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タヌキさんに転生する
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あたしは 田貫田 茶子 18歳 花の女子高生だ。あたしの悩みはというと、一つはこの犬っ毛。もう一つは太っていることである。
体重は7ふんもある為まん丸としている。それと名前にタヌキが入っているから、あたしのあだ名はタヌ子である。なんとも可愛らしく無いあだ名である。
そんなあたしの勇逸の楽しみは、学校のプリンス兎野 紅姫様を推す事である。小柄でスマートな柄にサッカーのコートをウサギのように走り抜ける姿にとても憧れていた。
そんな彼に想いを寄せる日々。通学途中彼を発見した。
「紅姫様だわ!」
まさか会えるなんて思えていなかったから、興奮のあまり血圧が上がる。心と血圧を抑える為に壁によし掛かり、空を見上げるとクレーンで持ち上げられた鉄骨が外れるのが見えた。
あたしは躊躇なく走り出した。彼が鉄骨の影に気付いた時には彼に落ちる寸前だった。
「うわぁ!」
『ふんぬ!!』
「へ?ちゃ茶子さん?!」
彼女はどうにか間に合ったのだ。彼女は馬鹿力で鉄骨を受け止めたが、その衝撃で肋骨が折れ肺に刺さっていた。
「こ、紅姫様逃げて、早く!!」
「でも君が……」
やばい力が……
『早ぐ!!』
「はい!」
彼は安全な所まで走った。彼女はそれを見届けると、力んでいた力が抜け鉄骨に押し潰された。
ボヤける意識の中、紅姫様があたしの名前を必死に呼んでくれている気がした。
(あ~あたしは幸せだ。紅姫様を助けれただけでなく、タヌ子じゃなくて名前を覚えて貰えてたなんて、もうあたしの人生に悔いは残って無いわ)
彼女は死んだ。死因は彼を助け鉄骨による圧死であった。
本当は彼が死ぬはずだった。そう運命付けされていた。だがしかし、彼女は愛の力でその運命を彼が死ぬ未来をねじ曲げたのだ。時に人の思いとは神の選択をも覆すのだ。
そんな彼女は前世の記憶を持ったまま、別の世界で食物連鎖の底辺に存在するタヌキとして生まれ変わっていたのだった。
「あれ?あたし死んだよね?てか此処何処?ん?」
茶色くふさふさした手と尻尾が視界に入る。
それを掴む、ビクッとした。何故なら彼女は、それがまさか自分から生えているとは思っていなかったから。
「この尻尾って……まさか?!」
近場にあった水辺で自分の顔を見る。ぺたぺたと自分の顔を触る。あるはずの場所に耳はなく、頭上に耳があるのだ。
「あ、あたしマジもんの狸になってんだけど~」
何故か狸になってしまった女子高生の物語は続く。
体重は7ふんもある為まん丸としている。それと名前にタヌキが入っているから、あたしのあだ名はタヌ子である。なんとも可愛らしく無いあだ名である。
そんなあたしの勇逸の楽しみは、学校のプリンス兎野 紅姫様を推す事である。小柄でスマートな柄にサッカーのコートをウサギのように走り抜ける姿にとても憧れていた。
そんな彼に想いを寄せる日々。通学途中彼を発見した。
「紅姫様だわ!」
まさか会えるなんて思えていなかったから、興奮のあまり血圧が上がる。心と血圧を抑える為に壁によし掛かり、空を見上げるとクレーンで持ち上げられた鉄骨が外れるのが見えた。
あたしは躊躇なく走り出した。彼が鉄骨の影に気付いた時には彼に落ちる寸前だった。
「うわぁ!」
『ふんぬ!!』
「へ?ちゃ茶子さん?!」
彼女はどうにか間に合ったのだ。彼女は馬鹿力で鉄骨を受け止めたが、その衝撃で肋骨が折れ肺に刺さっていた。
「こ、紅姫様逃げて、早く!!」
「でも君が……」
やばい力が……
『早ぐ!!』
「はい!」
彼は安全な所まで走った。彼女はそれを見届けると、力んでいた力が抜け鉄骨に押し潰された。
ボヤける意識の中、紅姫様があたしの名前を必死に呼んでくれている気がした。
(あ~あたしは幸せだ。紅姫様を助けれただけでなく、タヌ子じゃなくて名前を覚えて貰えてたなんて、もうあたしの人生に悔いは残って無いわ)
彼女は死んだ。死因は彼を助け鉄骨による圧死であった。
本当は彼が死ぬはずだった。そう運命付けされていた。だがしかし、彼女は愛の力でその運命を彼が死ぬ未来をねじ曲げたのだ。時に人の思いとは神の選択をも覆すのだ。
そんな彼女は前世の記憶を持ったまま、別の世界で食物連鎖の底辺に存在するタヌキとして生まれ変わっていたのだった。
「あれ?あたし死んだよね?てか此処何処?ん?」
茶色くふさふさした手と尻尾が視界に入る。
それを掴む、ビクッとした。何故なら彼女は、それがまさか自分から生えているとは思っていなかったから。
「この尻尾って……まさか?!」
近場にあった水辺で自分の顔を見る。ぺたぺたと自分の顔を触る。あるはずの場所に耳はなく、頭上に耳があるのだ。
「あ、あたしマジもんの狸になってんだけど~」
何故か狸になってしまった女子高生の物語は続く。
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