魔物界最強妻(ウサギ)と自称最弱夫(男の娘)の、もふっと世界ぶらり新婚旅行

猫33缶『ねこみみかん』

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第7羽 悪役騎士?

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 朝、何かが殴られる音。そして子供たちの泣く声で、意識が覚醒した。勢いよく飛び上がると、イースターさんも起き上がる。そして急いで声のする方向に向かうと、そこでは昨日助けた聖女が、ぼろ雑巾のような姿になっていた。その犯人はこの国の騎士だった。

「はっ!俺たちに逆らうから、こんな目に会うんだぞ!」

「おい!」

「あぁん?」

「お姉ちゃん!」

「お、なかなかの上玉じゃねえか?きひっきひひ」

 気持ち悪い、気持ち悪い!こいつ僕が1番嫌いなタイプの人間だ。ってか、その聖女さんに乗せてる、汚い足をどけろよ。

「きゅい(怒)」

『イースターさん、共に香月莉緒さんが、種族名個体名アクトを敵認定しました。イースターさんに、香月莉緒さんの全経験値が移行されます。それにより、レベルが1,400に上がりました。新しいスキルが開発されます。攻撃系、防御系、回復系、速度系、特別、さあ、どれになさいますか?』

 特別も気になるが、今この状況で1番欲しいもの回復系一択でしょ!イースターさんも、異論は無いみたいだね。それじゃあ頼みます、アナウンスさん!

『分かりました。それでは短時間であっさりと、行っちゃいましょう!!|不惜身命 ビ・レプレイスドを獲得しました!効果は、助けたい相手の傷を肩代わりし、自分の回復量を上げることが出来ます』

「イースターさん!」

「きゅい!!」

 イースターさんの瞳が、緑色に光スキル不惜身命が発動された。イースターさんの体に痛みが走るが、その代わり聖女さんの体の傷が無くなって行く。

「何だこれは?!」

 男は今の異様な光景を目にし、屁っ放り腰で何処かへと走っていった。だがイースターさんは、男の後を全速力で追いかけていった。男がどうなったかは、言うまでも無い。

「お姉ちゃん!起きてよ!」

 体の傷は治っているのに、目を覚まさない聖女さん。僕は心の中でアナウンスさんに、聖女さんの今の状態を聞いた。

『不惜身命の効果は、心体を治すのではなく、体の傷を肩代わりするのです。なので、心を治すことは出来ません。ですが、個体名マリアさんは、時期に目を覚ますでしょう』

 よかったぁ~これで一安心だね。丁度その頃、イースターさんが帰って来るまで、いったん木ノ実を食べて落ち着く事にした。そして聖女さんが、どうしてこんな目にあったのか?子供たちに尋ねてみることにした。

「3人とも、どうして聖女さんがこんな目にあったのか、理由はわかる?」

「私わかるよぉー!」

 元気に手を挙げたのはスィだった。

「うんとね、確かあの怖い人ね。ここから出ていけとか、亜人キメラ?は、この世界に要らないとか、言ってたよ。」

 キメラ?誰のことだ、魔物だとあの混ざった生き物のことを言うよね。みんなの名前にそんなの入って無いし…あ、そっか。僕のことだ多分。

「うぁ?」

 ん?どうやら聖女さんが、目を覚ましたみたいだ。意識もはっきりしているようだし、大事なくて良かった。

「きゅう~♪」

「お帰り?!って、血だらけじゃん。ちょっとまってね、今生活魔法で綺麗にするから、ウォッシュ綺麗にな~れ。はい、終わったよ」

なんだこれ、一等騎士アクト。さっきのやつの、身分証のような物か。まぁ、一応ランドセルに閉まっておこう。

「きゅう♡」

 この魔法は、去年の夏に泥まみれになったイースターさんを、綺麗にしたいと思ったら、なんか出来るようになった魔法である。アナウンスさんいわく、生活魔法は生活に必要だと思う力を、魔力を消費することで行使することが出来るらしい。ちなみに今のは、生活の中のお風呂の役割らしい。

 街に来て1番ショックだったことは、銭湯どころかお風呂に入るという習慣が、この世界には無いらしい。日本人の僕からしたら、昔からお風呂が好きだったので、汗だくのまま寝るなんて最悪だと思ってる。いつか絶対に温泉を見つけて、広めてやる!

「きゅう?」

 あぁ、イースターさんは知らないよね。こう大っきな温かい池みたいなんだけど…説明しても分からないよね?

「きゅ~……きゅう!」

 え!?昔見たことあるって?何処でって言っても、昔のことだし分からないよね。ふと思ったんだけど、イースターさんって何歳なんだろう?(⌒-⌒; )何その手は?

「ぎゃふん!!」

「お姉ちゃん!」

「大丈夫?」

「うん大丈夫。イースターさん、怒るとき少し手加減はしてくれてるから、そうじゃなかったら、今頃僕の体は、全ての骨を粉砕されてるから」

 あ、やべ。子供たちがイースターさんに対して怯えちゃった。どうしよう、どうしよう?イースターさんが、子供たちに怯えられて悲しい表情をして、下に転がってるいい感じの大きさの石、いや岩を転がしていた。

「こら!3人とも、確かにイースターさんは強いかもしれないけど、それでも私たちを助けてくれたんですよ。謝りなさい!」

 3人はごめんなさいと謝ると、イースターさんもきゅいー!!と言いながら、頬ずりをしていた。仲直りできて良かったね、イースターさん。

「きゅい♡」

 僕にも、もう可愛いんだから。さぁーて、午後はギルドに行ってこようかな。
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