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第139話 ミカワ屋の味噌

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ナニワ万博でオダ カンパニーが順調なスタートを切ったころとなりのパピリオンは地味に存在感を発揮していました。

ミカワ屋のいえやすを頭とする企業群もまた、この万博で己の存在をアピールせんとしていました。
ミカワ屋のパピリオンは明らかにサンサン商事やオダ カンパニーと比べて地味でしたが、テーマはかなり凝ったものでした。

テーマはズバリ!「お菓子と味噌」です。
これは、健康オタクであるいえやすが周りの部下の反対を押し切って決めたテーマでした。

ミカワ屋傘下の味噌会社と健康食品会社、そして本体であるお菓子メーカーが異次元コラボした企画でした。
ちなみにいえやすは女性も年上好き、趣味も年寄り臭いため、最初から若い層ではなく思い切って年配層に狙いを定めてきました。

特に苦労したのが、健康を売り物にするために、お菓子の場合糖分、味噌の場合塩という摂り過ぎると悪いとされる内容物をどのように抑え、健康をアピールするかでした。

その結果、フルーティで飲みやすい味噌と甘さ控えめのお菓子の組み合わせを編み出し、両方を一緒に食べても抵抗感の無い新しい食のアイデアを提出することが出来ました。

もちろんねちっこく考えが深いいえやすはこれだけで満足しません。
味噌に入っている乳酸菌や体によい物質を高らかに宣伝し、お腹の代謝に不安がある客層にアピールしていきます。

そして、お菓子にも最新の栄養学を取り入れて、健康に良いお菓子と味噌というフレーズをかたくなに守り宣伝していきました。
これが、ひでよしなら味で勝負、ノブナガなら甘さマシマシな製品を提供したでしょうが、そこはいえやす、ミカワ武士の頑固さで突っ走りました。

しかし、いえやすも人の子、やはりおいしいものが大好きなので、一品だけ彼のわがままの品がエントリーします。
それは「鯛の天ぷら」です。

彼の地元のミカワ湾では美味しい鯛が手に入り、それをごま油で炒めるといえやすですら食べ過ぎてしまうという天ぷらが完成します。
ちなみに、これもいえやすのリクエストで美味しいナスを添えて提供されました。

これが、まだまだ若いと自負する観光客や噂を聞きつけた若者に受けて、スタートこそ地味でしたが、毎日観客が増えて人気をはくすことになりました。

※俗説で徳川家康は鯛の天ぷらに当たって亡くなったという話がありますが、最近の学説では違うようです。

※パピリオンのくだりは最初富士山型のドームにしようかと思いましたが、名家いまがわが存在する世界線なのでこのような表現になりました。

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