上 下
23 / 49
ノルティア国誕生編

episode 23 エリーナの思惑。

しおりを挟む
 ゲストハウスに到着するとすでにルシアがゲスト向けの料理をテーブルに並べていた。
 兵士達にも外の芝生の広場にテーブルを並べて宴会ブースをフレアとファルとで準備してくれていたようだ。

 それからお互いのメンバー同士も交流の為に自然と自己紹介がてら食事やお酒を交えながら楽しく皆んなで語らっていた。

 今日はやはり一泊することが決まり、パーティーは盛大に盛り上がり、気付けば夜の星がキラキラと輝き始めた頃になっていた。

(皆んな酔い潰れてる…大人は大変だね~♪)

「ノル様に大事なお話があります……」
「はい、何でしょう?」
「この場では言えないので二人きりになりたいのですが……良い場所はありませんか?」

「ちょっとお待ちになって下さいエリーナ様!」

 再び、彼…アルトロスが口を挟むとエリーナは少し強めの口調で黙らせた。

「黙りなさい!私はノル様と二人で話したいのです……着いて来たら……分かりますね?」
(すごい迫力……)
「失礼…………しました……。」

 まぁ、アルトロス殿の気持ちもわからなくも無い。
得体の知れない男と二人にさせるなんて嫌だろう?

「さぁ、参りましょう…ノル様♪」
(大事な話……なんだか気になって来たな。)
「この間、池を見つけたのでそこに行きませんか?魔物もそのエリアには近づかない様なので。」
「はい♪そこにしますッ!」

 二人で池がある場所まで歩いて向かう途中で僕は不思議とこれまで起きた事をエリーナに打ち明けていた。
 エリーナが話を聞く天才なのか話を引き出す天才なのか……どちらにせよ僕は彼女に対して不思議な気持ちを抱いていたと思う。そんな彼女とこうしてずっと話していたいと考えていたら気付けば池に到着していた。

「ここがオススメの池ですね?」
「はい!僕の好きな場所……です。」
「わたくしも好きです。緑と青とが絶表なバランスで共存していて、生き物の息吹を感じます。」
「話って?さっきからずっと気になって……」

 エリーナはクスッと笑うと靴を脱いで浅い池の淵を歩き始めた。

「気持ちいい……」
「あの……」

 手を伸ばしたエリーナは僕を自身の方に引き寄せるとバシャっと水が飛び跳ねていた。

「キャッ!」
「あ…すみません。ドレスが濡れちゃったね…どうしよう……あ、ルシアに言ったらドレスを何とかできるかも!」

 僕は慌ててエリーナを池から出そうとするが、彼女は動かずに言った。
 
「気にしないでノル……」

 慌てている僕の頬を優しく両手で触ると唇と唇が触れていた。

(これは……いったい?!)

 思考が追いつかない……

わたくしのファーストキス…ノルに捧げたくて。」
「へ…?どうなって……。エーーッ!?」

 エリーナは頬を真っ赤にしながら僕を見つめる。

「私の想いはあの日、5年前からずっと……」
「5年前!?……って舞踏会の時?」
「そうです…ずっとお慕え申しておりました!」
「あの……その気持ちは有難いのですが、どうしてエリーナが僕を好いてくれているのかが分からなくて……あまり、会っていないでしょ?」
「それは……」

 
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

(改訂版)帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

黒猫
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

外れスキル【建築】持ちの俺は実家を追放される。辺境で家作りをしていただけなのに、魔王城よりもすごい最強の帝国が出来上がってた

つくも
ファンタジー
「闘えもしない外れスキルを授かった貴様など必要ない! 出て行け! グラン!」 剣聖の家系に生まれた少年グランは15歳のスキル継承の儀の際に非戦闘用の外れスキルである【建築】(ビルド)を授かった。 対する義弟は当たりスキルである『剣神』を授かる。 グランは実父に用無しの無能として実家を追放される事になる。辺境に追いやられ、グランはそこで【建築】スキルを利用し、家作りを始める。家作りに没頭するグランは【建築】スキルが外れスキルなどではなく、とんでもない可能性を秘めている事に気づく。 【建築】スキルでどんどん辺境を開拓するグラン。 気づいたら魔王城よりもすごい、世界最強の帝国ができあがる。 そして、グランは家にいたまま、魔王を倒した英雄として、世界中にその名を轟かせる事となる。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!

マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です 病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。 ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。 「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」 異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。 「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」 ―――異世界と健康への不安が募りつつ 憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか? 魔法に魔物、お貴族様。 夢と現実の狭間のような日々の中で、 転生者サラが自身の夢を叶えるために 新ニコルとして我が道をつきすすむ! 『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』 ※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。 ※非現実色強めな内容です。 ※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

処理中です...