉がいろは歌を知っていたとは思えませんが、彼も同じ結論に至ったのでしょう。
皆様も友人を作る際にはこの文章を思いだしてみてはいかがでしょうか。
現代語
自分に似た人を友だちにするのもよいが、折角、友だちにするのなら自分より少しでも優れた、立派だと思える人を友だちにすることです。
三国志いう人物で昔の愛好家の方であれば真っ先に劉備という人物を挙げることでしょう。
彼は若いころ盧植という高名な人物の元で学問を学んでいました。
しかし、彼自身はあまり勉強が好きではなかったようで、むしろ多くの人物と交わり交友を深めることが好きだったようです。
当時、漢王朝が不安定になり各地の治安が悪くなってきました。
そうした背景もあり彼は用心棒として働くようになります。
時代が時代です、彼の周りには豪傑のような体を使う人が多く集まるようになりました。
劉備自身は多少の学門も心得はありましたが、それも昔の話、時が経つにつれ彼自身も文より武に傾き、彼自身もそのことを自分の弱点と認識していきました。
そうした悩みを抱えていたある時、地元の知識人や自分の配下から武ではなく知略や政治力といった文に秀でた人物のうわさを聞きつけます。
それこそがかの有名な諸葛亮でした。
彼は劉備よりも年下で実績があったわけでもありませんが、劉備は噂通りの人物か確かめるべく彼の庵を三度訪れます。
その後彼と天下について様々な角度から意見を聞き、その識見が自分よりもすぐれたものであることを認め、友のように接しました。
もし、劉備が自分のキャリアの中でしか友人を作れない人物であったなら諸葛亮と出会うことはなかったかもしれません。
自分の枠内にいる気の合う友だけではなくこうしてすぐれた人物を友にする大切さをこのエピソードは教えてくれます。
この劉備と諸葛亮のエピソードによく似た話が日本にもあります。
それは豊臣秀吉と竹中半兵衛のエピソードです。
秀吉は織田信長の家臣として、懸命に働いていましたが彼もまた自分に足りないものがあることに気づいていたようです。
彼は竹中半兵衛の元に出向き、彼の持つ知略を自分のために役立ててほしいと熱心に頼んだようです。
秀吉という人物は機転はとても利いたようですが、大軍を率いたり大掛かりな計略を行う経験は当時は少なかったでしょう。
後に秀吉は大軍を率いる点で戦国髄一の戦上手となり、水攻めや兵糧攻めといった大規模な作戦を得意とするようになります。
これは筆者の推測ですが、そうした大掛かりな軍の運営や大規模作戦のこつはこの時の竹中半兵衛や後に続く家臣とよく研究した結果なのではないかと思います。
自分より優れた人物を友にするというこの教えは私の大好きな文章の一つです。
秀吉がいろは歌を知っていたとは思えませんが、彼も同じ結論に至ったのでしょう。
皆様も友人を作る際にはこの文章を思いだしてみてはいかがでしょうか。
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